shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

Crystal Visions / Stevie Nicks

2010-01-28 | Rock & Pops (80's)
 スティーヴィー・ニックスのキャリアは長い。マック加入からもう35年の月日が流れ、その間にグループの一員として、そしてソロとして数多くのヒットを飛ばしてきたロック・ディーヴァである。80年代に活躍したアーティストの多くはグランジ/オルタナ系ロックやラップといった非メロディー志向のサウンドが台頭した90年代(私に言わせれば “洋楽暗黒時代” であり、ポップスは死んだも同然だった...)に失速し、21世紀に入って再評価されるというパターンが見受けられるのだが、多くのアーティストがそんな紆余曲折の中でベスト盤、それもたいていはレーベルの枠を超えたオールタイム・ベストを出しており、彼女も例外ではなかった。しかし 80'sに一区切りつけた「タイム・スペース」(91年)は正直言って選曲がイマイチだったし、ボックス・セット「エンチャンティッド」(98年)は3枚組ということもあってあまり一般向けとは言えなかった。そんな不満を一気に解消してくれてオツリまで来そうな究極のベスト盤が3年前にリリースされたこの「クリスタル・ヴィジョンズ」である。
 このCDは「ベラ・ドンナ」(81年)、「ザ・ワイルド・ハート」(83年)、「ロック・ア・リトル」(85年)、「ジ・アザー・サイド・オブ・ザ・ミラー」(89年)、そして「トラブル・イン・シャングリラ」(01年)という5枚のオリジナル・アルバムからのセレクション(94年の「ストリート・エンジェル」からは選ばれていない...)に加えて、未発表ライヴ音源も何曲か収録されているのが嬉しい。又、ライナーには曲ごとに彼女自身による解説がついており、ファンには興味深い内容だ。更にこのアルバムにはCDオンリーと、CD+DVDという2種類のフォーマットがあり(←最近こーゆーパターン多いよなぁ...)、DVDには過去のビデオクリップ13曲分(それぞれ彼女のコメント音声入りとナシの両方が選べます)にプラスして、1st アルバム「ベラ・ドンナ」制作時のレコーディング風景が30分も入っているのだ!!! コレ、ホームビデオで撮影されているので画質はあまり良くないが、私のようなスティーヴィー・マニアにはたまらない超お宝映像だ。ただ、日本盤はCDオンリー(←レコード会社はヤル気ないんか?)なので、ほぼ同価格で倍以上楽しめるリージョン・フリーDVD付き輸入盤の方を迷わずゲットだ。
 上記の未発表音源だが、「噂」からの 2nd シングルで全米№1を獲得した名曲⑦「ドリームス」は “ディープ・ディッシュ・クラブ・ミックス” という何のこっちゃわからん過激なハウス・リミックスによって換骨堕胎され、ダンス・ナンバーへと華麗な(?)変身を遂げている。最初聴いた時は “何じゃいコレは?” と思ったが、何度も聴くうちに違和感は雲散霧消し、気がつけばリズムに乗って首を振っている始末(笑) ファンとしての心の広さを試される面白いトラックだ。「ファンタスティック・マック」に入っていた彼女の出世作⑧「リアノン」は2005年サンタ・バーバラでのライヴ・ヴァージョンで、97年のマック・リユニオン・アルバム「ザ・ダンス」に似たアレンジだ。この曲は今まで何百回と聴いてきたが全然飽きない。彼女のヴォーカルも昔に比べて衰えは微塵も感じられず、むしろ円熟味も加わって魅力を増しているようにすら思う。
 ⑪「ランドスライド」と⑯「エッジ・オブ・セヴンティーン」は2006年のメルボルン交響楽団との共演ライヴ・ヴァージョンで、特に弦入りで聴く⑯が実に新鮮に響く。そして本盤最大の目玉がゼッペリンの⑭「ロックンロール」をカヴァーした2005年のライヴ・ヴァージョン。彼女の解説によるとゼッペリンは昔から大好きで、この曲をずぅ~っと歌いたかったのだそうだ。女性ロッカーの「ロックンロール」といえばハートの高音炸裂ヴァージョンがすぐに思い浮かぶが、スティーヴィーも負けず劣らずロックしている。ちょうどステージ袖で見ていたロバート・プラントが絶賛したということだが、還暦を迎えてますます盛んな彼女を突き動かすこの曲の、そしてロックという音楽の底知れぬパワーを痛感させられる。とにかく妖精のスティーヴィーしか知らない人はコレを聴いてブッ飛んで下さいな。もうめっちゃカッコエエでぇ~(^o^)丿 

Stevie Nicks - Rock 'n Roll (Live) HD


Deep Dish Feat. Stevie Nicks - Dreams [Official Video HD]