花・伊太利

日々の生活に関する備忘録です。

お盆

2014-08-18 21:54:31 | Weblog
 お盆の週は妻の実家で過ごしました。13日から15日にかけて、仏さまをお参りに三々五々訪れるお客に挨拶をしたり、お酒が好きな方の場合はビールの相手を務めたりと、ほぼ終日家の中でした。お客が途切れた時は、白水社から最近出た「エカチェリーナ大帝(上)」を読んでいました。ロシア・ロマノフ家の帝位継承者であるピョートル3世に嫁ぐためにドイツからやって来たゾフィー、のちのエカチェリーナ妃は、ピョートル3世のつれない仕打ちに耐えながら雌伏の日々を送ります。そして、エリザヴェータ帝の死後ロシアを治めることになったピョートル3世は王の器には程遠く、大のプロイセン贔屓からロシアの利益よりプロイセンの利益を優先するかの如き政策を打ち出したため、わずか半年でクーデタが起き、ピョートル3世の後をエカチェリーナが襲います。お馬鹿さんの王さまがロシアという果実をエカチェリーナの頭上に落としてくれるまでが上巻の内容です。
 梅雨を思わせるような連日の雨の中、入れ替わりいらっしゃるお客さまを迎えつつも、そこはお盆のことなのでしめやかな雰囲気が保たれているのとは対照的に、本の中では賢者も愚者も、ロシア人もそれ以外の国の人も、権力を揮ったり、振り回されたり、欲望に突き動かされたり、足をすくわれたりと、相当に生臭くうごめいていました。
 さて、昨日、妻の実家から戻りました。この日は雨が上がり、曇り空ながらところどころに青い部分がのぞかれました。最寄り駅まで送ってもらう途中、車から見る田んぼの稲はここ数日の雨の恵みを受け青々として風にそよぎ、周囲の山々もまた絵具を重ね塗りしたかのように青々としていました。その景色を眺めながら、ふと平安末期の歌人である藤原(九条)良経の歌が思い出されました。

 夏草のもとも払はぬふるさとに露より上を風かよふなり