shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

Yesterday & Today (Butcher Cover) / The Beatles

2009-10-25 | The Beatles
 いきなりのこのジャケット、いやはや強烈なインパクトである。ということで今日はブッチャー・カヴァーを取り上げよう。ある一定の年齢層以上の平均的日本人にとって “ブッチャー” といえば黒い呪術師だが、ビートルズ・ファンにとっては泣く子も黙るブッチャー・カヴァーしかない。正確に言うとアメリカにおけるビートルズのアルバム「イエスタデイ・アンド・トゥデイ」の初版のことで、一旦は発売直前までいったものの、白衣を着た4人が肉屋に扮して首の取れた赤ん坊の人形や肉片を持って笑っているというシュールというか悪趣味というか、そのあまりにもエグいジャケットのために “こんなモン店に並べられるかいな!” と小売店から苦情が殺到し、慌てたキャピトル・レコードがそれらを全て回収し、時間がなかったこともあってブッチャーの上から新しいジャケット写真(4人がトランクに腰かけている通称 “トランク・カヴァー” と呼ばれるもの)を貼り付けて発売したという、いわくつきのレコードである。
 このような回収騒ぎがあると回収漏れになったブツにはプレミアが付いてコレクターの絶好の標的になるのが常で、ましてやそれが天下のビートルズとなるとその価格もハンパなものではない。一説によると1st state と呼ばれる正真正銘のオリジナル盤(要するに回収されなかったブツ)は状態が良ければ軽く2,000ドル以上はするらしいし、トランク・カヴァーの下にブッチャー写真が透けて見える 2nd state の paste over やトランク・カヴァーをキレイに剥がした 3rd state の peeled cover でも1000ドル以上するというから開いた口がふさがらない(゜o゜)  しかも出荷枚数の少なかったステレオ盤の方がモノラル盤よりも希少価値があって更に値が張るというから、これはもう究極のコレクターズ・アイテムだ。そういえば昔 “トランク・カヴァーの剥がし方講習会” なんてものもあったなぁ...(笑) YouTube で見つけたピーリング映像を下に貼っといたので興味のある方はどーぞ。とにかくジャケットの希少価値だけのために30万円だなんて、ビンボー人の私には想像もつかない驚異の世界だ。
 何だかジャケットの話ばかりになってしまったが、このアルバムはジャケットこそがすべてであり、ブッチャー・カヴァーの盤質がどーしたとか、音楽性がこーしたとかいうハナシは今まで一度たりとも聞いたことがない。しかも私は UK 盤の選曲・配列が身体に染み込んでいるので今更 US 盤を聴いてみようという気にもならない(>_<) それこそジャケットのブッチャーさながらにビートルズのオリジナル・アルバム「ヘルプ!」「ラバー・ソウル」「リヴォルヴァー」の3枚をバラバラに解体し、ムチャクチャな配列で(一体キャピトルの誰が曲順とか決めてるんやろ?)再構成したアルバムなんてアホらしゅーて聴いてられない。私にとって US盤はジャケットだけあれば十分だ。因みに私が持っているのは安物のカウンターフィット盤で、未だに一度も針を落としたことがない。私の部屋は壁に無数のフックが取り付けてあってちょうど昔のレコ屋みたいにLPレコードのジャケットを何枚も飾っているのだが、このレコードも話のネタにと買ってみたもので、ビートルズ・レアジャケ特集の時に壁面を飾っている(笑)。まぁコレクションの中に1枚ぐらい聴かずに見るだけのレコードというのがあってもいいと思う。

Peeling of Beatles Butcher Album Jacket Cover Part 1