花・伊太利

日々の生活に関する備忘録です。

冬雪さえて

2017-01-26 20:54:30 | Weblog
 このところ強い寒波が居座り多くの地域で雪の被害が出ています。被害を受けられた方々は大変だろうと思います。また、雪は降らなくても「寒いのは嫌だな」と思っている人も少なくないでしょう。私も通勤途中、びゅーっとくる北風で耳がちぎれそうなくらい痛い時など、「引き返して家に帰ろうかな」と思ったりします。そんな時は、冬の寒さを借方に置いたとして、貸方はどうなるだろうと考えます。「鍋が美味しい」、「朝、布団を出る時に自分の意志の力を感じることが出来る」、「空気が澄んでいるので青空がきれい」云々(「うんぬん」※「でんでん」ではありません)。バランスシートとは良く言ったもので、ネガティブな気持ちになった時は、その元となったものを借方-貸方で考えてみると、そんなに悪い訳じゃないなという気がしてきて、心のバランスがとれます。身を切るような寒さが熱燗を美味しくしてくれると思えば、楽しみも出てきます。さて、禅僧道元が残した歌に、「春は花 夏ほととぎす 秋は月 冬雪さえて 冷(すず)しかりけり」があります。季節季節をそのまま丸ごと受け入れようとする姿勢には、せこくバランスシートを考える凡夫とは次元の違う、深い悟りの境地を感じます。

老舗の良さ

2017-01-19 21:34:15 | Weblog
 先日、何年かぶりに家族揃って神田のまつやへお蕎麦を食べに行きました。お昼前にも関わらず店前には既に列が出来ていました。回転が速いのでそんなに長くは並ばないだろうと思っていた通り、10~15分で店内に入れました。さっと出されたメニューを見るまでもなく、今日は大ごま蕎麦と決めていました。それと常温の日本酒。家族はそれぞれ大ごま蕎麦と天もり蕎麦を頼みました。お通しの蕎麦味噌をなめながら日本酒を半分ほど飲んだ頃、お蕎麦がやってきました。このタイミングはいつも通り、お蕎麦の味もいつも通りでした。蕎麦湯が出されるちょうど良い頃合いもいつも通り。思うに老舗の良さは、この「いつも通り」なのでしょう。サービスのレベルが高くて一定しているということです。自分に馴染んだスタイルのままなので安心感に包まれます。リピートする老舗の魅力は、予定調和の心地よさが味わえるところだと思います。

遅桜

2017-01-01 13:08:02 | Weblog
 「遅桜 人に待たれて 咲にけり」
 江戸時代の人、三宅嘯山の句です。この句が私に心地良さを与えてくれるのは、「人に待たれて」のところです。「咲にけり」に重きを置くなら、待ちに待ったけど咲いて良かったねとなります。一方で「人に待たれて」の場合は、咲いたことを喜ぶ人と人とのつながりが焦点になります。「咲く」の含意はさまざま取れますが、咲くことを待つ人がいて、待たれる人がいる、そんな思いの通い合いが伝わり、こころ和む気持ちになります。2017年は誰と喜びを分かち合えるだろうか、そんなことに期待する元日であります。