shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

Hey Jude / The Beatles

2009-10-09 | The Beatles
 ビートルズのアルバムは、1987年の初CD化の際に世界基準としてすべてUKオリジナル・アルバムのフォーマットに統一され、アナログLPでそれまで公式盤として売られていた日本盤やUSキャピトル盤は店頭から姿を消すことになった。私はラッキーなことに入門時からビートルズのアルバムはイギリス盤のフォーマットをベースに聴いてきたのでLPからCDへの移行にまったく違和感はなっかったが、唯一残念だったのが、長年にわたって愛聴してきたこの「ヘイ・ジュード」がカタログから消えてしまうことだった。
 このアルバムはポールが正式にビートルズ脱退を表明して1st ソロ・アルバム「マッカートニー」をリリース(4月)し、ビートルズのスワン・ソング・アルバム「レット・イット・ビー」(5月)が出された1970年の2月にアラン・クラインの指示によりキャピトル・レコードからリリースされたアメリカ編集盤で、当初はアメリカ、カナダ、そして日本のみで発売されていた。ビートルズ周辺のキナ臭い動きが活発に報じられていた時期だけあって、新曲も入っていないこのアルバムは全米2位まで上昇し、何と400万枚近くを売り上げたという。さすがは金の亡者アラン・クライン、アブクゼニの稼ぎ方は天下一品だ。
 ジャケットに写るのはアスコットにあるジョンの屋敷をバックにした4人で、これはちょうど彼らの最後のフォト・セッションで撮影されたものだ。4人の頭上のちょうど窓に当たる部分に4人の別の写真が組み込んであるところなんか凝ってて大好きだ。尚、このアルバムは上記のような理由からUSキャピトル盤がオリジナルなのだが、ハイ上がりで低音域が痩せ気味なUS盤ではなく、音のバランスが良いUK盤で聴きたい。1st プレスは英パーロフォンが国外輸出専用にプレスしたもの(CPCS-106)で、黒パーロフォン・レーベルに銀文字でEMIの1ボックス・ロゴが目印なのだが、これがもう恐ろしいくらいの鬼レア・アイテムでほとんど市場で見かけることはない。このエクスポート・イシューの2nd プレスはダーク・グリーン・アップル・レーベルで、レーベル面の2つのミス・スペリング(「Paper Back Writer」と「Revolutions」)が目印なのだが、これも軽く百ポンドを超えるプレミア価格。オークションでよく見かけるのは1973年にプレスされたライト・グリーン・アップル・レーベルの3rd プレス盤だが、安物買いの銭失いになりたくないのでどうしても二の足を踏んでしまう。因みにこのアルバムがイギリス国内向けに発売された(PCS-7184)のは何と1979年で、レーベルはEMIの2ボックス・ロゴになっている。これら4種類のUK盤にUS盤も併せて聴き比べとかできたらきっと楽しいやろうなぁ...
 このアルバムの収録曲はA面が①「キャント・バイ・ミー・ラヴ」、②「アイ・シュッド・ハヴ・ノウン・ベター」、③「ペイパーバック・ライター」、④「レイン」、⑤「レディ・マドンナ」、⑥「レヴォリューション」の6曲、B面は①「ヘイ・ジュード」、②「オールド・ブラウン・シュー」、③「ドント・レット・ミー・ダウン」、④「ザ・バラッド・オブ・ジョン・アンド・ヨーコ」の4曲。これは 64、66、68、69年のシングルAB面曲を何の脈絡もなくただ並べただけの、コンセプトも統一性も何もない選曲で、最初この曲目を見て “何じゃコレは?” と訝しく思ったものだった。後でわかったことだが、それまでアメリカではモノラルでしか聴けなかったA③④⑤⑥B①がフル・ステレオ・ヴァージョンで聴けるというのがキャピトルのウリで、A①②はキャピトルのアルバムには未収録だったシングル(赤ジャケの「ア・ハード・デイズ・ナイト」USサントラ盤はユナイテッド・アーティスツから出ていた...)ということらしい。とにかくアメリカ人以外には実に不可解な選曲だ(笑)。
 しかしビートルズ・ド素人だった私はそんな裏事情など知るわけもなく、 “ビートルズ最大のヒット曲「ヘイ・ジュード」をフィーチャーしたアルバム” として聴きまくった。すでにA①②③は耳にタコが出来るほど聴いていたが、それ以外は私にとっては初めて聴くいわば“新曲”だったし、「パスト・マスターズ」などまだ存在していなかったあの時代にあっては、何よりもこの盤でしか聴けない貴重な音源だったからだ。A①②は「ア・ハード・デイズ・ナイト」、A③④は「赤盤」や「リヴォルヴァー」の流れの中で聴く方がしっくりくるので、このアルバムに関してはいつも A⑤⑥→B①②③④という流れで聴くことが多かった。オリジナル・フォーマットのLPにこの盤を加えれば「ペパーズ」以降の主要な音源はすべて揃うことになるので、私の中ではこのアルバムは時系列で言うと “「ホワイト・アルバム」と「レット・イット・ビー」の間に位置する準オリジナル・アルバム” 的な位置づけだ。確かに「パスト・マスターズ」や「モノ・マスターズ」の方が収録曲も多くて合理的なのは分かるが、あの無味乾燥なジャケットでは聴く喜びも半減してしまう。やっぱり音楽はジャケットの魅力も含めてナンボ、だと思うのだが...(>_<) そういう意味でもこの「ヘイ・ジュード」は、ジャケットを見ただけで「レヴォリューション」を歌うジョンや「ヘイ・ジュード」を歌うポールの声が聞こえてくるような、私にとって思い出深い1枚なのだ。

ポールとジョージのシュビドゥワ・コーラスが好きです↓
The Beatles - Revolution