shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

The Beatles Live at the BBC (Disc 2-Pt. 1)

2009-10-29 | The Beatles
 Disc-2 になると俄然ビートルズ公式録音曲(カヴァーも含む)の含有率が高くなる。Disc-1 が28曲中9曲と32%だったのに対し、Disc-2 では28曲中17曲で61%と約2倍近くまでアップしている。普通ならキャーキャーうるさい嬌声に邪魔されずに白熱のスタジオ・ライブが聴けると大喜びなのだが、このアルバムの編集ではそう単純に喜んでばかりもいられない。
 まず②「ア・ハード・デイズ・ナイト」、何じゃいコレは?具体的に言うと1分18秒から1分32秒までの間奏部分だけレコードの音で、その前後がスタジオ・ライブという何ともブサイクな編集なのだ。それも誰が聴いても明らかに分かるような稚拙な繋ぎ方で、他にも良い音源があったはずなのに何でわざわざこんな不自然極まりないテイクを入れたのかワケがわからない。歌の方もノリがイマイチで切れ味に欠け、特にアタマの部分は何か一瞬躊躇してから歌い出しているような感じがするし、全般的にいつもの大爆発が感じられない。ジョンもポールも揃って疲れてたんかな?
 それから⑧「シングス・ウィー・セッド・トゥデイ」、サビに入ると(1分1秒、1分43秒から)なぜかいきなり音が潰れたような歪み方をするのだ。全トラックの音質を均一に揃えてくれとは言わんけど、もーちょっと何とかならんかったんか?カーステで聴いててもめっちゃ違和感あったから、スピーカーの大音量で聴くとちょっとキツイもんがある(>_<) 選曲・編集したのはジョージ・マーティンを中心とする制作スタッフとのことだが、もう少し気持ちよく聴ける編集にしてほしかったというのが正直なところ。
 更に⑨「シーズ・ア・ウーマン」、演奏自体はケチのつけようのない素晴らしさなのだが、1分16秒、2分11秒からのサビの部分でヴォーカルにオーヴァーダブっちゅーのはちょっと興ざめで、これでは「ライブ」の看板に偽りありと言われても仕方がない。私としては、ハリウッド・ボウルや日本武道館でのストレートアヘッドでグルーヴィーな「シーズ・ア・ウーマン」の方がライブの醍醐味が味わえて何倍も好きだ。
 まぁ文句はこれぐらいにして(笑)、それ以外はさすがビートルズ、と唸るような演奏が並ぶ。④「アイ・ウォナ・ビー・ユア・マン」では日本公演で見せたあの全身を震わせながら歌うリンゴの姿が目に浮かぶような熱い歌声が聴けるし、⑥「ロール・オーヴァー・ベートーベン」もキャヴァーン時代からイヤというほどプレイしてきただけあって実に余裕を感じさせる演奏だ。特にジョージのギターの切れ味は聴いてて気持ちエエなぁ...(^.^) 私の大好きな⑦「オール・マイ・ラヴィング」ではリンゴが公式テイクとは違う叩き方をしており、それが独特なグルーヴを生んでいて面白い。ビートルズはBBCライブを色々な試行錯誤の場として活用していたのかもしれない。
 ⑩「スウィート・リトル・シックスティーン」といえばチャック・ベリー、チャック・ベリーといえばジョン・レノンと決まっているのだが、それにしてもこの曲とジョンの相性の良さはハンパではない。高校生の時に「スター・クラブ・ライブ」で初めてこの曲を知って一発で好きになり、それ以来私にとって「スウィート・リトル・シックスティーン」といえばジョン・レノンなのだ。曲そのものも典型的なロックンロールでエエ感じで、ジョンのドスの効いた太いシャウト・ヴォイスを得て、唯一無比というか、ザ・ワン・アンド・オンリーというか、とにかくドライヴ感溢れる最高の「スウィート・リトル・シックスティーン」になっている。このBBCライヴはジョン・レノンという稀代のロックンローラーの凄みを実感させてくれる貴重なアルバムだ。

Early Beatles "sweet little sixteen"