花・伊太利

日々の生活に関する備忘録です。

唯見長江天際流

2024-01-22 20:47:00 | Weblog
 「黄鶴楼にて孟浩然の広陵に之(ゆ)くを送る」

 故人 西のかた黄鶴楼を辞し
 煙花 三月 揚州に下る
 孤帆の遠影 碧空に尽き
 唯だ見る 長江の天際に流るるを

 これは李白の有名な漢詩で、友人である孟浩然との別れを詠んだものです。遠い昔、漢文の授業で教わりました。後半の二行では、孟浩然を乗せた船の帆が遠ざかっていって、やがて空に溶け込んでしまい、友が見えなくなった河の流れが地平線に向かって流れていくを、ただただ眺めるばかりである、と寂しく哀しい情景が詠われています。

 授業ではそう習った記憶があります。けれども、ちょっと違う読み方が出来るのではないかと、最近思うようになりました。それは最後の一行についてです。河の流れは、友人の姿が消えてしまった状態を表しているのではなく、この流れの向こうにいる友と河を通じてつながっている状態を表しているのはないか、そのような気がしてきました。

 その意味では、黄鶴楼における別離は、心の河で結ばれ合う、新しい関係の始まりと捉えることが出来ます。齢を重ねるにつれ何かと別れが多くなりますが、もう一つの解釈に気持ちを寄せることで、慰められることも多くなるのではないかと思います。

しつもん!岸田さん

2024-01-19 20:48:00 | Weblog
 本日の朝日新聞朝刊1面では、岸田首相が宏池会の解散を検討していると報じていました。記事を抜き書きしてみます。

 『自民党派閥の政治資金パーティーをめぐる事件で、岸田文雄首相は18日、首相官邸で記者団の取材に応じ、自身が会長を務めてきた「宏池政策研究会」(岸田派、46人)の解散を検討していることを明らかにした。』

 『首相は同日朝、記者団の取材に岸田派の不記載を認め、「事務的なミスの積み重ねだ」と説明。夜に対応を問われると「(岸田派の)解散についても検討している。政治の信頼回復に資するものであるならば、そうしたことも考えなければならない」と語った。岸田派は、政治資金規正法で規定されている「その他の政治団体」として総務省に届け出をしている。首相は「(政治団体の)届け出を取り下げることも含めて検討している」と説明。政治団体でなくなれば、政治資金パーティーを事実上開くことができなくなるため、政治改革に取り組む姿勢を示す狙いがあるとみられる。岸田派関係者によると、東京・永田町にある派閥事務所は閉鎖する方向だという。首相は2012年から岸田派会長を務めてきたが、派閥パーティー問題を受けて昨年12月に派閥を離脱した。』

 この記事を読んで疑問に思うことがあります。岸田首相は宏池会を離脱しているのに、どんな権限で同派の解散に関与しているのでしょうか。宏池会のメンバーが首相の意向を忖度して、自ら解散を決めると仮定しても、記事では首相が検討しているとあり、考えを伝えたとはなっていません。

 あるいは、自民党総裁の権限で解散を検討しているとした場合、どうして宏池会だけに対してなのでしょうか。自民党の派閥全体でなければ辻褄が合いません。

 悪い癖ですが、つい、細かなことが気になってしまいます。


岸田派・安倍派が解散検討 首相、不記載認める 政治資金事件:朝日新聞デジタル

岸田派・安倍派が解散検討 首相、不記載認める 政治資金事件:朝日新聞デジタル

 自民党派閥の政治資金パーティーをめぐる事件で、岸田文雄首相は18日、首相官邸で記者団の取材に応じ、自身が会長を務めてきた「宏池政策研究会」(岸田派、46人)の...

朝日新聞デジタル

 


適応力の時代

2024-01-09 20:17:00 | Weblog
(※朝日新聞朝刊連載「折々のことば」風に)

 「効率化ではなく適応力が価値の中心となる」 

 大量生産・大量消費からリサイクル・循環型へ、市場取引による所有から必要時のネットワークを介した利用へと世の中が変わっていけば、効率化よりも適応力が価値の中心になる。「限界費用ゼロ社会」などの著書で知られるジェレミー・リフキン氏はそう説く。個人レベルの発電・蓄電管理や3Dプリンタの安価な物づくりを実現させた、そんな誰もが利用出来そうな技術革新が進み、垂直的かつ中央集中的な社会構造が水平的分散的になった時には、小回りの利く中小企業の適応力が強みを発揮するだろう。そして、人類は成長を論ずるよりも、生態系を壊さず共存していく道を模索すべきだ。そこでまた求められるのは自然への適応力である。

2024年1月7日付朝日新聞朝刊掲載の斎藤幸平さんとジェレミー・リフキンさんの対談「気候危機と人類の今後」から


(対談)気候危機と人類の今後 斎藤幸平さん×ジェレミー・リフキンさん:朝日新聞デジタル

(対談)気候危機と人類の今後 斎藤幸平さん×ジェレミー・リフキンさん:朝日新聞デジタル

 ■解なき今を照らすために 世界各地で異常気象が頻発する一方で、脱炭素は進まない。地球を壊してしまうのか、それとも技術革新で解決できるのか。脱成長を提案する斎藤幸...

朝日新聞デジタル