shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

Spotnicks In Japan

2010-03-14 | エレキ・インスト
 私がエレキ・インスト・バンドでベンチャーズに次いで好きなのがスウェーデンのスプートニクスだ。今でこそこう言い切っているが、アメリカやイギリスのヒット・チャートしか知らなかった私は数年前までは彼らの演奏どころかその名前すら知らず、 “スポットニックスって何?” 状態だった。たまたま G3 の “欧米エレキ対決” 企画で901 さんや plinco さんに聴かせていただいた「霧のカレリア」に昭和歌謡と共通する哀愁を感じ、すっかり気に入ってしまったのがすべての始まりだった。
 日本人の心の琴線を震わすマイナー・メロディー(←サビに挿入されたロシア民謡の「トロイカ」がテーマのメロディーと絶妙に溶け合ってます!)をいかにも北欧らしい澄み切ったクリアーなトーンのギターが奏でるこの曲は、スプートニクスがまだ無名だった1961年にフィーネーズ名義でフィンランド・フィリップスから「AJOMIES」というタイトルでリリースしたものものを、1963年のアルバム「イン・ベルリン」に「KARELIA」と改題して再レコーディング、日本では1965年に大ヒットしたというエレキ・インスト屈指の大名曲だ。私はすぐにベスト盤CDをゲットし、ネットでディスコグラフィーを調べ、当時 SWEDISC というレーベルから出ていたボートラ満載のオリジ盤 CDを探す日々が始まった。“スポットニックス”(笑)から比べれば大きな進歩だ。
 当時は既にレコードや CD はネットで買うようになっており、大阪や神戸まで足をのばすことは滅多になかったのだが、天の啓示か、何となく出かけた大阪CDハンティングで思わぬ大収穫(^o^)丿 梅田のディスクJJ でベンちゃんの廃盤 CD を大量に買い込んだ勢いで、一気にミナミも根こそぎいったれとばかりに立ち寄った日本橋のサウンドパックで私を待っていたのがこの「スプートニクス・イン・ジャパン」CD だった。確かオリジ盤ディスコには載ってなかった気がするが、「イン・ジャパン」ということでベンちゃんのケースと同じように日本盤がオリジに違いないと直感した私は1,400円という安さもあって即決した。
 全14曲中、ベスト盤で既に知っていたのは①「ザ・スプートニクスのテーマ」、②「ジャニー・ギター」、④「ハヴァ・ナギラ」、⑦「霧のカレリア」、⑧「空の終列車」の5曲だが、私が断トツで気に入ったのが⑥「涙の太陽」という、ベスト盤には入っていない1曲だった。作詞作曲は Y.Nakajima - R.Hotrivers... ナカジマって、日本人??? ネットを駆使して色々調べ、作詞の R.Hotrivers が湯川れい子さんだと分かりビックリ(゜o゜) 湯川で Hot river というオチだが、日本では1965年にエミー・ジャクソンでヒットしたこの曲を翌66年2月の来日公演で初披露という手際の良さだ。とにかくこの⑥は疾走するようなスピード感がめちゃくちゃカッコ良く、この後にリリースされる「イン・トーキョー」に収録されたスタジオ録音ヴァージョンを遥かに凌ぐ素晴らしさで、私が「涙の太陽」収集を始めるきっかけになった名演なのだ。因みに大張り切りでドラムを乱打してるのは64年ビートルズのオーストラリア公演で扁桃腺のリンゴの代役を務めたジミー・ニコルだ。
 このライヴ盤では⑥以外にも③「何も云わないで」や⑭「見上げてごらん夜の星を」といった日本の歌が何曲か収録されているが、その中で⑥に次ぐ名演としては⑩「夏の日の想い出」が彼らの北欧トーンにピッタリ合っていてエエ感じだ。と、ここまで書いてきて、「夏の日の想い出」って、以前当ブログの「ワン・レイニー・ナイト・イン・トーキョー」でみながわさんに教えていただいた日野てる子の曲ではないか!今の今まで気がつかなかったが、間違いなく “きれいな月ぃがぁ~♪” で始まるあの曲だ。哀調曲の極北に位置するような鈴木道明メロディーを、ボー・ウィンバーグの哀愁を帯びた切ないギターの音色で聴けるのだからたまらない。それにしてもこんな風に思わぬところで繋がるから音楽ブログは面白い(^.^) 一人でネチネチ聴いてたら日野てる子なんて名前、知らないままスルーしていただろうから...
 ⑤「聖者の行進」、⑨「ヘイ・グッド・ルッキン」、⑪「オーヴァー・アンド・オーヴァー」、⑬「ホワット・アイ・セイ」といった曲はヴォーカル入りの平凡なロックンロールで、スプートニクスならではの持ち味が生かされているとは言い難い。彼らはこの頃から徐々に “怪しげな宇宙服を着てスペース・サウンド(笑)を奏でる北欧のギター・インスト・バンド” というイメージからの脱却を図るようになっていくので、このアルバアムはいわゆる過渡期突入直前のライヴと言え、見方を変えれば “爛熟期” 、花で言うと散り始める間際の最も美しい時期の彼らのサウンドを見事に音盤に封じ込めた傑作ライヴと言えるだろう。ただ、この盤は録音レベルがかなり低いので、私はデジタル・ヴォリュームを使って CD-R に焼き直し、ルディ・ヴァン・ゲルダー録音みたいな迫力満点のサウンドにして楽しんでいる(^o^)丿

涙の太陽


カレリア


夏の日の想い出
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