モスクワを公式訪問中の安倍総理はプーチン大統領と会談し、停滞していた北方領土交渉を再スタートさせ、加速させることを盛り込んだ共同声明を発表しました。
「今回の会談で(平和条約の)交渉を再スタートさせ、加速化させることに合意したことは大きな会談の成果だと思う」(安倍晋三総理大臣)
「日ロ関係の重要な問題を詳細にわたって話し合うことができた。国際的な問題についても両国の立場が確認された」(ロシア プーチン大統領)
発表された日ロ共同声明では「戦後67年を経て平和条約が締結されていない状態は異常である」とした上で、「双方に受け入れ可能な解決策を作る交渉を加速化させるよう外務省に指示する」と、領土交渉の再スタートを宣言しています。また、日ロ両国は中国の存在を念頭に、2+2=外務防衛担当閣僚の協議を立ち上げることで合意したほか、安倍総理は来年プーチン大統領が日本を公式訪問するよう要請しました。
ただ、北方領土問題そのものについてプーチン大統領は、歯舞・色丹の2島返還以上の譲歩はしない考えとみられ、安倍総理も「双方の立場に依然隔たりが大きいのは事実だ」と認めています。さらに、北方領土では外国企業が発電施設の建設を受注するなど、ロシアによる実効支配が強まっているという現実があります。プーチン大統領は記者会見での指摘に対し、強い不快感を示しました。
「この問題は私たちが作ったものではなく、過去から受け継いだものです。もうずっと以前から」(ロシア プーチン大統領)
「首脳の決断なしにこの問題は解決しない」と、領土問題に取り組む決意を示した安倍総理。ともに再登板で、高い支持率を維持するプーチン大統領を相手に、安倍外交の真価が問われることになります。
@天然ガス開発の裏事情が見え隠れする以上、諸手を挙げて「よくやった」とは言えませんが、ロシア経済を後退させたくないプーチンとの今回の交渉はタイムリーなものであった事は間違いありませんし、安倍さんならではの事と評価していいものだと思います。まさに、機を見るに敏。