NASAのジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)は、ハッブル宇宙望遠鏡(HST)の100倍の性能を持っている。
HSTは宇宙初期に生まれた銀河の1つを発見したが、JWSTはそれが2つの塊からなっていることを明らかにした。
JWSTとHSTの画像を比較しながら、宇宙の始まりについてどのようなことが明らかになってきているのかを見てみよう。
アメリカ航空宇宙局(NASA)のジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)は、宇宙初期にできた銀河のこれまでに見たことのない姿を捉えた。
JWSTは最近、「MACS0647-JD」と呼ばれる天体に焦点を当てた。この天体は非常に遠くにあり、光がやってくるのに時間がかかるため、このような天体を観測することは時間をさかのぼることでもある。MACS0647-JDは、ビッグバンから約4億3000万年後、今から約133億7000万年前の天体だと考えられている。
「ハッブル宇宙望遠鏡で見ると、この銀河はただのぼんやりとした赤い点で、宇宙発生から最初の4億年の間にできた小さな銀河だと考えられていた。今、ウェッブで見ると、これが2つの天体であることが分かった」
JWSTはHSTの100倍の性能を持ち、赤外線カメラを用いて深宇宙や遠い過去をより深く観測することができる。JWSTで撮影された新しい画像とハッブル望遠鏡で以前撮影された画像を比較したところ、観測史上最も古い銀河の1つであるMACS0647-JDに新たな特徴があることが分かった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2d/4a/706d460d53f573b5f737c5e40b0e18f8.gif)
HSTとJWSTで撮影したMACS0647-JDを比較したアニメーション。左側の画像の中で、白い四角に囲まれているのがMACS0647-JD。手前にある巨大な銀河団MACS J0647+7015の重力レンズ効果によってJD1、JD2、JD3の3つに見えている。
HSTとJWSTは、ともに重力レンズ効果を利用して、この初期宇宙を観測している。重力レンズとは、銀河団などの巨大な質量によって時空が歪み、その背後にある遠方の銀河からの光が曲げられてしまう現象のことを言う。そうやって分裂した光が我々観測者のもとに届いている。
そのため、MACS0647-JDの姿は上の画像のように3カ所に現れている。右側に示された拡大図を見ると、JWSTの画像は2つの異なる天体をはっきりと写し出しており、いかに鮮明であるかが分かる。
「我々は、これが2つの銀河なのか、それとも銀河の中に星の塊が2つあるのかということについて活発に議論している。まだ分からないが、このような疑問を解くためにウェッブが設計されたのだ」とコーは述べている。
この研究結果はまだ発表されていないが、HSTとJWSTの画像の差は歴然としている。
@昨日も書きましたが、ウェッブ宇宙望遠鏡は人の目で捉えることができない赤外線を主に利用して観測を行うため、公開されている画像の色は人の目で見た場合とは異なります。MACS0647-JDの場合、観測に使用された6種類のフィルターに応じて青・緑・赤で着色されています。
F115WとF150W(波長1.15μmと1.5μm)は青、F200WとF277W(波長2.0μmと2.77μm)は緑、F365WとF444W(波長3.65μmと4.44μm)は赤で着色。
各像の拡大画像を見ると、MACS0647-JDは2つの塊に分かれていることがわかります。大きな塊は幅約460光年、小さな塊は幅約130光年で、約1300光年離れていると推定されています。10年前に公開されたハッブル宇宙望遠鏡の画像では2つに分かれていることは識別できず、幅約600光年と推定されていました。
10年で、たった100倍ですが、134億光年先ではばっちり威力を発揮しています。