花・伊太利

日々の生活に関する備忘録です。

日本人の劣化

2007-12-27 22:29:35 | Weblog
 今朝の朝日新聞にエッセイスト・岸本葉子さんの投稿が載っていました。題して「日本人の劣化」。「世代を超えて支えあうのが、市民としての義務」との考えから「国民年金を払い続けてきた」岸本さんは、年金問題に対して怒りの声をあげます。「政治家や官僚のトップでなしに、一般職員の層でまで、腐敗が進行していたのが、ショックでした」と語る岸本さんですが、その怒りの源は、これまで信じていた「仕事への良心」やプロジェクトXに出てくるような「労苦をいとわず貫徹する態度への素朴な信頼感」が裏切られたことでした。そして、岸本さんの怒りの対象は社会保険庁の怠慢にとどまらず、日本人全体の劣化に及びます。「給食費を払えるのに、払わない親」、「食品の偽装問題」など、「日本社会で進みつつある公徳心の薄れ」を、情けないと嘆いています。そんな中で、「コンビニやファストフードで働く若者が、いつも、元気なあいさつをしてくれ」ることに、「マニュアル通りとか、心がこもっていないとか、言う人もある」のを承知の上で、彼ら彼女らの一生懸命働く姿に「感動してしまう」そうです。そして、「07年、約束を守る、ごまかさないといった「型通り」のことができなかった大人たち」へ、「あの子たちを、見習ってみませんか」と呼び掛けています。
 そう言えば、山崎正和氏の「社交する人間」(中央公論社刊)に、作法に従うことでこころの中身が育まれていくと述べてありました。ありていに言えば、背筋をピンと伸ばすと、こころが引き締まるようなものでしょうか。で、あるならば、「型通り」のことがちゃんと出来る人たちが増えると、「だれも見ていなかったら何をしてもいい」といった人たちが少なくなるかもしれません。もっとも、岸本さんを感動させたのは、「型通り」の「いらっしゃいませ、コンバンワ」のあいさつそれ自体ではなく、若者たちの一生懸命な姿です。わが身にひるがえると、「日本人の劣化」を食い止めるために、自分自身、一生懸命に当たり前のことをやっているかどうか、そこににらみを利かせたいと思います。最近、子供と話している時に、「ウン」と返事をすると、「ウンじゃなくてハイ」と注意されます。差し当たり、明るく元気な声で「ハイ」と答えるところから始めてみましょう。来年からではなく今日から。

クリスマスのつぎのよる

2007-12-26 22:00:25 | Weblog
 冬休みに入り妻と子供が実家に帰省。さて、しばしひとりの時間が持てるな、本は何を読もうか、CDは何を聴こうか、などと考えながら帰宅しました。部屋に入って明かりを点けると、クリスマスツリーがお出迎え。雛飾りは桃の節句が過ぎた後も出しっぱなしにしていると好くないといいますが、クリスマスツリーはどうなんでしょう。年末ジャンボが当たらないとか、たたりがあるのでしょうか。あるいは、たたりが逆に出て億万長者になんてことはないでしょうか。そんなことはどうでもいいですが、ひとり暮らしだからこそ家のことはきちんとしなきゃと、ツリーを片付けることにしました。グレン・グールド演奏のバッハのゴールトベルク変奏曲のCDを流し、ミッフィーのマグカップに入れたビール・ニッポンプレミアムを飲みながら、ツリーの飾りをひとつずつはずして袋に仕舞い、最後にツリーの広がった枝葉を幹にぺたんと押し付けて箱の中に入れました。さぁ、次は洗濯物をたたまなきゃ。

気になる建物

2007-12-12 22:20:44 | Weblog
 近所に特異な外観の建物があります。子供はそれを「ネコビル」と呼んでいます。どんな建物かと言うと、原子力潜水艦の船体は横に伸びた水平部分と、それに乗っかっている垂直部分からなりますが、その垂直部分を切り取ったような建物です。ですから建物の形は細ながーい楕円で、色は真っ黒。そして「ネコビル」と呼ぶにふさわしく、猫の大きな顔が建物の前面に描かれています。近くを通るたび「この建物は何だろう」と気になっていたのですが、実は評論家・立花隆さんのお住まいだそうです。そう言えば、「ネコビル」の近くで立花さんが歩いているのを見掛けたことがありました。このおよそ住居らしくない形状の建物の中はどんな間取りになっているのだろう、居住性は良いのだろうか、大変な読書家と聞く立花さんの蔵書はどんな感じで並んでいるのだろうかなどと、今度は建物の内側が気になり出しました。

