花・伊太利

日々の生活に関する備忘録です。

気になるお店

2007-11-28 21:47:26 | Weblog
 最近気になっているお店があります。何が気になるのかと言えば、それはメニューがどうのとかお店の雰囲気がどうのといったことではなく、お店の名前です。「炭火焼 啄木」と看板が出ているのを見掛けて、初め「炭火焼」と「啄木」が自分の頭の中でうまく結びつかず、一瞬何のお店だろうと思いました。昔、「居酒屋兆次」という映画がありました。また実際に人名が店名となっている飲食店も珍しくありませんが、「啄木」と名の付く飲食店を受け入れるための心の準備が出来ていませんでした。石川啄木に対して私が持っているイメージと、飲んだり食べたりする行為の間には親和性が乏しいようです。少なくとも私にとっては。以来、たまにこのお店の前を通り掛かると、どんなお店だろうと、通り過ぎるほんの1秒かそこらの間に、観察の一瞥を加えています。見る限りいたって普通のお店で、炭火焼と言うよりは焼き鳥メインの居酒屋といった感じです。いずれ機会があればとは思っていますが、でも「啄木」と「炭火焼」をうまく結びつける自信はありません。
 話は変わりますが、文学者の中で名前が屋号にしっくりと馴染むのは誰だろうと、「炭火焼」と「啄木」に頭をひねったついでに考えてみました。あれこれ想像を巡らせてみて、「これはいろんなジャンルの料理に合うんじゃないか」と思ったのが井伏鱒二です。「鰻 井伏」、「割烹 井伏」、「洋食 井伏」、「レストラン井伏亭」、「呑み喰い処 鱒二」、「炉端焼き 鱒二」、そして「炭火焼 鱒二」・・・etc.、名字にしろ名前にしろ何だか美味そうな感じがします。あくまでも私が抱いているイメージに過ぎませんが。

気になる人たち

2007-11-27 21:01:40 | Weblog
  三連休の中日の土曜日、家族で日比谷公園へ遊びに行きました。あいにく草地広場は整備中で、小さい子供が遊べる遊具はブランコくらいしかありませんでしたが、それでも売店でシャボン玉を買って噴水の前で遊びました。噴水が高くあがると水しぶきに虹がかかり、その虹の中に漂うシャボン玉を見ながら、アサヒスーパードライを飲んでいました。子供がシャボン玉を飛ばしたり、噴水のまわりを走ったりしているのを眺めていてふと気がついたのですが、公園内のあちこちに「おじさん」、「お父さん」、「パパ」、「ご主人」、「ご亭主」といった言葉で呼ばれているであろう風体の、と言うことはひどい身なりでは決してない、そういう中年男性が結構いました。皆さん、ipodのようなポータブルオーディオで音楽を聴いているか、本を読んでいるか、あるいはその両方のようでありました。電車などで見掛ける、携帯電話の画面に向かって指をひたすら動かしている方はいなさそうでした。心字池の横にある日比谷見附の石垣跡にも中年の男性の姿がありました。ここでも、音楽を聴いているか、本を読んでいるかの御仁が、ベンチひとつにひとりずつ、あたかも鮎の縄張りのように微妙な間隔を保って座っていました。「あー、きっとこの御仁たちは家に居られないか居たくないかで、時間を潰してるんだろうなぁ。奥さんに晩ご飯まで帰って来ちゃダメよと言われているのかも」と思いながら通り過ぎましたが、もし私の勝手な想像が当たっているとして、家に居られないか居たくない人たちが聴く音楽はいったい何なんだろう、読んでいる本はいったい何なんだろう、と猛烈に興味が沸きました。でも、そんなことは聞ける訳もないので、ただただ素知らぬ顔で通り過ぎて行くだけでした。最近、「暴走老人」という言葉を目にすることがあります。「暴走老人」とは「キレる老人」と言い換えても良いですが、老人がキレたり暴走したりするのは、人間関係や変化する社会から取り残されて孤立感を深めているからなのだそうです。孤立感からくる鬱屈が、何かのきっかけで爆発してキレてしまうようです。日比谷公園で見掛けたHoliday難民とおぼしき中年の方々が、将来暴走老人にならなければ良いがと思いながら公園を後にしました。

明と暗

2007-11-19 22:32:59 | Sports
 かねてからの予定通り11/18(日)は国立競技場へ東京国際女子マラソンの応援に出掛けました。東京のコースの象徴ともなっている市ヶ谷から四谷にかけての坂道を含む5㎞を16分台の驚異的なペースで駈けのぼった勢いそのまま、野口みずき選手はスタジアムに入っても飛ぶような走りでゴールテープを切りました。我が子が普段あまり出さないような大声で「ガンバレ、ガンバレー」と声援を送っていましたが、そんな応援の助けなど全く必要のない力強い走りでした。今朝の朝日新聞に、「自分にしかできないトレーニングをやってきたから大丈夫と暗示をかけて走った」とありましたが、野口選手の優勝タイムである2時間21分の裏にはいったいどれだけの練習時間があったのだろうかと、凄みすら感じられました。一方、野口選手の最大のライバルと目された渋井陽子選手は対照的でした。野口選手からちぎれた後どんどんペースは落ち、結局7位。国立競技場での一周はジョギング並で、やっとのゴールでした。国立競技場がゴールとなるマラソンは非情です。なぜならば、遅れて競技場に戻って来た選手は、優勝インタビューを受けている勝利者の華やかな姿を見ながら、その前を通り過ぎさらにもう一周走らなければなりません。勝者とそうではない者の差を嫌でも見せつけられる訳です。ただ、この日の渋井選手が競技場を一周する時、野口選手のインタビューはもう既に終わっていました。

東京国際女子マラソン

2007-11-13 22:55:59 | Sports
 毎年この時期、師走が近づいてきたことを感じさせるスポーツ・イベントがふたつあります。ひとつは大相撲の九州場所。そして、もうひとつは東京国際女子マラソンです。一昨年の東京国際は、高橋尚子選手がアテネ五輪を逃した因縁のコースで見事優勝しました。神保町の交差点付近で声援を送りましたが、さぁーっと走り去っていったQちゃんの姿は一瞬のことながらとても引き締まって見え、足取りも軽く「今年はいける」と思いました。視界から遠ざかっていった高橋選手はその後、バルシュナイテやアレムを振り切って復活を果たしました。昨年は土佐礼子選手が高橋選手に勝ち、世界陸上の出場権を得たレースでした。雨の中、水道橋のJRA近くの沿道に立って先頭集団を待っていると、トップの土佐選手が通り過ぎても後続はなかなかやって来ず、かなり遅れて高橋選手が現れました。高橋選手はサングラスをしていましたが、明らかに疲れが見てとれ、一年前の颯爽とした走りは面影もなく、結局3位に沈みました。今年は野口みずき選手が走ります。今日の朝日新聞朝刊に野口選手の記事が載っていました。「とにかく誰にも負けたくない」、「(北京への選手枠が残り2人になったことについては)逆にその方が燃える」、と抱負を述べています。北京五輪の代表選考会となる今年の大会、150㎝の小柄な野口選手がしっかりと見られるよう、沿道ではなく久しぶりに国立競技場へ行ってみようかと思っています。