(※朝日新聞朝刊連載「折々のことば」風に)
「鉄器が入ると猛々しくなる」
琉球王朝では製鉄が抑制される。鉄製の鍬や鋤の使用により生産力が上がれば、「これは自分が開いた畑だ、次は隣の畑を手に入れてやろう」と、土地の私有に対する欲求が強まってくる。こん棒でタロイモを栽培していた頃は、「自分の所だけでも大変なのに、人の土地へ入っていくなんてとても無理」、だから世の中は穏やかだった。琉球王は、生産力は高いが猛々しい世界よりも、食糧生産のレベルは低くても平和な世界を好ましいと思ったようだ。統治のしやすさの意図は、もちろんあったであろうが。一方、鍬・鋤によって土地を開墾し灌漑設備を整えた関東では、武士層が起こることになった。
岩波現代文庫「網野善彦対談セレクション 1 日本史を読み直す」所収「多様な中世像・日本像」から
「鉄器が入ると猛々しくなる」
琉球王朝では製鉄が抑制される。鉄製の鍬や鋤の使用により生産力が上がれば、「これは自分が開いた畑だ、次は隣の畑を手に入れてやろう」と、土地の私有に対する欲求が強まってくる。こん棒でタロイモを栽培していた頃は、「自分の所だけでも大変なのに、人の土地へ入っていくなんてとても無理」、だから世の中は穏やかだった。琉球王は、生産力は高いが猛々しい世界よりも、食糧生産のレベルは低くても平和な世界を好ましいと思ったようだ。統治のしやすさの意図は、もちろんあったであろうが。一方、鍬・鋤によって土地を開墾し灌漑設備を整えた関東では、武士層が起こることになった。
岩波現代文庫「網野善彦対談セレクション 1 日本史を読み直す」所収「多様な中世像・日本像」から