shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

真夏の出来事 / ヒマラヤ・ミキ & Modokees

2010-01-19 | Cover Songs
 私はちょっと変わった盤、面白い盤が大好きで、このブログでもパンクルズや王様は言うまでもなく、 “ビートルズと童謡の融合” や “ボッサ化された脱力系ストーンズ” 、 “ロシア語で唄われるザ・ピーナッツ” に “カーペンターズの関西弁ヴァージョン” といったいわゆる “面白カヴァー” を率先して取り上げてきた。関西人特有のいちびりなDNAのせいなのか、あるいは後天的に身に付いたものかは分からないが、とにかく珍盤・奇盤・怪盤には目がない。
 以前平山みきにハマって彼女のディスコグラフィーを調べていた時に、彼女最大のヒット曲「真夏の出来事」のカヴァー・ソングの存在を知った。歌手の名は... ヒマラヤ・ミキ...??? ヒラヤマではなくヒマラヤってアンタ、面白すぎるやん(^o^)丿 一体誰が考えたのかは知らないが、私はこういう洒落っ気が大好きなんである。コレは絶対に聴きたいっ!!! と思ってネットで色々調べてはみたものの、アルバムは出ていないらしい。そりゃそうや、こんなおちゃらけたネーミングはどう考えても一発狙い... シングル盤1枚のワン・ヒット・ワンダーズ・コースだ。
 更に色々調べていくうちにオドロキの事実が発覚した。このヒマラヤ・ミキなる歌手、あの「夜霧のハウスマヌカン」を歌っていた “やや” という女性シンガーの変名だというのだ。1986年に流行ったこの「夜霧」、シングル盤のジャケットに “空前絶後のプログレッシヴ演歌” とあるのが笑える(←キング・クリムゾンかよ!)が、 “蒼いうなじは心意気...触れてください後ろから...刈り上げても剃り上げても...また毛が生えてくる~♪” とか、 “お金もないのにミエをはる...また昼はシャケ弁当~♪” とか、一度聴いたら忘れられないようなユニークな歌詞が大好きで、当時洋楽一辺倒だった私でもこのノベルティー・ソングだけはよく聴いていた。YouTube で映像を見ると結構キレイな女性で、何でも元モデル出身なんだそうだ。そんな彼女が “やや” としてデビューする前の1982年にヒマラヤ・ミキ & Modokees 名義で出したシングルが上記の「真夏の出来事」なのだ。
 「夜霧のハウスマヌカン」が “プログレッシヴ演歌” ならこのシングルは80年代初頭に流行った “テクノ歌謡” そのもので、 “やや” 改めヒマラヤさん(笑)のハスキーな声質は平山みきにそっくり。ミキティーをサイボーグ化したような歌い方とシンセやドラム・マシーンを駆使したバックの無機質なサウンドが絶妙にマッチしており、コレはコレで面白い。このカヴァーが出た時、本家のミキティーは自分のパッチモンの出現に憤慨したらしいが、作者の筒美京平さんの “ニセモノが出てくるなんて凄い事だ... 一流の証だよ。” の一言で納得したとのこと。京平さんらしいエピソードだ。そんなヒマラヤ・ミキの「真夏の出来事」、ミキティー・マニアなら持っていて損はない貴重な1枚だと思う。

真夏の出来事 ヒマラヤ・ミキ


夜霧のハウスマヌカン やや Yaya 2008