花・伊太利

日々の生活に関する備忘録です。

名は体を表さず

2013-03-15 23:43:30 | Book
 今、通勤電車で読んでいるのはジョナサン・ハリス著「ビザンツ帝国の最期」(白水社刊)です。「ビザンツ帝国」と言うよりも、昔高校の頃習った世界史からすると「東ローマ帝国」の方がしっくりきます。さて、その「帝国」ですが、末期においては「帝国」とは名ばかりで、実態としてはコンスタンティノープルと各地に散らばる都市の寄合所帯が領域であるに過ぎず、「帝国」からイメージされる広域国家とはほど遠いものだったそうです。また、首都コンスタンティノープルにおいてすら、経済面で力を握っていたのはヴェネチアやジェノバの商人で、関税の主導権はすっかり奪われていたとのことです。ですから、オスマン・トルコに滅ぼされたのは都市コンスタンティノープルであって、実際のところ「帝国」としてのビザンツはそのだいぶ前から幻影であったのでしょう。何となく「××の滅亡」とか言うと、「巨象、ついに倒れる」といったイメージを抱きがちですが、線香花火のちっちゃな火玉がポトッと落ちるみたいな感じだったのでしょうか。ビザンツ帝国の滅亡が当時の人たちにとってどう捉えらていたか分かりませんが、少なくとも、私は長いスパンの歴史の推移に対して、途中をかなり端折った見方をしていました。衰え行く中、何とか活路を見出そうと懸命の努力を重ねるビザンツ人たちの姿を描いているこの本を、反省を交えつつ読み進めています。

ワークショップ

2013-03-10 21:07:11 | Weblog
 G.Wのような暖かさだった土曜日、慶應義塾大学日吉キャンパスで行われた「WORKSHOP COLLECTION 2013」に参加してきました。始まる前から凄い人の列が出来ていて、果たしてどれくらい並ぶことになるやらと懸念されましたが、それも最初のうちだけで、うちの子供が体験したワークショップでは最長40分待ち、待ち時間なしもあり、全部で6つのワークショップに参加出来ました。環境への配慮を重視する風潮を反映してか、廃材を使う工作のプログラムが多く、廃材からキーフォルダーや万華鏡を作ったり、鉛筆を作る工程で出てきた木の屑で出来た粘土の造形をしたりしました。我が子もそうでしたが、他のお子さんもみな熱心に工作に取り組んでいて、最近の子どもはゲームばかりしているとの批判が、この時ばかりは全く別世界のことのように思えました。人間を指して「ホモ・ファーベル(工作人)」ということがありますが、確かに、人間は材料の質感を感じながら五感を使ってものを作るのが好きな生きものだと感じました。ペットボトルが入っていた段ボール箱で作ったスツールを大切に持って帰る子どもを見ていて、ヴァーチャルな環境が広がっている今、モノづくりはリアルな世界への重要な架け橋になっているのではないかと思いました。