shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

さよならを教えて / フランソワーズ・アルディ

2010-03-05 | European Pops
 フレンチ・ポップスというとどうしてもシルヴィ・バルタンやフランス・ギャルといったイエイエ・アイドルのイメージが強いが、もちろん60年代フレンチ女性歌手のみんながみんなキャピキャピしていたわけではなく、落ち着きがあって知的でお洒落という “カッコイイ女性” 一派もちゃーんと存在していた。そんな一人が今日取り上げるフランソワーズ・アルディである。
 数年前、フレンチ・ポップスに目覚めて様々な女性シンガーを聴き漁っていくうちにフランソワーズ・アルディという名前に出くわした。フランソワーズか... もう名前だけで雰囲気抜群である。早速試聴してみると、どっかで聞いたことのあるような懐かしいメロディーが流れてきた。それがテレビの CM だったのかドラマの主題歌だったのかすら思い出せないが、フランス映画のワン・シーンを思わせるようなそのアンニュイなヴォーカルには確かに聞き覚えがあった。途中のボショボショボショ...という “語り” の部分が何を言ってるのかサッパリわからないため、まるでサウンドの一部に同化したように響き、それがかえってめちゃくちゃカッコイイのだ(^o^)丿 それがフランソワーズ1968年のヒット曲「さよならを教えて」(Comment Te Dire Adieu)だった。
 この曲、元々は第2次大戦時に “イギリス軍の恋人” と言われたヴェラ・リンが1954年に歌った “It Hurts To Say Goodbye” のカヴァーなのだが、それにあのセルジュ・ゲンスブールがフランス語詞をつけ、アンニュイな魅力横溢のフレンチ・ポップスとして再生したのがフランソワーズの「さよならを教えて」というワケだ。英米のロック/ポップスに慣れた私の耳には、そのどこか物憂げでけだるい感じが気持ち良く、 “こんなフレンチもエエよなぁ~(^o^)丿” とすっかり彼女の魅力にハマッてしまった。
 彼女のデビューは1962年、BMG 系の Vogue レーベルから「男の子女の子」という、郷ひろみの曲と間違えそうなタイトルの曲でデビュー、当時のフランス音楽シーンはイエイエ胎動期で、バックの演奏なんかシルヴィ・バルタンらの曲と似たような感じながら、彼女の憂いを含んだクールなヴォーカルは他のイエイエ・アイドルとは異質な雰囲気を醸し出していた。やがてイエイエ・ブームの終焉と時を同じくして1967年で Vogue レーベルを離れ、それ以降は年に1回アルバムを発表するだけというマイペースの活動になっていくのだが、そのサウンドもよりメランコリックで繊細なものになり、フォーキーな色合いを増していく。そんな “中期のフランソワーズ” を代表する1曲がこの「さよならを教えて」で、同時期の「もう森へなんか行かない」や「月の妖精」と並ぶフランソワーズ屈指の名唱だ。日本で一番聴かれているのも多分この頃の彼女だろう。私はフランス原盤EP、日本盤LP、日本盤シングル、日本盤CDと4種類持っている(笑)が、日本ではその後原盤権がEMIジャパンに移り、彼女の諸作がアホバカ CCCD になっているので要注意、堅気の音楽ファンにはエピックソニーから出た20曲入りベストCDが選曲・音質共にオススメだ。

Comment Te Dire Adieu
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