コリント人への手紙第一 15章1−11節
隣に新しい家が建築中です。基礎工事から観ているのですが、地面をかなり深く掘っていました。地下室を設けるからなのでしょう。その上に大きめなブロックのような物を積み上げていきます。遮音や断熱の効果がありそうな部材。日本の住宅とはずいぶんと建て方が違うのようなのですが、基礎をしっかり据えるというのは共通なのだと思いました。
パウロはこれまで、コリント教会の深刻な問題を診断し、助言を与え、戒め、励ましてきました。手紙を終えようとする時、彼は福音とは何かを明らかにしています。教会の基礎を認識しないままに、自分たちにゆだねられた神からの賜物を自慢し、蔑んだり羨んだりして教会の本来のあり方から遠くはずれてしまっていたのがコリントの教会。彼らにはもう一度教会がなぜそこに立っているのかを教えられる必要がありました。
ここには「福音」ということばが繰り返されます。コリントに福音を宣べ伝えたのはパウロ。パウロは自分を「最後に、月足らずで生まれた者のような私」「使徒の中では最も小さい者」「神の教会を迫害したのですから、使徒と呼ばれるに価しない者」と書きます。
これは、「パウロさん、そんなことはありませんよ!」という答えを期待したものではありません。彼は心底自分がそのような者だと考えています。そんな彼を、福音は、すなわち十字架にかかり復活したイエスは愛し、顧みてくださったのです。これがパウロの出発点。彼はいくつになっても、どこに行ってもこのことを忘れることはなかったのです。