shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

Real Love / The Beatles

2009-10-13 | The Beatles
 ビートルズのアンソロジー・プロジェクトで「フリー・アズ・ア・バード」に続く新曲(?)第2弾としてリリースされたのがこの「リアル・ラヴ」である。曲そのものは既に1988年の「イマジン・サウンドトラック」で世に出ていたこともあって?な部分もあったが、元になったテイクも違うし(「イマジン・サントラ」はテイク6なのに対しこちらはテイク1)、「フリー・アズ・ア・バード」の時と同様、リンゴのドラムが生み出すグルーヴがこの曲にまごうことなきザ・ビートルズの刻印をしっかりと刻み込む。間奏のジョージのギター・ソロも涙ちょちょぎれる素晴らしさだ。テープのピッチを上げ、キーも変えてある(←デモ・テープのテンポのヨレを隠すためという説あり)ようなのでジョンの声が少し甲高く聞こえる(「アクロス・ザ・ユニヴァース」の “バード・ヴァージョン” みたいな感じ)が、ビートルズ中期以降ジョンは自分の声を加工するのが好きだったので特に違和感はない。ポールがインタビューで “この曲は「フリー...」と違って既に歌詞も曲も完成していたので付け加える部分がなく、ビートルズというよりジョンのサイドメンみたいな感じだったので「フリー...」ほどは楽しめなかった、良い出来だとは思うけどね...” と言っていたが、確かに「フリー...」での見事な仕事ぶりを考えれば今回はあまり目立ってないし、アレンジもジェフ・リン色が濃いように思う。
 曲としては「フリー...」よりもポップな感じで私はこっちの方が好きだ。いかにもジョンらしい優しさ溢れる美しい旋律を持った曲で、雰囲気としては「イマジン」あたりに入っていてもすんなり聴けそうなのだが、実際は1979年に録音されたピアノによる弾き語りのホーム・レコーディング・テープが元になっているという。どちらかと言えばシングル向きというよりもむしろB面2曲目あたりにひっそりと収まっていそうな(←あかん、どーしてもアナログLP的な発想が抜けへん...)、ファンが目を細めて聴き入る隠れ名曲だと思う。
 そして今回もまたビデオ・クリップが感涙モノで、ジョンの白いピアノが上空へと昇っていく映像で始まるところがイントロにコワイくらいに合っててゾクゾクするし、ペパーズの衣装やMBE勲章、彼らの楽器、それにアルバムが天空高く昇っていく映像とそれを見上げる人々(←ルーフトップ・コンサートの時の映像を実に巧く使ってます!)のシーンでは “ビートルズが天に帰っていく” ようで、 “これで本当に最後の最後なんやなぁ...” という想いに感極まり、そこにかぶさるように流れてくるジョージ渾身のギター・ソロも相まって何度見ても目頭が熱くなる。更に、和気あいあいとした雰囲気で楽しそうにこの曲をレコーディングする3人の姿や、若かりし頃のB4の映像(←3分28秒のジョンの “あい~ん” 顔なんかもう最高!)が随所に挟まれていたりするのもファンには堪らない。超高速フラッシュバックを用いたエンディングの処理なんかもう鳥肌モノだ。個人的にはポールとジョージがハグするシーン(3分20秒のあたり)が見れたのが何よりも嬉しかった。

The Beatles - Real Love [HD]