shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

The Beatles Anthology 1 (Disc 1)

2009-10-14 | The Beatles
 ビートルズのアンソロジー・シリーズのアルバムは1995年から96年にかけて、CD2枚組(アナログLPは3枚組)でVol. 1~3 までの3回に分けて発売された。神聖なビートルズの舞台裏というかNG集を衆目の下に晒すような行為は許せんと憤る人たちも多かったが、本邦初公開の貴重な音源やそれまではブートレッグのプアーな音で聴くしかなかった膨大な量の音源が晴れてオフィシャルにリリースされるということで私は大喜びした。例えるならポールの「アンプラグド」のサブタイトルじゃないが “公式海賊盤” である。だからこの3部作を “作品” として聴いてもまったく意味がない。これはオリジナル・アルバムをかなり聴き込んだベテランのファンが最後に到達する桃源郷であり、マニアが貴重な資料集として時々取り出して聴くために存在する “超高音質ブートレッグ” みたいなものだと思っている。
 このVol. 1 にはデビュー前のめちゃくちゃ貴重な音源(クウォリーメン自主制作SP盤なんて凄いのがある!)から「フォー・セール」あたりまでの音源で構成されている。先日取り上げた新曲①以降は時系列に沿って並べられており、Disc-1 の前半ではインタビューを除けば58年のクウォリーメンのSP音源③④、60年にポールの自宅で録音されたリハーサル・テイク⑥⑦⑧、トニー・シェリダンのバック・バンド当時の録音⑩⑪⑫、デッカ・オーディション⑮⑯⑰⑱⑲、そしてアビー・ロード・スタジオでの初録音(21)(22)と、リンゴ加入以前のビートルズの変遷が分かるように編集されている。このあたりまではどちらかと言うと歴史的意義というか資料的価値のあるトラックであり、何度も繰り返し聴くようなものではないが、③④なんかSP盤特有のノイズの向こうからビート小僧(!)時代の彼らの熱気みたいなものが伝わってくるし、何よりも嬉しかったのは大好きなビートルズ版「ベッサメ」の新ヴァージョン発掘だった。この曲は以前特集した時にも書いたように音の悪い「スター・クラブ・ライブ」での “火の出るようなロックンロール・ヴァージョン” が最高と信じているのだが、ここに収録されているのはアビー・ロード・スタジオでの初レコーディング時のもので、演奏のノリの凄まじさでは「スター・クラブ・ライブ」に譲るものの、抜群に良い音で彼らの「ベッサメ」が聴けるのだ。これはもうラッキーラララである。
 Disc-1 の後半は62年9月に行われた2回のシングル用レコーディングから(23)(24)、イギリスのラジオやテレビに出演した時の音源(27)(28)、初の海外ツアーであるスカンジナビア・ツアー時のライブ音源(30)~(34)などが収められているが、私が一番気に入ったのが「ワン・アフター・909」の初期ヴァージョン(25)(26)であり、6年後のアルバム「レット・イット・ビー」収録の公式ヴァージョンよりもスロー・テンポで、荒削りながら泥臭いグルーヴを生み出すアーシーな歌と演奏がめちゃくちゃカッコエエのだ。特に興味深かったのは、フェイドインから始まりノッてきたところでポールがミスり(←自分のピックを持ってくるの忘れて弾きにくいらしい...)ジョンが “何やってんだよ!”と中断し、再開したものの今度はジョージがソロに入るタイミングを間違えてまたまた中断するという録音現場の生々しい空気を伝える(25)「シークエンス」とそのコンプリート・ヴァージョン(26)が続けて収められていた点だ。再開後のポールのベース・ラインの微妙な変化にもご注目(耳かな?)。私的にはコレがDisc-1 のハイライトだった。「ビートルズ・アンソロジー」... ファンにとってはまさにお宝音源満載のアルバム・シリーズだ(^o^)丿

The Beatles Anthology One after 909 (Flase Starts)...
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