shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

Swingin' Creepers ! - A Tribute To The Ventures -

2010-03-11 | エレキ・インスト
 ついこのあいだまで “春のフレンチ祭り” で萌えてたのに、気がつきゃいつの間にか “春だ!エレキだ!ベンちゃんだ!” と、ベンチャーズ祭りに突入。まぁこの無軌道無責任ぶりこそが明日なき暴走たる所以、昭和歌謡にイエイエにテケテケと、毎日が大好きな音楽三昧で楽しーなったら楽しーな(^o^)丿 ということで、今日はアメリカで作られたベンちゃんへのトリビュート・アルバム「スウィンギン・クリーパーズ ~ア・トリビュート・トゥ・ザ・ベンチャーズ」である。
 まずは何と言ってもジャケットに注目だ。目の覚めるような赤色をバックに 60'sっぽいロゴ、無意味な美女とお約束のモズライト・ギター... そしてこれでどーだとばかりにジャケット上端には “... visual sound STEREO” の文字が躍っている。もうコレだけで十分ベンチャーズ・ファンの心をワシづかみである。秘孔をブチ抜いている。ここはもう “ひでぶ!” と言って砕け散...るんじゃなくて聴くしかないだろう。とにかくアイ・キャッチャーという点でもこのジャケット・デザインのセンスは最高だし、実際のところこの盤はジャケ買いしたようなものだ。
 中身の方はガレージ系のバンド23組によるベンチャーズ・トリビュートで、ベンちゃんの硬派なロックンロール・バンドとしての側面にスポットライトを当てている。それが如実に表れているのが選曲で、「パイプライン」も「ワイプ・アウト」も、そしてあろうことか「10番街の殺人」すら入っていない。「二人の銀座」なんか論外だ(笑) 日本のレコード会社の企画なら即却下だろう。何と言ってもアルバム・タイトルからしてマニアックな「スウィンギン・クリーパーズ」なのだ。さすがはロックンロール発祥の国、アメリカである。
 まず圧倒的に素晴らしいのがキング・ファズことデイヴィ-・アラン & ジ・アロウズの⑮「木の葉の子守唄」だ。参加アーティストの中で私が唯一知っていたのがかつて「アパッチ'65」のヒットを飛ばした彼らなのだが、さすがは年の功というべきか、こんなアグレッシヴな「木の葉」は中々おまへんで(^.^) 特にギターのフレーズがユニークで、めっちゃ気に入っている。ちょっとベースとドラムスのリズム隊が弱いのが玉にキズだが、それでも他のバンドとは次元が違う。格が違う。私はこの演奏を聴いて、ベンチャーズに潜むガレージ性を再認識した。とにかくカッコイイ、このアルバム中一番好きなトラックだ。
 ザ・ヒプノマンの⑧「若さでゴー・ゴー」とザ・ミステリー・アクションの⑲「バード・ロッカーズ」もエエ感じ。どちらもファズ・ギターを活かした演奏で、「ベンチャーズ・ア・ゴー・ゴー」や「ノック・ミー・アウト」といった私が一番好きな60's中期の音作りに挑んでいるのがいい。やっぱりベンチャーズ・サウンドは歪んだギターの音に限るわ(^.^)
 逆に、このアルバム中一番の有名曲カヴァーであるジョン & ザ・ナイトライダーズの⑪「ダイアモンド・ヘッド」だが、何と肝心カナメの “テケテケテケ~♪” がない!当然 “テケテケテケ~♪” が出てくるものと期待しているところへドラム・ロールでは腰砕けになってしまう。これではまるで気の抜けたビールではないか!そういう意味では②「ウォーク・ドント・ラン」も不完全燃焼なスカスカのサウンドで、イマイチ盛り上がりに欠けるのは否めない(>_<) 
 全23曲一気聴きしてみて感じたことは、玉石混交でそれも石の方が多いこと。特にイマイチなのがドラムスで、本家ベンチャーズがメル・テイラーという屈指の名ドラマーを擁していたせいもあるが、とにかくグルーヴ感があまり伝わってこない平板なドラミングのオンパレード(⑯「イエロー・ジャケット」をカヴァーしたサターン・V のリズム隊はかなり良かったけど...)にはガッカリ(>_<) 比べるのも失礼なハナシだが、改めて本家ベンチャーズの凄さが実感できるし、日本のカヴァー・バンドである Dr.K プロジェクトやエド山口&東京ベンチャーズのレベルの高さが浮き彫りになるという実に皮肉なオムニバス迷盤だ。

木の葉の子守唄


若さでゴーゴー