私が中学生の頃からビートルズの海賊盤を買い漁っていたことは「ハリウッド・ボウル・ライブ」の時に書いたが、ライブもの以外でははスタジオ・セッションの音源が主流で、その代表格がゲット・バック・セッション、デッカ・セッション、そしてBBCセッションだった。だから当時買った「イエロー・マター・カスタード」や「スタジオ・セッションズ」、「ヤングブラッド」、「ポップ・ゴー・ザ・ビートルズ」、「ブロードキャスツLK4450」といった盤でBBC音源はかなり聴いていたし、「スター・クラブ・ライブ」ともかなり選曲が重なる部分があるので、この「ライブ・アット・ザ・BBC」が出た時は内容的に見れば天地がひっくり返るほどの大きな衝撃というのはなかったが、やはりこれらの素晴らしい演奏がオフィシャル盤で聴けるというのは感慨深いものがあったし、海賊盤よりもクリアな音で聴けるのが何よりも嬉しかった。
このアルバムは1962年から65年の間にビートルズがBBCラジオに出演して演奏した全92曲270テイクの中からジョージ・マーティンが厳選した56曲を2枚組CDに編集したもので、演奏はそのほとんどが一発録りのスタジオ・ライブ形式。「ウィズ・ザ・ビートルズ」あたりのアルバムが大好きな私のような人間には垂涎モノの内容だ。選曲も彼らが聴いて育ったロックンロールのスタンダード・ナンバーの比重が大きく、彼らのルーツがよくわかるのと同時に、ロックンローラーとしての本性を白日の下に曝け出すアルバムと言える。
④「アイ・ガット・ア・ウーマン」はレイ・チャールズをプレスリーがカヴァーしたものを更にカヴァーしたもので、演奏面でのビートルズ独特のグルーヴ感は希薄なせいか、逆にジョンのヴォーカルの存在感が際立っている。私が思うに彼らにはこの④のようなややカントリーがかったロカビリーよりも正調ロックンロールの方がピッタリ合うのではないか。そのよい例がチャック・ベリーのオリジナル⑤「トゥー・マッチ・モンキー・ビジネス」で、彼らは水を得た魚のように生き生きした演奏を聴かせてくれる。この曲を初めて聴いたのは上記の海賊盤「ヤングブラッド」で、ノリノリのロックンロール調というのがめっちゃ気に入ったし、何よりも “モンキー・ビジネス” (← “インチキ” という意味の成句だなんて中学生にわかるワケもなく、猿商売って何???と思ってた...)という言葉の響きが妙に可笑しくてインパクト大だった(笑)。ジョンの貫録十分のヴォーカルといい、ドライヴ感溢れる演奏といい、とにかくコレは文句なしの名演だ。因みにビートルズ以外で私が愛聴しているのはヤードバーズのライブ・ヴァージョン。若き日のクラプトンのハイ・テンションの超速弾きが圧巻なので一聴をオススメします(^.^)
⑥「キープ・ユア・ハンズ・オフ・マイ・ベイビー」はキャロル・キング=ジェリー・ゴフィンのコンビの作品で、リトル・エヴァでヒットした典型的なブリル・ビルディング系ポップス。あのビートルズが古き良きガール・グループ的なノリで歌い、演奏しているのだ。彼らの “ガール・グループ好き” はドネイズの「デヴィル・イン・ハー・ハート」をカヴァーしていることでも明らかだが、まさかリトル・エヴァでくるとは思わなんだ(^.^) 特にマーヴェレッツやマーサ&ザ・ヴァンデラスみたいなグルーヴを生み出すコーラスの付け方なんてもう絶品ではないか。 “ベェイ エィ ベ~♪” と歌うジョンのヴォーカルもまるで黒人ガール・グループのリード・シンガーが憑依したかのような粘っこいグルーヴを醸し出しており、彼がこの手の音楽を相当聴き込んでいたのが分かる。モータウンでも十分やっていけそうだ(笑)。初期ビートルズにおいて天才ヴォーカリスト、ジョン・レノンの存在の大きさを知らしめる1曲だし、バリバリのロックンロール一辺倒ではなく、このようなポップ感覚溢れる曲をも見事にカヴァーしてしまうあたりの音楽性の幅広さ、懐の深さがビートルズと他の凡百のバンドとの決定的な違いだろう。尚、このトラックだけ音質がイマイチだが、そんなことは全く気にならないぐらいの素晴らしい歌と演奏だと思う。
