花・伊太利

日々の生活に関する備忘録です。

土用の丑の日

2007-07-30 22:56:00 | Weblog
 今日は土用の丑の日。それにちなんで鰻の話を。森鴎外の「渋江抽斎」の中に「鰻酒」なるお酒の飲み方が出てきます。以下、「渋江抽斎」(ちくま文庫「森鴎外全集6」所収)からの抜き書きです。『鰻を嗜んだ抽斎は、酒を飲むようになってから、しばしば鰻酒と云うことをした。茶碗に鰻の蒲焼を入れ、些しのたれを注ぎ、熱酒を湛えて蓋を覆って置き、少選してから飲むのである。』
 鰻の脂のこげた香ばしさと燗酒の相性は良いかもしれませんが、蒲焼のたれとの相性はどうかなぁ、折角のお酒の味が損なわれるんじゃないか、と今まで抽斎流鰻酒は試したことがありません。鰻でお酒を飲むなら、白焼きにわさびをのせて醤油でいただきながら、ガラスの酒器がびっしょり汗をかくくらいきりりと冷えた日本酒、出来れば北雪YK35なんかが飲めるといいなぁ、ありきたりですがそう思います。また、蒸さないでそのまま焼く名古屋風の蒲焼で、佐賀の東一を常温で飲むのも良さそうだ、などと思ったりもします。
 しかしながら斯くなる思いはあくまで想像にとどまるのみ。現実には懐具合が許してくれません(スーパーの安い鰻は皮がゴムみたいな上、たれの味しかしないので、鰻酒以上に敬遠です)。6月から税金も上がったことだし、缶詰に入ったサンマの蒲焼でビールを飲むくらいが身の丈相応でしょう。せめて今日は奮発の大盤振る舞い。つまみはサンマの蒲焼でも、ビールはサントリーのプレミアムモルツとプレミアムモルツの黒をハーフ&ハーフにして、プハっといきました。
(そう言えば、y.mさんがイワシは身体に良いと言ってました[2006-7-25]。今度はイワシの蒲焼でプハっといきます。)

「あ、そう」とは聞き流せない

2007-07-20 23:33:45 | Weblog
今朝の朝日新聞を見て「何なんだ、この人は」と思った。麻生外相が選挙の応援演説中、日本の農産物価格に触れた際、「1俵1万6千円の日本に対して中国は7万8千円、どっちが高いかアルツハイマーの人でもわかる」、そういった旨のことを言ったそうだ。よくもまぁ、安倍内閣には人の神経を平気で逆なでする人たちが集まったものだ。「原爆が落ちたのは仕方がない」と言った大臣が辞任したのは、ついこの間じゃないか。それなのに、すぐに今度は病気の人を愚弄する発言が出るとは、開いた口がふさがらない。そう言えば、この大臣はポスト安倍をうかがっているとか。ひょっとして、足引っ張りのための確信犯ではないかと疑りたくもなる。
 昨日の同じく朝日新聞に次のような読者からの投書が掲載されていた。「07参院選・一票に託す思い 認知症99歳母、報われずとも:母は参院選はおろか街中の喧噪も知らず、認知症を加速させながら、施設入居8年、99歳の夏を迎えている。元気な頃、農業に従事していた母は、どんなに忙しい最中であろうと、『お国のために働いてくれる人だから』と汚れた野良着を脱ぎ、きちんと身なりを整えて投票所に出かけ一票を投じた。しかし、今の国政はどうなのだろうか。国民無視ばかりがまかり通り、党首討論を聴いても、候補者のアピールに耳を傾けても、胸に響く言葉が少ない。介護保険法が改正され去年から負担が増えた。政治家は実情を知っているのだろうか。私は絶望感に暮れるばかりだ。母には月々約10万円かかる。年金3万円余で賄える施設など、どこを見回しても一軒もない。母が急に正気を取り戻したとしても、言うだろう。『お国のために働いてくれる人だから』と。大切な一票に母の願いを込めたい。」
 誰も求めていないのに人を傷つけることを言う人がいる。一方、説明を求められているのにだんまりを決め込む人もいる。そして、埼玉県上尾市には、『お国のために働いてくれる人だから』と、政治に対する信頼感を持っている人がいる。7月29日は参院選の投票日。自分の権利を軽く扱いたくはない。

