shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

The Beatles Anthology 2 (Disc 2-Pt. 2)

2009-10-19 | The Beatles
 アンソロジー2収録のペパーズ曲でダントツに好きなのがこの⑫「サージェント・ペパーズ(リプリーズ)」。他の曲でもそうだが、スタジオ芸術の最高峰と言われる「ペパーズ」の核にあるのはあくまでもロックンロール・バンドであり続けようとするビートルズのロック魂であり、それを最も如実に伝えるのが躍動感溢れるこのトラックだ。ただのガイド・ヴォーカルだというのにポールはノリノリだし、何と言ってもリンゴの一撃必殺ドラミングがビシバシと面白いようにキマッて気持ちエエことこの上ない。これがたったの1分27秒で終わるなんてもったいない、もっとずぅーっと続いてくれ、と思わせるカッコ良いヴァージョンだ。
 ⑬「ユー・ノウ・マイ・ネーム」はシングル「レット・イット・ビー」のB面曲で、最終ミックス時の編集でカットされたパートを復活させたコンプリート・ヴァージョンらしいが、元々が酔っ払いのドンチャン騒ぎみたいな(笑)面白い曲なのであまり大きな違いは感じられない。それよりも、一聴アヴァンギャルドなナンバーでありながら、聴いてて不快なだけのムチャクチャな演奏ではなく、ちゃーんと一本筋の通ったメロディアスなものになっているところがビートルズのビートルズたる由縁だろう。そしてこれに続くのがサイケの極北⑭「アイ・アム・ザ・ウォルラス」という凄まじさ。これはストリングスやコーラスなどのオーヴァーダビングを重ねる前のベーシック・トラックで、ジョンが “Yellow matter custard~♪” という歌詞に入るタイミングを1小節間違え(1分39秒あたり)、言葉を飲み込むところが生々しい。それにしても一連のペパーズものに続けてこの⑬→⑭を聴くと、ビートルズとは何と懐の深い、プログレッシヴなバンドだったのかと改めて痛感させられる(≧▽≦)
 「フール・オン・ザ・ヒル」は「ノー・リプライ」の時と同じく⑮「デモ」と⑰「テイク4」が分散収録されており、これもCD-Rに連続収録して感動を味わっている。何より凄いのはまだ「デモ」の段階だというのに既に品格滴り落ちる大名曲の顔をしているということ。そしてそれをビートルズとして磨き上げていった完成形一歩手前の音源が「テイク4」ということで、この後に公式ヴァージョンを続けて聴くことによって “曲よし演奏よしアレンジよし” の3拍子揃った名曲名演誕生物語が完結するのだ。⑮⑰に挟まれた形の⑯「ユア・マザー・シュッド・ノウ」はアタマの部分で “レッツォーゲラッパァ~ン... レッツォーゲラッパン ダンス トゥアソン...♪” と曲に入るタイミングを計るかのようなポールの歌い出しがカッコイイ!それに輪をかけて凄いのがリンゴの変幻自在のドラミング。どんな曲を演ってもそれぞれの曲に最適にファイン・チューンされたビートを刻み続け、他の誰にもマネの出来ない圧倒的なグルーヴを生み出す彼こそがビートルズ・サウンドの要だということを改めて示す強烈なトラックだ。
 ⑱「ハロー・グッバイ」は公式ヴァージョンの元になったテイク16 でほぼ完成されているが、イントロのギターのパートがちょっと違うし、1分20秒あたりに入るはずの “ワゥワゥワゥ ワゥワゥワゥ ドゥユセ~♪” のパートもまだない “完成一歩手前” 状態が聴ける。⑲「レディ・マドンナ」はテイク3と4とを合わせたニュー・リミックス・ヴァージョンで、中間部とエンディングのホーン・アレンジが公式ヴァージョンとは違うところが耳に新鮮に響く。まぁ別テイクが一つ増えたようなモンだろう。⑳「アクロス・ザ・ユニヴァーズ」に関してはこのブログでも何回か取り上げてきたが、ここに収録されたのはオーケストラやコーラス、効果音etc の入っていないシンプルなヴァージョンで、フィル・スペクターがあれこれ手を加える前の貴重な音源だ。コッテリしたソースの味付けの妙で食べさせるフランス料理のようなスペクター流プロデュースに対し、こちらは素材の旨味だけで食べさせるシンプルな和食の味わいといったところだろうか。味付けの好みが十人十色であるように、この「アクロス・ザ・ユニヴァーズ」論争(?)に決着がつくことはないだろう。

The Beatles "Across The Universe"
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