shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

筒美京平を歌う アンド・モア (Disc 2) / 平山三紀

2010-01-22 | 昭和歌謡
 「平山三紀 筒美京平を歌う アンド・モア」の Disc-2 はまず1984年のアルバム「EMISSION」収録曲からスタートするのだが、私的にはこの頃のJ-Pops 曲は70年代に比べるとどうしても薄味に聞こえてしまうし、そのサウンドもシンセの打ち込み音とかが多くてどうも苦手である。特に Disc-1 から通して聴いてくるとその落差に愕然としてしまう。筒美京平という人は常にその時代の大衆のニーズに応えてきた究極の職業作家なので、コレが 80’s J-Pops だと言われるとぐうの音も出ないのだが...(>_<) そんな中ではシングル①「サイレン」のB面だった②「ヨコスカ・マドンナ」がエエ感じ。やっぱり彼女にはヨコスカがよく似合う。⑤「AZABUまで」も昭和っぽいメロディーがあちこちに顔をのぞかせていて悪くない。ただ、③「嫌だ!」のイントロは完全にカーズの「ユー・マイト・シンク」そのものだし、④「人間失格」のベース・ラインはフランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッドの「リラックス」そっくりで、このあたりはミエミエのパクリなのか、確信犯的にウケ狙いで笑わそうとしてるのか、どーなんやろ? 続く87年のアルバム「チェス」の曲もいま一つ心に響いてくるものがない平凡なナンバーが並んでいる。これならむしろシングルになった「冗談じゃない朝」(←イントロがブロウ・モンキーズの「イット・ダズント・ハフ・トゥ・ビー・ザット・ウェイ」そのまんま!)や「ヴァイア・コン・ディオス」を入れた方が良かったように思うのだが、その辺は何か大人の事情があるのかな?
 このDisc-2 は後半にコロムビア及びソニー音源の外国曲カヴァーが並んでおり、前半部よりも遥かに魅力的だ。まずは71年のデビュー・アルバム「ビューティフル・アルバム」に収められていた外国曲カヴァーを6連発なのだが、コレがもうめちゃくちゃ素晴らしい!!! 当時は新人のデビュー・アルバムにはオリジナル曲不足を補うためにポップスのカヴァーを収録することが多かったのだが、今にして思えば非常に貴重な音源のオンパレードになっている。ドーンの⑩「ノックは3回」、ビートルズの⑪「ア・ハード・デイズ・ナイト」、映画主題歌⑫「ある愛の詩」、ダスティ・スプリングフィールドの⑬「この胸のときめきを」と⑭「スプーキー」、そしてボビー・ヘブの⑮「サニー」という、平山三紀の資質を見抜いた橋本=筒美コンビによる絶妙な選曲に脱帽だ。特に⑪はあの妖しさ満点の和モノ・ビートルズ・カヴァー・コンピ集「フロム・リヴァプール・トゥ・トーキョー Vol. 2 」にも入っていたのでご存じの方も多いかもしれないが、京平さんのユニークなディキシー・アレンジがかえって新鮮に聞こえるのが面白い。ダスティの2曲はコワいぐらいに彼女のヴォーカルに合っていて参りましたという感じ。⑮は以前このブログでも取り上げた超愛聴曲で、この曲をミキティーが歌ってくれただけで嬉しくってたまらない。この曲の旋律と彼女のハスッパな歌い方が絶妙のマッチングを見せている。エンディングの “ラララッ!!!” もたまらんなぁ...(≧▽≦)
 最後の6曲は74年のソニー移籍第1弾アルバム「熟れた果実」に入っていたもので、ダスティの⑯「ジャスト・ア・リトル・ラヴィン」、スリー・ディグリーズの⑰「荒野のならず者」、ロバータ・フラックの⑱「やさしく歌って」、ヘレン・レディの⑲「リーヴ・ミー・アローン」、レオン・ラッセルというよりは断然 “カレン・カーペンターの曲” というイメージが強い⑳「マスカレード」、ダイアナ・ロスの(21)「ラスト・タイム・アイ・ソー・ヒム」と、この時代を反映した選曲だ。これまたどれも良い出来なのだが、やはり大好きな⑳にトドメをさす。これこそまさに洗練の極み、ジャジーなムード横溢で、 “ボッサ・スイング・ヴァージョン” と言ってもいいぐらいカッコ良いアレンジに涙ちょちょぎれる。彼女のヴォーカルも貫録十分だ。平山三紀といえばどうしても「真夏の出来事」を始めとするオリジナル・ヒット曲に目が行きがちだが、カヴァーも抜群に巧いということが良く分かる Disc-2 後半である。彼女はまだまだヤル気満々で現役感バリバリなので、これからもドンドン新作を出して我々ファンを楽しませてほしいものだ。

マスカレード
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