shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

Pops In Japan No.1 & No.2 / The Ventures

2010-03-09 | エレキ・インスト
 私はベンチャーズが大好き。若い頃は彼らのことを誤解していて単なるテケテケ・ギター・インスト・バンドだと思っていたが、数年前に plinco さんのおかげで彼らが偉大なるロックンロール・バンドだということを知った。特に60年代のアルバムはどれもこれも傑作揃いでロック・ファンは必聴だ。彼らが凡百のインスト・バンドと決定的に違っていた点は、ロック・シーンの流れを敏感に読んで様々なスタイルの楽曲をカヴァーすると同時に、いち早くフェンダー一辺倒を脱して高出力ピックアップ搭載のモズライトへとギターを変え、独特のベンチャーズ・サウンドを確立、更にファズをかけたり多重録音をしたりとアグレッシヴな姿勢でザ・ワン・アンド・オンリーな世界を築き上げたところにあると思う。それでいて他の追従を許さない圧倒的なグルーヴとドライヴ感... これこそがまさに若き日のジミー・ペイジやエディー・ヴァン・ヘイレンが夢中になったベンチャーズ・サウンドの魅力なのだろう。
 そんな彼らにはもう一つ大きな引き出しがあった... 作曲の才能である。66年のアルバム「ゴー・ウィズ・ザ・ベンチャーズ」に収められた「ギンザ・ライツ」は昭和歌謡のエッセンスがギュギュッと凝縮されたようなオリジナル曲で、特に日本を意識して書いたワケではないが出来上がってみるとどことなく日本的な感じがしたのでこういうタイトルを付けたのだという。彼らの前世はきっと日本人だったに違いない(笑) ヘタな日本人作曲家の作る曲よりも遥かに日本的なメロディーを持ったこの曲に目を付けた東芝EMIは永六輔による歌詞と「二人の銀座」という邦題を付けて、山内賢 & 和泉雅子のデュエットででリリースし大ヒット、これこそまさに “ベンチャーズ歌謡” の始まりだった。
 この「ポップス・イン・ジャパン」というアルバムは、ベンチャーズによるジャパニーズ・ポップスの集大成というべき内容で、1960年代後半になって新たなアプローチを模索していたベンチャーズがGSやフォークソングを中心とした当時の日本のヒット曲を演奏したもの。この企画は70年代に入っても続編が次々と制作されていき、アルバム5枚ぐらい出ていたように思う。私はベンチャーズに開眼してレコードやCDを集めまくっていた時に、今はもう閉店した大阪梅田のDisc JJ でベンチャーズの超入手困難 2 in 1 CDシリーズ を大量に発見(←何と1枚1,000円だった...)して狂喜したことがあるが、この「ポップス・イン・ジャパン №1 & №2」もその中の貴重な1枚だ。
 №1の方では⑤「東京ナイト」、⑩「横浜の灯は遠く」、⑪「ブラック・サンド・ビーチ」、⑫「銀色の道」の4曲がオススメ。期待していた GS 歌謡の最高峰①「ブルー・シャトウ」はスローなテンポ設定が災いして生気に欠けるし、③「涙のギター」は悪くはないが、スプートニクス版の方が優れているように思う。それ以外はまるで “歌のない歌謡曲” みたいな感じで、何でベンチャーズがこんなことせなアカンねん!と言いたくなるようなトホホなトラックだ。 №2の方では⑬「いとしのマックス」、⑳「青空のある限り」、(22)「風が泣いている」といったGS系の曲がいい。リズム歌謡屈指の名曲⑲「真っ赤な太陽」はベンちゃんらしさが発揮できず今一歩といったところ。この曲をもっとドライヴさせて聴かせてほしかった。⑭「小指の思い出」はハッキリ言ってちょっと堪忍してほしい(>_<)
 ボートラ7曲の中では上記の(26)「二人の銀座」と(28)「夜空の星」の2曲が抜きん出て素晴らしい。特に加山雄三&ランチャーズの「夜空の星」は哀愁をまき散らしながらハイスピードで疾走するキラー・チューンで、「ベンチャーズ・EPコレクション」という4枚組ボックスの中に入っていたこの曲を初めて聴いた時の衝撃はとても言葉では言い表せない(≧▽≦) もちろん加山ヴァージョンも素晴らしいが、ベンちゃんのヴァージョンはスピード、パワー、テクニックの切れ味と、全ての面で最高のロックンロールに仕上がっており、当のベンチャーズですらこのヴァージョンを超える「夜空」を出していない。とにかく全ベンチャーズ・ソングの中で私的トップ3に入るほど大好きなナンバーがこの「夜空」であり、私に “60年代ベンチャーズの音源を根こそぎ全部イクぞ!!!” と決意させ “テケテケ地獄”(笑)へと引きずり込んだ張本人(?)なのだ。

夜空の星(Yozora No Hoshi・Live Version)・・・ザ・ベンチャーズ (The Ventures)


Ginza Lights(二人の銀座)・・・The Ventures (ザ・ベンチャーズ)