他人を外見で判断してはダメ

2007-07-17 21:42:00 | Weblog
 海の日、朝から皇居へ走りに行った帰り地下鉄に乗っていたら、途中から女子高生のグループが乗り込んで来ました。制服を着ているものの、崩れてるなぁといった印象の女子高生たちでした。だらしない、崩れた感じの学生を時々見かけますが、だいたいにおいて共通しているのは、ローファーの靴の踵が踏み潰されてスリッパのようになっていることです。この女子高生の靴もやっぱりスリッパになっていました。「きっと、この子らは勉強や部活なんてしないで、眉を描いたり爪に色を塗ったりマスカラを付けたりして時間を潰してんだろうなぁ」と、勝手にステレオタイプな決めつけをしたり、「高校卒業して2年くらいすると、どっかのスナックで働くんだろうなぁ。六本木とかで一杯2千円もするウーロン茶を客にねだったりするんだろうか」なんて、まったくもって偏見に満ち溢れた失礼なことを考えているうちに自分が降りる駅に着きました。
 夕方、家族でごはんを食べに出ました。小さい子供がトイレに行きたいと言うのでトイレに連れて行った時のこと、何と携帯が便器にぼちゃん。しかも、自動的に水が流れるやつで、あっと思う間も手を伸ばそうとする間もなく、最期を看取らないまま流れ去ってしまいました。子供に「ちゃんとカバンにしまわないからよぉ」とおこられた後、ママにしっかりと報告されてしまいました。午前中の女子高生の呪いか、はたまた他人を色眼鏡で見たバチが当たったかと思いつつ、三連休の最後はとほほになってしまいました。そして、先週から買おうか買うまいか悩んでいた山國紀著「評伝 森鴎外」(大修館書店刊:12,600円)の迷いも、すっかり、すっかり、綺麗に流れて行ってしまいました。

なろう、なろう、明日は猛虎になろう

2007-07-06 23:27:14 | Sports
 5日、阪神タイガースは4安打の貧打でスワローズに連敗、借金7の4位に低迷している。でも最近、タイガースの試合を結構楽しんでいる。決して、マゾとか同類相憐れむとかじゃなくて、新顔の選手が続々と出てきているからだ。例えば、5日の敗戦投手、若竹はプロ初登板であった。今朝の朝日新聞には「若虎・若竹 手応え得た」と題して、「2年目の19歳、阪神の若竹は悔しさとともに手応えを得ていた。初登板は5回3失点。しかし、2回以外はすべて三者凡退に抑えた。緩急をつけて、芯を外す。136キロのあと96キロのカーブを空振りした鈴木健は苦笑い。首位打者の青木もカーブで空振りの三振。完全に泳がせた。・・・」とある。
 今年のタイガースは成績が振るわないせいか、若手の登場機会が増えている。投手で言えば若竹以外にも、ルーキー・上園がなんだかブレイクしそうな投球内容を見せている。野手では、今年クリーンナップの一角に一気に割って入った林が台頭若虎の代表格だが、怪我をした矢野に代わり、与えられたチャンスをしっかりものにしたキャッチャー・狩野もいる。昨日のゲームでスタメン出場した庄田、そのほかにも俊足・赤松、未来の大砲候補・桜井など、鳴尾浜で鍛えた若者が次々と上へあがってきている。負けが込んでも、Bクラスに落ちても、誰がレギュラーを掴み、虎の救世主となってくれるのかを想い描きながら、すぽるとを見ることが出来る。
 もっとも、沢木耕太郎の「敗れざる者たち」(文春文庫)所収の「三人の三塁手」や後藤正治の「私だけの勲章」(岩波同時代ライブラリー)に収められている「最後のひと振り」を読むまでもなく、プロ野球の世界が甘くないのは分かりきっている。「三人の三塁手」の難波と土屋、「最後のひと振り」のドライチルーキー・野上のくだりを読むと、プロの世界で生き残ることがどういうことなのかが、ひしひしと伝わってくる。1軍にあがってきて少しくらいいいところを見せたって、そんなもので喜んでられる訳はなく、いつまでたっても1.5軍の選手もいれば、2軍に戻されてそのままの選手もいる。と言うよりは、そういった選手の方が圧倒的に多い。難波、土屋、野上もそういう選手だった。でも、やはり新しい選手がレギュラーの座をもぎとろうと頑張っているのを見るのは楽しい。どっかから完成品を買い揃えてきて出来たチームでは味わえない楽しさだ。
 このところタイガースはずっとペナントに絡んできたので、一戦一戦の結果や1位2位のゲーム差に関心が行きがちだったが、今年はちょっとゆったりとした野球の見方が出来そうだ。朝日新聞の若竹に関する記事は次のように締めくくられていた。「一発の洗礼も浴びたが、次の登板に期待を膨らませる69球だった。」

逆もなかなか

2007-07-01 23:08:37 | Weblog
 今日は昨日までの蒸し暑さが少し影をひそめて、比較的過ごし易い一日でした。例によって皇居へ走りに行きました。私が怠けることなく週に一回継続して走りに行くので、妻もようやく「三日坊主じゃなかったなぁ」と認めてくれたのか、ランニング用のTシャツをプレゼントしてくれました。早速それを着て走ってみたのですが、さすがに何かのイベントでもらったTシャツとは違って、汗をかいてもシャツが重く貼りつく事がなく快適でした。例によって大手門から半時計回りに一周しましたが、背中のサラサラ感に少し後押しされて、いつもとは逆に大手門から時計回りの方向へ走ってみてみようかと思い、日比谷公園まで走ってみました。すると内堀通りの一直線の路の向こうには、東京タワーがどーんと真ん中にそびえて見えました。その横には六本木ヒルズ。山好きの方なら分かるかと思いますが、槍ヶ岳の大槍と小槍のようです。大手門からずっと東京タワーに向かって走るこのコースも、都市美を味わえるなかなかのコースでした。