花・伊太利

日々の生活に関する備忘録です。

世界に一つだけの花

2019-01-28 21:41:23 | 季節/自然
 「シモバシラ」と言っても、氷の柱が地面から顔を出す自然現象の霜柱ではありません。植物のシモバシラです。シソ科の植物であるシモバシラは、冬になると茎は枯れてしまいますが、根っこは生きていて水分を吸い上げ続けます。その吸い上げた水分が毛細管現象で茎を伝わり、気温が零度以下になると凍って、あたかも氷の花が咲いているような姿になります。このところの冷え込みでシモバシラの花が育っているのではないかと、先日、山へ出掛けました。まだまだ小ぶりではありましたが、いくつものシモバシラの花を見つけることが出来ました。水分の吸い上げ具合、毛細管現象での水分の広がり具合、しみ出し具合で、氷の形はさまざまに変わってきます。これぞまさしく「世界に一つだけの花」といったところでしょう。朝、起きてブルっときた時や、会社の帰り、木枯らしに吹かれて首をすくめた時、この寒さでシモバシラの花が大きく育っているだろうか、そんな想像をしてみれば、厳しい寒さもまた楽しみに変わります。

アコンカグア後

2019-01-22 22:24:17 | Weblog
 在原業平の作とされる伊勢物語で、主人公が晩年に差し掛かった時、「人はいずれ死ぬとわかっていたけど、それが間近に迫っているとは思っていなかったなぁ」と歌に詠みます。「つひにゆく 道とはかねて 聞きしかど きのふけふとは 思はざりしを」、がその歌です。さて、86歳にして南米最高峰のアコンカグア登頂を目指していた三浦雄一郎さんは、「きのふけふとは思はざりしを」の意識、つまり死を間近に感じたのかもしれません。三浦さんは、標高6000メートルの手前で下山を決意し、現在は無事下山してホテルに滞在中とのこと。22日の朝日新聞朝刊によると、「これ以上高い標高での登山活動は心不全をおこす危険性がある」としたチームドクターの判断を、三浦さんが受け入れたそうです。死のにおいを察知し、医師の意見を聞いて自重したことで、三浦さんは「つひにゆく道」を行き急がずに済みました。同じ朝日新聞には下山した三浦さんの次のコメントが載っています。「悔しいとは思わない。撤退させられたおかげで、次のチャレンジがある。」失敗をバネにする折れないこころで、三浦さんはきっと新しい目標に向けて歩き出すことでしょう。垂直がダメなら、水平があります。勇気ある撤退の後は、勇気を私たちに与える挑戦を、楽しみにしています。

仕事始め

2019-01-07 21:19:36 | Weblog
 仕事始めの日はあまり忙しくありません。さぁ、今年も頑張ろうと家を出た割には、午後くらいから少しだらけムードが出てきます。挨拶回りや社内の新年行事でルーチン業務があまりないことや、1月初めの大事な仕事は正月休みに入る前にだいたい筋道をつけているので、御用始めの日から仕事に追い立てられることがないのかもしれません。
 さて、本日午前中、ほぼほぼ関係筋への挨拶を済ませると、「今日はこんなところかな」という気がしてきました。13時を過ぎたあたりで、お昼に何を食べようかと考えていたら、「そうだ、今日は七草がゆ。七草のひとつ、セリが入ったお蕎麦でも食べよう」と思いました。会社からちょっと足を延ばして、「セリかしわ蕎麦」が美味しいお店へ行きました。ここでは、注文の時にセリの根っこを付けたままにするか、取ってしまって付けないかを聞かれます。根っこの苦いところが良いアクセントになり、身体にも良さそうな感じがするので、根付きで頼みます。それから、「今日はいっか」と滋賀のお酒の「七本槍」を常温でチビチビ飲みながら、お蕎麦を待ちました。
 周りが挨拶やら何やらで通常モードでないと、自分もいつもより暇になり、お酒付きでゆったりと美味しいお蕎麦が食べられます。でも、明日、明後日ともなると世の中もいつも通りとなり、またせわしなくなってくるのでしょう。俳人の井月(せいげつ)が詠んだ句に、「目出度さも 人任せなり 旅の春」があります。今日の自分にぴったりの句だと思いつつ、のんびり気分に気も緩み「七本槍、おかわり」と言いたくなりましたが、そこは懐具合がしっかりとブレーキを掛けてくれました。