shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

The Beatles Anthology 2 (Disc 1-Pt. 2)

2009-10-17 | The Beatles
 今日はアンソロジー2・Disc-1 の後半戦、さぁ、ここからいよいよ「ラバー・ソウル」、そして「リヴォルヴァー」へと突入だ。⑭「ノーウェジアン・ウッド」のテイク1ではシタールが全編で大きくフィーチャーされて目立っているが曲としてはほぼ完成されており、後はいかにサウンド・プロダクションを練り上げて狙ったサウンドを作り上げるか、といった段階。それは公式ヴァージョンよりもテンポを下げて粘っこい演奏を聴かせる⑮「アイム・ルッキング・スルー・ユー」のテイク1にも言えることで、これはこれで立派に “出来上がっている” ように思えるのだが、⑭といい⑮といい、そこから斬新な発想でありったけのアイデアを投入し、様々な試行錯誤を経てあの公式ヴァージョンが生み出されたのかと思うと実にスリリングだ。こんな風に思わせてくれるアーティストは後にも先にもビートルズしかいない。⑯「12・バー・オリジナル」は世にも珍しいインストの未発表曲で、ブッカーT & ザ・MGsを想わせるようなグルーヴィーな演奏がカッコイイ!ただ、これはビートルズのどのアルバムにもフィットしそうにはないが...(>_<)
 そして出たっ!⑰「トゥモロー・ネヴァー・ノウズ」だ。まだタイトルは決まっておらず「マーク1」と呼ばれていたテイク1で、アンソロジー・ビデオでもコレを聴きながらポール、ジョージ、リンゴ、そしてジョージ・マーティンが思い出話に花を咲かせていたのでご存知の方も多いだろうが、初めてこのテイクを聴いた時は本当にブッ飛んだ。まだカモメのテープ・ループを始めとするオーヴァーダブが施される前だというのに、混沌としたサウンドの向こうからジョンの不気味にうねるヴォーカルが響いてくるだけでもうゾクゾクする。テイク1やっちゅーのにめっちゃリヴォッてるやん(^o^)丿 何百回、いや何千回聴いてもそのグルーヴには圧倒されるし、何よりも曲単位でみた場合、この「トゥモロー・ネヴァー・ノウズ」こそ “あの時代” の代表ではないか。
 ⑱「ゴット・トゥ・ゲット・ユー・イントゥ・マイ・ライフ」は随所で聴けるコーラス・ハーモニーのアレンジが実に新鮮で気持ちいいし、クスリでもキメていたのかジョンとポールがゲラゲラ笑いながら歌い切る⑲「アンド・ユア・バード・キャン・シング」の “ハイパー・大笑い・ヴァージョン” なんか聴いてるこっちまで楽しくなってくる。歌詞も “When your bike is broken, will it bring you down?” と替え歌にして楽しんでいるし、エンディングも口笛でシメるなど、最後まで超ゴキゲンなお二人さんだ。
 最終完成形にはなかった早口コーラスが聴ける⑳「タックスマン」では彼らが実に様々なアイデアを試しながら楽曲を完成させていったプロセスの一端が垣間見れるが、すんなりと終わるこのヴァージョンを聴くことによって、逆に公式ヴァージョンでエンディングに過激なギター・ソロをくっつけた感性の鋭さに脱帽する。アレがない「タックスマン」はフェラーリ抜きのF1みたいなモンだ。「アイム・オンリー・スリーピング」は(22)がリハ・テイクで、涼しげなヴァイブの音色にビックリ。そのジャジーな雰囲気からはとてもあのサイケの極北のような最終形は想像できない。(23)のテイク1はそのサイケデリック公式ヴァージョンよりもテンポの速い“アンプラグド・リヴォルヴァー” みたいな感じでこれまためっちゃ面白い。
 このDisc-1 のラストを飾るのは (24)「ロックンロール・ミュージック」と(25)「シーズ・ア・ウーマン」の2曲で、日本公演のライヴがこーやって正式な音源として聴けるのは非常に嬉しいのだが、それなら何で出来の良かった 7/1 じゃなくて調子の悪かった6/30 の方を採用したんやろ?それに一連の「リヴォルヴァー」ものを聴いてきた後でこの2曲というのは、何か時計の針を無理やり過去に押し戻したような違和感を感じてしまう...(>_<) 私は曲順を変えてCD-Rに入れて楽しんでいる。まぁ何やかんや言ってもこの「アンソロ2」のDisc-1 は聴き所満載で、ビートルズ・ファンにはたまらない1枚だと思う。

The Beatles - (Funny) And Your Bird Can Sing (Take 2)