花・伊太利

日々の生活に関する備忘録です。

在宅勤務が始まってほぼ一年

2021-03-30 21:32:04 | Weblog
 新型コロナウィルスの感染拡大で在宅による勤務が本格化してから、おおよそ一年が経ちました。出社比率はだいたい4割前後といったところです。この間、会社は随分と様変わりしました。会議は基本オンライン、昼の食事は孤食を推奨、ごはんを食べながらの情報交換はなくなりました。オフィシャルの飲み会はなくなり、去年の4月に転勤して来た人のうち、リアルで会ったことのない人もいます。自分の隣の席の人にしても、月に3~4回くらいしか顔を合わせないような気がします。

 さて、そんな同僚たちとの Face to Face の機会が減って思うのは、「向こう三軒両隣」的な互助意識が持てなくなっていることです。以前は、周りで誰かトラブってる、あるいはテンパっていれば、「どうした」と声を掛けて手伝うことが出来ました。また何か突発的な仕事が降ってくれば、すぐさまみんなで分担を決めて手分けするなど、機動力を発揮するのも比較的容易でした。それらは一切なく、みんな困ったりしてないでしょうか。新人や若手に対しては、様子を見ながらオーバーフローしないよう配慮してアドバイスをすることが可能でしたが、今やOJTは難しくなっています。彼らが中堅になった時、部下への接し方はどうなってるのかなと思います。

 朝、パソコンを立ち上げて、今日はこれこれの仕事をしますと業務開始のメールを送ります。自分のタスクを黙々とこなすのと並行して、メールによる依頼や問い合わせに応えます。他人の目がないのは気楽と言えば気楽ですが、自分の役立ってる感が乏しいのは寂しいものです。そんなこんなでしこしこやってると、いつの間にか西陽が差してきます。それなりに気疲れしている自分に気づきます。在宅勤務が始まり一年経っての感想は、何となく仕事は回っているものの、あるところから先では「慣れないなぁ」といった感じがぬぐえません。でも、毎日会社に行ってても骨の髄までの会社人間にはなれていないので、一緒と言えば一緒ですね。

 「早いかな 否、もういいか ビール飲みたし 在宅勤務の 春の夕暮れ」

今こそフリーター

2021-03-21 13:39:43 | Weblog
 以前読んだ本に社会学者・山田昌弘さんの「希望格差社会」があります。この本の中には、フリーターが社会の不良資産化すると書いてあったように記憶しています。フリーターは企業に都度便利使いされ、職業訓練を受ける機会がないまま単純労働に従事します。また、低賃金のため自立自活出来ず、親にパラサイトする状態が続きます。家庭を持たずスキルを身に付けることもなく、親の高齢化とともに生活が立ち行かなくなり、やがては社会の不良資産になるという論旨であったかと思います。

 趣味を生活の中心に据え、仕事はお金を得るためと割り切り職場を転々とする若者が、一時は新しい働き方ともてはやされることもありましたが、「希望格差社会」を読んだ時、フリーターから脱却出来ないと大変なことになるなぁ、と思ったものでした。そのうち、フリーターは非正規雇用者と呼び方が変わり、その恵まれない境遇とともに、結婚率や出生率の低下の要因のひとつと言われ、社会問題化していきました。

 若い世代が安定した生活を築けるようになって欲しいのは当然の思いですが、一方で成熟した世代こそフリーター的な働き方をしてみてはどうでしょうか。経験豊富でいろんな職場の即戦力になり得る人が、子育てや住宅ローンの経済的負担から身軽になった時、組織のしがらみを離れ、自分のやりたいこと、やりがいが感じられることにセカンドキャリアとして従事出来れば、人生百年にも多少明るい光が射してきます。

 中高年の早期退職はややもするとリストラ的なイメージを持たれがちです。でも、組織の中で縦を意識しながら働くことから、職能を生かして職場を選んでいく横の意識へ見方を変えれば、マイナスイメージが払拭されるような気がします。会社に長くいれば組織の都合やしがらみなどから、自分で自分の仕事を選ぶことが難しくなってきます。会社を離れることで本当にやりたいことに従事する機会が生まれます。

 私のまわりで、定年を前にして新しい職場に移った先輩が何人もいらっしゃいます。その後の様子を伺うと、皆さん新しい仕事のことを楽しそうに話されています。非常に恵まれた方たちの反面、多くの厳しい現実があることも耳にします。でも中高年の雇用において、かつてもてはやされたフリーター的な働き方が再認識されてもいいんじゃないかと思います。

根拠薄弱

2021-03-09 20:07:54 | Weblog
 1都3県の緊急事態宣言延長に絡んで小池都知事と3県の知事の間で波紋が生じたと、今日の朝日新聞朝刊に出ていました。その源は、小池都知事にあるそうです。小池知事は宣言の2週間延長を政府に要請しようと神奈川県の黒岩知事に持ち掛けます。その際、埼玉、千葉の知事も同じ考えだと伝えました。黒岩知事が大野埼玉県知事や森田千葉県知事に電話をすると、両知事とも「黒岩知事が賛成している」と言って小池知事から誘われていたことが判ります。黒岩知事は都県知事のオンライン会議で、小池知事の動きに対し信頼関係を損ねるとして抗議し、小池知事は謝ります。こんなやり取りを黒岩知事がテレビで述べ、波紋となったようです。小池知事のスタンドプレイについては、官邸幹部の「自分の働きかけで再延長が決まったとアピールしたかったのでは」とのコメントが紹介されていました。

 合意を取り付けるための小池知事のやり方は子供騙しと言うか、セコさが否めません。一方、記事には森田知事が「黒岩さんが賛成なら俺も」と思ったことが書いてありました。この付和雷同も如何なものでしょう。さらには記事の見立てでは、菅総理が4都県知事の要請に先立ち緊急事態延長の考えを発表したのは、後手に回った印象を与えることを避ける意図があったとか。大事な政策にも関わらず、揃いも揃って決定の根拠がこんなに薄弱では、何のための緊急事態宣言なのか解からなくなってしまいます。