今、世間を震撼させている新型コロナウィスル問題で、日本政府のクルーズ船対応について海外の
マスコミから厳しい批判がなされている。
TVのワイドショウ等では、例によって「政府のお抱え」とも思えるような御用コメンテーターが
「政府の対応は正しかった」を懸命に強調し続けている。
「真相」が見えない中で、元厚労大臣の舛添要一氏がネットで「五輪中止のシナリオも『用意すべき』」
と題して発信していた。
その中で、渦中の岩田教授についても触れていたので以下に転載する。
「岩田健太郎氏は新型インフルでも活躍」
その点に関して、クルーズ船内に入った神戸大学の岩田健太郎教授の告発動画が大きな反響を呼んだ。
私は、岩田をよく知っている。新型インフルエンザのときに、厚労大臣として対応に当たった私に彼が
貴重なアドバイスを与えてくれたおかげで、正しい判断と適切な措置ができたのである。
厚労大臣の私は、日々、役人のサボタージュや医系技官や薬系技官の嘘に悩まされていた。幸いに、
東大で教鞭をとっている時代に医学部の学生を相手に授業をしていたため、多数の教え子が医療関係者
におり、そのネットワークを活用し、正確な情報を得ることができた。
実は、政府の新型インフルエンザ対策本部には専門家諮問委員会が設置されたが、首相官邸はメンバーを
教授以上の肩書きの者に限定した。そのため、若手の専門家や既存の医療エスタブリッシュメントに反対
する者の意見は遮断されてしまった。
私は、東大医学部の教え子たちに依頼して、セカンドオピニオンを取り入れる必要があると判断し、神戸の
現場の病院を指揮する岩田健太郎、国立感染症研究所の森兼啓太、東大医学部感染症内科の畠山修司、自治
医科大学感染症学部門の森澤雄司の4人に集まってもらった。彼らは、常日頃から既成の権威に対して堂々と
反論してきた勇気ある専門家であった。
これを厚労大臣直属のアドバイザリー・ボードとして設置し、私の大臣室に集まってもらって意見を聞いた
のである。
岩田は、今回のクルーズ船動画に見られるように、問題点を率直に述べるタイプの研究者であり、新型イン
フルエンザ治療のときも、現場体験から、「軽症であれば、インフルエンザは自然に治る。こちらに入れ込み、
心筋梗塞などの命に関わる病気の治療をおざなりにするのは本末転倒である」と強調したのである。
このような見解に耳を傾けることによって、私は、行動計画の柔軟な適用をすることができた。もし、この
私的諮問機関がなければ、病院はパンクして、重症者のケアができなくなっていただろう。様々な意見を取り
入れることがいかに重要かということである。
そこで、今回、岩田の動画を見て、これは広く国民に知らせる必要があると思い、19日朝に自分のSNSで拡散
したのである。その結果、マスコミや国会でも広く取り上げられたが、20日には岩田自らが動画を削除してし
まった。
本人は、動画が十分に役割を果たしたので、削除したということであるが、医学界、厚労省、政界などのエス
タブリッシュメントからの圧力を感じたのではあるまいか。
岩田が言うように、政策決定過程が明確でないこと、指揮命令系統も不明なことが問題である。また、感染
ゾーンと非感染ゾーンとの区別が明白ではなく、船内感染者に関する情報も開示されていなかった。岩田の
批判を受けて、この点についての情報は開示されたが、役所の情報隠匿体質は相変わらずである。