続・金曜日の予想外

2007-12-04 21:41:15 | Weblog
 水道橋で電車を降りて東京ドームを通り抜けようとしている時に、なぜだかこの日はふと思うことが多く、今度はラクーアにある成城石井でものぞいてみようと思いました。成城石井に入ってすぐのところにチーズが並んでいますが、私の目が止まったのはモンドールというチーズでした。このチーズは冬場しか出回らないチーズです。何者かにふっと押されたようについ手が伸びて買い物カゴに入れてしまいました。明日のお昼はつきたてのお餅なので、夜は趣向を変えてモンドールにワインだな、なんて思ったりしました。ぶらぶら店内を見て回るうちに、やっぱりと言うか当然と言うかアルコール売り場に足を運んでしまいました。さっきまではチーズにワインのイメージができあがっていたのに、全く唐突に「今晩はウィスキーをちびっとだけ飲もう」と考えていました。確かに時々妙にウィスキーが飲みたくなることがありますが、この時は唐突かつ妙にスモーキーなウィスキーが飲みたくなり、シングルモルトのコーナーをしばらく眺めて、スコットランドはアイラ島のウィスキー、「カリラ」を買うことにしました。蛇足ですが、「カリラ」は作家・村上春樹さんがアイラ島を訪れた時に飲んだウィスキーのひとつです(「もし僕らのことばがウィスキーであったなら」)。本を買って、さらにチーズとウィスキーも買うなんてやばいなぁと思いつつも、何とも衝動買いの押さえが効かない時がありますが、今日はまさしくそんな日です。家にたどり着くまでにだいぶ時間もお金もかかったけれど、まぁ家に帰ったらお風呂に入って、それからスモォォォーキィーなウィスキーでもちびちびいきますか、とすっかりのんきな気分で家に帰りました。家でネクタイを外している時に携帯が鳴り出し、携帯を手に取ると会社の同期からでした。電話の内容は仕事でトラブル発生とのこと。しばらく電話でやり取りしながら対応していましたが、どうも埒があきそうにないので、「会社に戻ろうか?」と言うと、「悪いな」という返事。ネクタイは外したままで上着をはおり携帯と財布をポケットに入れて、家の前からタクシーに乗り込みました。トラブルはまぁまぁ手強いものでしたが、日付変更線を越える前には解決。その後の経過を見届けて、もう大丈夫だろうとなった時には終電が終わっていたので、またタクシーで2度目の帰宅。タクシーの初乗り料金が上がる前で良かったなぁと思いながら、風呂上がりにキリンのザ・ゴールドを飲んで寝ました。いろいろ予期しないことが続いた金曜の夜でしたが、かと言って特に記憶に残る夜でもないでしょう。毎日が適当ですから。

金曜日の予想外

2007-12-03 21:23:04 | Weblog
 先週の金曜日のことです。次の日の土曜日は子供の幼稚園で餅つきをすることになっていたので、花金だけどまっすぐ帰ろうと思っていた夕刻、妻から「晩ご飯、作れなくなった」のメールが届きました。「まぁ、帰り道でホカ弁かコンビニ弁当でも買えばいいか」と思い、仕事の区切りがついたところで会社を出ました。最近、健康を考えて一駅分歩くことにしているので、クリスマスのイルミネーションがキラキラ輝いている夜の銀座を歩いていましたが、ふと、P.L.バーガーの「社会学への招待」(新思索社刊)が近頃版を新たにしたことを思い出しました。学生時代からその書名は知っていましたが、ついぞ読むことがなかったので何となく買ってみようかと思い、銀座コアの6Fにあるブックファーストへ行ってみました。ところが、ブックファーストの社会学の書棚に目指す本はなく、次は「どうせ丸ノ内線の銀座駅から地下鉄に乗ろうと思ってたんだから」と、数寄屋橋にある旭屋書店へ足を延ばすことにしました。でも旭屋にも置いてなく、「今すぐ読みたい訳でもないしな」と別の機会にしようと思っていたら、また突然ふと思いたち、「このビルの地下にある『はしご』のラーメンをしばらく食べてないなぁ。弁当を買って帰るのはよしてラーメンにしよう」と、地下へ降りてチースイダンダンメンを食べました。「久しぶりに来てみたら改装しているし、先に食券を買うシステムからカウンターで注文するように変わったなぁ」と思いながらラーメンをすすっていると、みたびふと思ったのが、「腹ごなしに八重洲のブックセンターまで歩いてみっか」ということでした。またまた「社会学への招待」に心が戻って来ました。さすがに八重洲のブックセンターには真新しい「社会学への招待」が置いてあり、それを買って東京駅からJRに乗って帰ることにしました。ほんの数時間前まで、「今日はビシっと帰って、子供に絵本でも読んで聞かせようか」と思っていたのが、一通のメールからちょっとずつちょっとずつ変な方向に行きだし、それは東京駅1番線から青梅行き快速に乗っても、御茶ノ水駅で総武線に乗り換えても、そして水道橋で電車を降りても、終わっていなかったようです。(つづく)