岩波書店から出ている「検証 バブル失政」を読みました。1985年のプラザ合意から1990年のバブル崩壊までの過程を、当時、政策に関わった人たちを追うことで明らかにしていく内容です。この本はバブルを振り返るノンフィクションでありながら、読んでいる最中スリリング感が溢れていました。日米経済摩擦に対する米国民や議会からの批判に押されるように対日圧力を高めるアメリカ政府。ホワイトハウスへの協調姿勢を示そうとする日本政府。アメリカと日本の政権の間で自らの影響力を守りながら調整役を務めようとする大蔵省。そしてアメリカ政府から、また時の内閣や大蔵省から公定歩合引き下げを迫られる日本銀行。これら四者の駆け引きの模様が、作者である軽部謙介さんの綿密な取材による豊富なエピソードの積み重ねで織り出されていきます。自分が過ごしたあの時代と重ね合わせつつ、カタストロフィにどんどん向かっていく展開は、バブルが生まれ弾けることが分かっていながらも、サスペンス小説を読んでいるかのような印象を受けました。
おそらく、バブルを助長するような政策決定に携わった多くの人が鬼籍に入った今、ようやく生々しい言動を表に出せるようになったのだろうと思います。1987年の総額6兆円に及ぶ補正予算がバブルの後押しをしたとされていることに対する、「間違っていたという批判は、皆さんにもお返ししたい」との、ある大蔵省事務次官経験者の言葉が紹介され、著者は「政治も、メディアも、正確に事態を認識していなかったではないかというわけだ。政策当局者の判断の誤りの背景には政治の圧力や世論があったという認識は、広く存在する」と解説を加えています。確かに、「それはそうだろう」とは思いますが、それで失政がチャラになるわけでもないでしょう。あの一時代を昔話にしてはならないと思います。
おそらく、バブルを助長するような政策決定に携わった多くの人が鬼籍に入った今、ようやく生々しい言動を表に出せるようになったのだろうと思います。1987年の総額6兆円に及ぶ補正予算がバブルの後押しをしたとされていることに対する、「間違っていたという批判は、皆さんにもお返ししたい」との、ある大蔵省事務次官経験者の言葉が紹介され、著者は「政治も、メディアも、正確に事態を認識していなかったではないかというわけだ。政策当局者の判断の誤りの背景には政治の圧力や世論があったという認識は、広く存在する」と解説を加えています。確かに、「それはそうだろう」とは思いますが、それで失政がチャラになるわけでもないでしょう。あの一時代を昔話にしてはならないと思います。