shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

Passion Mina in N.Y. / 青江三奈

2010-01-14 | 昭和歌謡
 ちあきさんにハマッて以来昭和歌謡をよく聴いている。私の音楽人生は、ビートルズは別格としてそれ以外のジャンルに関しては、ある時はオールディーズの懐かしいメロディーに浸りきり、ある時は胸毛系ハードロックでヘッドバンギングし、ある時はイエイエに萌え(笑)、又ある時は昭和歌謡で日本人の血に目覚める、といったことの繰り返し。そんな行ったり来たりの振幅の中で未知の盤に出会いながら新鮮な感動を味わっている。やはり私には洋邦問わず昔の音楽が合っているようだ。
 ということで今日は青江三奈でいこう。以前このブログで彼女のジャズ・アルバム「ザ・シャドウ・オブ・ラヴ」(93年)やブルースに回帰した「レディ・ブルース -女・無言歌-」(90年)を取り上げたことがあったが、 “90's 三奈3部作” の残る1枚がこの「パッション・ミナ・イン・NY」(95年)である。このアルバムは、マル・ウォルドロンらバリバリのジャズメンを迎えて制作された前作「ザ・シャドウ・オブ・ラヴ」が好評だったのを受け、ジャズの本場ニューヨークに乗り込んで行われたチャリティー・ディナー・ショーの模様を収録したライヴ盤で、バックを固めるのはすべて現地のジャズメンたち... ルー・ソロフやデヴィッド・スピノザ(ポールの「ラム」やジョンの「マインド・ゲームズ」にも参加した腕利きギタリスト!)という凄いメンツだ。いやはや、バブリーというか、ホンマにエエんかいな...(笑)
 まずはニューヨークの喧騒の SE に続いてアート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズの代名詞とも言える「モーニン」のテーマに乗せて歌手生活30周年を迎えた彼女を紹介する英語のMCが入り、 “おぉ、いきなり「モーニン」かよ!めっちゃ雰囲気あってエエなぁ(≧▽≦)” と思っていると、「モーニン」から実にスムーズに①「伊勢佐木町ブルース」に切り替わり(1分27秒)、例の溜め息ヴォーカルが炸裂... お、面白すぎる!NY摩天楼に響き渡る “ドゥドゥビ・ジュビ・ドゥビ・ジュビドゥヴァ~♪” が圧巻だ。あ~腹筋痛い(>_<) 私なんかこのオープニングだけでメシ3杯は喰えますわ(^o^)丿 
 アットホームな雰囲気の中、②「長崎ブルース」、③「夜の池袋」、④「国際線待合室」と彼女の十八番を連発、いわゆるひとつの “歌謡曲のブルース” は聴きようによってはクッサクサなのだが、そこがまたファンにはタマランのよね(^.^) このままコテコテ路線でラストまで突っ走るのかと思いきや、流れてきたピアノのイントロは何とビリー・ジョエルの⑤「ニューヨーク・ステイト・オブ・マインド」、中々ニクイ選曲である。雰囲気だけで聴かせてしまうところなんか、さすがはクラブ・シンガーで鍛えただけの事はある。年季が違いますわ(^.^) 
 アメリカ人にもなじみの深い⑥「上を向いて歩こう」はあえてレゲエ調にアレンジして歌っているのだが、コレが結構面白い。正直、最初は違和感があったのだが、何度も繰り返し聴くうちにハマッてしまった。⑦「ラヴ・イズ・フォーエヴァー~いつかまた~」、⑧「白樺の小径」、⑨「淋しい時だけそばにいて」、⑩「恍惚のブルース」と、又々コテコテ路線が続き、彼女の日本人としてのアイデンティティーが強い説得力で迫ってくるが、本場ニューヨークのジャズメンが真剣な表情で歌謡ブルースの伴奏をしているところを見てみたかった(笑)。
 ラストの⑪「女とお酒のぶるーす」ではスピノザのゲンスブールなフレーズに大爆笑、テナーもこれで最後と吹っ切れたのか、「アンダー・ファイアー」のガトー・バルビエリみたいにブヒバヒ吹きまくり、そこに彼女の濃厚にして芳醇なハスキー・ヴォイスが絡んでいくという、ちょっと他では味わえないような妖しさがたまらない。そして最後は取って付けたような「モーニン」のテーマへと戻って幕となる。いやぁ~、コレは私も含めてその筋系(?)の音楽が好きな人間には堪えられない痛快な1枚ですわ(≧▽≦) 

青江三奈-オープニング "MOANIN"~伊勢佐木町ブルース