shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

Free As A Bird / The Beatles

2009-10-12 | The Beatles
 ビートルズのアンソロジー・プロジェクトは20世紀を締めくくる一大イベントだった。60年代にポピュラー・ミュージックの歴史を変えただけでなく、世界中の若者の思想や生活スタイルにまで大きな影響を与えた20世紀最高のロック・グループの音楽的な遺産をしっかりとした形で後世に遺そうという壮大なプロジェクトである。その当時の私は、90年代に入って以降のアメリカン・チャートのつまらなさに辟易して完全に洋楽ロック/ポップスとは絶縁状態にあったのだが、もちろんビートルズだけは別格で、アンソロジーの話を知った時はビックリするやら嬉しいやら(^o^)丿 ニュース・ステーションでの特集や大晦日の特番なんか大コーフンしながら見たものだった。
 このアンソロジー・プロジェクト、アルバムだけでなくドキュメンタリー・ビデオや大型本なども相次いでリリースされるなど大いに盛り上がったのだが、そんな中で一番の目玉は何といっても “ビートルズ25年ぶりの新曲” として話題騒然となった「フリー・アズ・ア・バード」だった。厳密にはジョンの未発表デモ・テープに3人が後から音を被せてモディファイしていったリメイク作品なので “新曲” という表現は看板に偽りありかもしれないが、イントロのリンゴのドラムの一打でそんな戯言は吹き飛んでしまう。これはまさしく我々が愛したビートルズのサウンドだ。ジョージのギターも鳥肌モノだし、ポールとジョージのコーラスは一瞬にしてあの時代へとトリップさせてくれる。何よりもジョンのベーシック・トラックにポールが付け加えたBメロが曲全体をビシッと引き締めているのが素晴らしい。まるで「ウィー・キャン・ワーク・イット・アウト」や「ア・デイ・イン・ザ・ライフ」を想わせるようなレノン=マッカートニーの復活に涙ちょちょぎれる。ポール、相変わらずエエ仕事してるなぁ...(^.^) 
 インタビューの中で “ジョンが昼食か茶を飲みに行き席を外してると思うことにした” とリンゴが語っていたのが印象的だったが、それに輪をかけて感動したのがビデオ・クリップだ。自由に羽ばたく鳥の目線でビートルズゆかりの地を巡るこのビデオ、キャヴァーン・クラブ、ストロベリー・フィールズ、ペニー・レインの花売り娘、バースデーのケーキ、アップル・オフィスに入っていくジョージ、ア・デイ・イン・ザ・ライフに出てくる車の事故、ミスター・カイト、ピッギーズのブタの仮面、ペイパーバック・ライターの部屋でTV画面に映るビートルズの横で寛ぐジョン、ブルー・ミーニーズ、毛沢東の絵、ミステリー・ツアー・バス、シタールとインド象、ペパーズのドラム、マリア像(マザー・メアリー)、エリナー・リグビーの墓とマッケンジー神父、ポールの愛犬マーサ、丘の上の愚か者と曲がりくねった道、そしてアビー・ロードと、他にも数え上げればキリがないぐらいにビートルズ絡みの映像が盛り込まれており、それらが音楽と見事にマッチしていてファンなら涙なくしては見れない感動モノの作品に仕上がっている。
 プロデュースは「クラウド・ナイン」でジョージの復活に尽力し、トラベリング・ウィルベリーズでもジョージと共演した ELO のリーダージェフ・リン。 “自宅のレコード棚にはビートルズとバルトークのレコードしかない” といわれるほどのコアなビートルズ・ファンであるジェフはこの話をもらった時は天にも昇る気持ちだったろうが、「クラウド・ナイン」の時と同じように3人のビートルからビートリィなエッセンスを実に巧く引き出しており、この曲の成功に大いに貢献している。それはこの後ポールが「フレイミング・パイ」のプロデュースを依頼したことでも明らかだ。それにしてもジェフ・リンは世界一幸せなビートルマニアやなぁ... (≧▽≦)

Free as a bird / The Beatles