Keep Your Hands off my Baby - The Beatles
このアルバムは1962年から65年の間にビートルズがBBCラジオに出演して演奏した全92曲270テイクの中からジョージ・マーティンが厳選した56曲を2枚組CDに編集したもので、演奏はそのほとんどが一発録りのスタジオ・ライブ形式。「ウィズ・ザ・ビートルズ」あたりのアルバムが大好きな私のような人間には垂涎モノの内容だ。選曲も彼らが聴いて育ったロックンロールのスタンダード・ナンバーの比重が大きく、彼らのルーツがよくわかるのと同時に、ロックンローラーとしての本性を白日の下に曝け出すアルバムと言える。
④「アイ・ガット・ア・ウーマン」はレイ・チャールズをプレスリーがカヴァーしたものを更にカヴァーしたもので、演奏面でのビートルズ独特のグルーヴ感は希薄なせいか、逆にジョンのヴォーカルの存在感が際立っている。私が思うに彼らにはこの④のようなややカントリーがかったロカビリーよりも正調ロックンロールの方がピッタリ合うのではないか。そのよい例がチャック・ベリーのオリジナル⑤「トゥー・マッチ・モンキー・ビジネス」で、彼らは水を得た魚のように生き生きした演奏を聴かせてくれる。この曲を初めて聴いたのは上記の海賊盤「ヤングブラッド」で、ノリノリのロックンロール調というのがめっちゃ気に入ったし、何よりも “モンキー・ビジネス” (← “インチキ” という意味の成句だなんて中学生にわかるワケもなく、猿商売って何???と思ってた...)という言葉の響きが妙に可笑しくてインパクト大だった(笑)。ジョンの貫録十分のヴォーカルといい、ドライヴ感溢れる演奏といい、とにかくコレは文句なしの名演だ。因みにビートルズ以外で私が愛聴しているのはヤードバーズのライブ・ヴァージョン。若き日のクラプトンのハイ・テンションの超速弾きが圧巻なので一聴をオススメします(^.^)
⑥「キープ・ユア・ハンズ・オフ・マイ・ベイビー」はキャロル・キング=ジェリー・ゴフィンのコンビの作品で、リトル・エヴァでヒットした典型的なブリル・ビルディング系ポップス。あのビートルズが古き良きガール・グループ的なノリで歌い、演奏しているのだ。彼らの “ガール・グループ好き” はドネイズの「デヴィル・イン・ハー・ハート」をカヴァーしていることでも明らかだが、まさかリトル・エヴァでくるとは思わなんだ(^.^) 特にマーヴェレッツやマーサ&ザ・ヴァンデラスみたいなグルーヴを生み出すコーラスの付け方なんてもう絶品ではないか。 “ベェイ エィ ベ~♪” と歌うジョンのヴォーカルもまるで黒人ガール・グループのリード・シンガーが憑依したかのような粘っこいグルーヴを醸し出しており、彼がこの手の音楽を相当聴き込んでいたのが分かる。モータウンでも十分やっていけそうだ(笑)。初期ビートルズにおいて天才ヴォーカリスト、ジョン・レノンの存在の大きさを知らしめる1曲だし、バリバリのロックンロール一辺倒ではなく、このようなポップ感覚溢れる曲をも見事にカヴァーしてしまうあたりの音楽性の幅広さ、懐の深さがビートルズと他の凡百のバンドとの決定的な違いだろう。尚、このトラックだけ音質がイマイチだが、そんなことは全く気にならないぐらいの素晴らしい歌と演奏だと思う。
Keep Your Hands off my Baby - The Beatles