「寒さは一段と増し、歯がカタカタと絶え間なく音をたてている。口はこわばり、思うように喋れない。そして三重靴の足の指先がズキンズキンと痛む。・・・(中略)・・・この寒さの中で眠ったら、間違いなく死んでしまう。起き続けて朝を迎えるのだ。眠ってはいけない。しかしこのすさまじい寒気の中にいてなお睡魔が襲ってきて、ちょっとでも気をゆるめようものなら、吸い込まれるように眠りに引込まれてゆく。ハッとして正気に戻る。」以上は、加藤保男著「雪煙をめざして」(中公文庫)からの抜書きです。エベレストに登頂した後、下山を始めたものの途中で日は没してしまい、ビバークを余儀なくされたときの模様です。海抜8650m付近で気温はマイナス45℃、そんな中でのビバークに耐えるなんて驚異的です。
さて、私が以前読んだ「雪煙をめざして」のこの箇所を思い出したのは、やはり睡魔との闘いの中でした。ある日飲んで帰り、やや千鳥足で言葉もやや「ラリルレロ」になって家に着き、布団に身体を投げ出したときのことです。「んー、このまま寝てしまいたい。でもお風呂に入んなきゃ。でも寝ちまいたいなぁ。でも歯を磨かなきゃ。んー」と薄れゆく意識の中で葛藤している最中、なぜかふと「今の俺って、加藤保男チックじゃないか」と思ったのです。
しかしながら、これはまったく調子のいいアナロジーです。「似て非なり」という言葉がありますが、私の場合はそれ以前、論外です。
さて、私が以前読んだ「雪煙をめざして」のこの箇所を思い出したのは、やはり睡魔との闘いの中でした。ある日飲んで帰り、やや千鳥足で言葉もやや「ラリルレロ」になって家に着き、布団に身体を投げ出したときのことです。「んー、このまま寝てしまいたい。でもお風呂に入んなきゃ。でも寝ちまいたいなぁ。でも歯を磨かなきゃ。んー」と薄れゆく意識の中で葛藤している最中、なぜかふと「今の俺って、加藤保男チックじゃないか」と思ったのです。
しかしながら、これはまったく調子のいいアナロジーです。「似て非なり」という言葉がありますが、私の場合はそれ以前、論外です。