花・伊太利

日々の生活に関する備忘録です。

ゴールデンウィークの旅行計画

2022-04-28 20:51:00 | Weblog
 今年のG.Wをどう過ごそうかとつらつら考え、まだ行ったことがない渥美半島へ出掛けることにしました。ただ、ちょんまげを結った武士たちの時代、田原藩があった頃の渥美半島です。田原藩の重役を務めた渡辺崋山が残した手紙を集めた「渡辺崋山書簡集」が、平凡社の東洋文庫から出ています。この書簡集を読み、今から200年近く前の幕末期、幕府の異国船打払令に異を唱え、蛮社の獄で蟄居を命じられ、日本の行く末を案ずる気持ちと藩主への忠義の板挟みとなって切腹した崋山が、どんな心境で何を考えたかに思いを馳せてみます。また、時代が変わる最中、おそらく傍観者的立場であったろう田原藩が如何なる状況であったかも、当時の日本の一風景を知るうえで興味があるところです。コロナの感染リスクを心配することなく、勝手気ままに時間と空間を超えた旅をしてみようと思っています。

死を受け入れること

2022-04-11 19:44:00 | Weblog
 社会学者の見田宗介さんと作家・石牟礼道子さんによる往復書簡の形式をとった文章があります(講談社選書メチエ「超高層のバベル」所収)。その中で見田さんは次のようなことを述べています。

 「人が自分の死というものを本当に納得して受け入れることができるのは、決して、生の苦しさからではなく、生の祝福のようなものの経験からだと、ぼくは思っているのです。」

 自分が生かされていることに対する感謝の念が生きる意味を与え、その意味において自分の存在が納得でき、また死も納得して受け入れることができると、そんな風に私は解釈しています。

 10日の朝日新聞朝刊は、見田さんが84歳でお亡くなりになったと伝えていました。私たちの視野を広げてくれる巨人の肩がひとつ失われてしまい、大きな喪失感を禁じえません。また、見田さんが最終的にどのような納得に至ったか知る術がないことを残念に思います。ただ、心よりご冥福をお祈りするばかりです。

想像された「現実」

2022-04-07 22:28:00 | Book
(※朝日新聞朝刊連載「折々のことば」風に)

 「(冷戦とは)戦後処理のメカニズムの一端だった」

 第二次世界大戦後、リベラルな勢力が台頭したり、伝統的な道徳に代わる新しい価値観が人を惹きつけるようになる。戦争が終わったのに、国内では考えの異なる勢力のせめぎ合いや混乱が起こり出した。米ソ対立の構図の中、第二次大戦の記憶と朝鮮戦争が第三次大戦の引き金となることへの恐怖とが相まって、保守陣営の巻き返しとして「冷戦」が創られた。内政安定化の手段として仮想敵を作ったことが「冷戦」を生んだのではないか。なるほど、アメリカのマッカーシズムや日本の逆コースはそんな風に見えてくる。「反共」の剣は、実はソ連に向けられたものではなく、自国内の魔女狩りに使われたのだと。

益田肇著 「人びとのなかの冷戦世界」(岩波書店刊)から

年金の目くらまし

2022-04-01 20:25:04 | Weblog
 昨晩、NHKのニュースを見ていたら、年金受給開始の選択肢が増えることを報じていました。従来、60歳~70歳だった幅が、この4月から、60歳~75歳に広がるとのこと。また、開始年齢が65歳より前では月々の受給額が現行より減り、後では増えます。その結果、受給総額を65歳受給開始と比べた時、60歳開始では81歳で下回り、75歳なら86歳で上回ることになるそうです。

 このニュースを見ていて、私はここで損得勘定に走ってはいけないと感じました。公的年金は金融商品ではなく、社会保障です。その時々の自分の生活の支えとなることが大事で、誰それより得だ、損だと考えるのはちょっと違うかなと思います。もし、政治の方から損得に訴えるような声が聞こえてきたら、何か別の下心があるんじゃないかと勘繰りたくなりそうです。