大日本赤誠会愛知県本部ブログ版”一撃必中”

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超新星爆発寸前の巨大恒星ウォルフ・ライエ星「WR 124」 ウェッブ望遠鏡

2023年03月23日 15時06分31秒 | 宇宙 月、火星、惑星探査 ビッグバン パーサヴィアランス インジェニュイティ

ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が撮影したウォルフ・ライエ星「WR 124」太陽の30倍の質量を持ち地球から約1万5000光年離れている。

超新星爆発寸前の巨大恒星の美しい姿をジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)が捉えた画像が、米航空宇宙局(NASA)の研究チームにより公開された。
画像は、テキサス州オースティンで開催中のイベント「サウス・バイ・サウスウエスト(SXSW)」からユーチューブでライブ中継された基調講演「Unfold The Universe」で公開されたもので、地球から約1万5000光年離れたウォルフ・ライエ星「WR 124」が捉えられている。この恒星は太陽の30倍の質量を持つため、その寿命は短い。
ウォルフ・ライエ星は、天の川銀河で最も質量の大きい恒星の一種で、これまでに500回しか観測されていない。存在するのは数百万年のみ(宇宙時間にとってはほんの一瞬だ)で、寿命が尽きる時には壮大な超新星爆発を起こすと考えられている。
画像には宇宙ガスのハローと恒星周辺のちりが写っており、撮影にはウェッブ望遠鏡の近赤外線カメラ(NIRCam)が用いられた。このハローは、地球上の生命を含む現代宇宙の構成要素である重元素から成っている。

超新星爆発を起こすウォルフ・ライエ星
100億ドル(約1兆円)の開発費がかかったとされるJWSTが捉えたウォルフ・ライエ星「WR 124」は、地球から1万5000光年離れていて、中心星からは紫と黄色に輝くガスが時速9万3200マイル(約15万km)超で放出されています。
ハーバード・スミソニアン天体物理学センターによると、ウォルフ・ライエ星は太陽よりもかなり質量が大きいものの、急速に質量を失いつつある大質量星のこと。太陽の30倍以上の質量を持つ星でしたが、これまでに太陽10個分の質量を失っています。そして今、外層を失っていくプロセスにあり、寿命を迎えると超新星爆発を起こします。

@久々にウエッブからの映像。ウォルフ・ライエ星、いくつものタイプがあって中々複雑ですね。


はやぶさ2 「リュウグウの粒子」から遺伝物質、核酸塩基「ウラシル」 「ビタミンB3」初検出

2023年03月22日 18時14分08秒 | 宇宙 月、火星、惑星探査 ビッグバン パーサヴィアランス インジェニュイティ
小惑星探査機「はやぶさ2」が持ち帰った小惑星「リュウグウ」の粒子から、遺伝物質のリボ核酸=RNAを形作る、「ウラシル」が検出されたと、北海道大学などの研究グループが発表しました。
生命の遺伝情報をつかさどるDNAやRNAは、それぞれ4種類の核酸塩基で形作られ、RNAではアデニン、グアニン、シトシン、ウラシルの4種類になります。
このうちの「ウラシル」が、10ミリグラムほどのリュウグウの試料から検出されました。
北海道大学の大場康弘准教授らの研究グループが独自に開発した超高感度の分析手法によるもので、具体的には、試料をお湯で抽出したのち酸を加えて加水分解し、特別なクロマトグラフィーなどの分析手法を駆使して分析・検証したということです。
リュウグウの試料からは既にアミノ酸など様々な有機化合物が検出されていますが、「ウラシル」の検出は初めてです。
また、生命の代謝に不可欠な補酵素の一つである「ビタミンB3」も初めて検出されました。
大場准教授は「今回の検出は、地球での生命誕生の際には、地球外からきた物質が材料となった説を支持するもの」と話しています。

@素晴らしい発見ですね。土星の衛星”タイタン”には生命の構成材料になる有機化合物が存在するという事で、地球外生命が期待される天体ですが、今度取り上げます。



ハッブル宇宙望遠鏡 “からす座”方向2600万光年先の矮小銀河「UGCA 307」

2023年03月21日 17時21分48秒 | 宇宙 月、火星、惑星探査 ビッグバン パーサヴィアランス インジェニュイティ

矮小銀河「UGCA 307」


“からす座”方向2600万光年先

こちらの画像は、右側に写っているのは「からす座」の方向約2600万光年先にある矮小銀河「UGCA 307」の姿です。矮小銀河は天の川銀河と比べて規模が100分の1程度の小さな銀河で、数十億個ほどの恒星が集まってできています。渦巻銀河が持つ渦巻腕(渦状腕)のような目立った構造こそみられないものの、UGCA 307の中央付近には最近の星形成活動を示す赤い斑点のような星形成領域が見えています。
この画像は「ハッブル」宇宙望遠鏡の「掃天観測用高性能カメラ(ACS)」で取得されたデータ(可視光線と近赤外線のフィルターを使用)をもとに作成されています。
ハッブル宇宙望遠鏡によるUGCA 307の観測は、天の川銀河から10メガパーセク(約3260万光年)以内に存在する近傍のすべての銀河を正確に観測するためのキャンペーン「Every Known Nearby Galaxy」の一環として実施されました。この観測キャンペーンでは153個の銀河を対象に、2019年から2021年にかけてハッブル宇宙望遠鏡による観測が実施されています。ESAによると、天の川銀河の隣人とも言える近傍の銀河の観測は、天文学者が様々な銀河に存在する星の種類を断定し、宇宙の局所構造をマッピングする上で役立つということです。
冒頭の画像はハッブル宇宙望遠鏡の今週の一枚として、ESAから2023年3月13日付で公開されています。

@書いてある通り、天の川銀河から10メガパーセク(約3260万光年)以内に存在する近傍のすべての銀河(153個)を正確に観測するためのキャンペーン「Every Known Nearby Galaxy」の一環。
これでも矮小銀河なんですから、天の川のでかさが伺えます。すべては、ダークエネルギーのなせる技。

火星  キュリオシティ 日没撮影!

2023年03月17日 09時58分24秒 | 宇宙 月、火星、惑星探査 ビッグバン パーサヴィアランス インジェニュイティ

2月2日にキュリオシティが撮影した輝く雲

NASAの探査車「キュリオシティ」から、火星の日没を捉えた画像が送られてきた。
キュリオシティは火星が温暖湿潤な惑星から冷たい砂漠に変化した理由を求め、10年以上にわたって火星表面を探査している。これまでに興味深い岩石地形を発見したほか、生命の兆候の探索や、ゲール・クレーター中央部にある「シャープ山」の登頂も行った。
だが、最近のキュリオシティは、車輪の下にほぼ果てしなく広がる岩や土の観測に専念するのではなく、空を見上げているようだ。


Mars Science Laboratory キュリオシティ (Curiosity)打上げ日時 2011年11月26日15時02分(UTC)軟着陸日 2012年8月6日5時32分(UTC)
参考:電力源としては、プルトニウム238のα崩壊熱を利用する原子力電池 (RTG) を使用。ミッション初期には約2000Wの発熱から125Wの電力を得られ、14年後でも100Wの電力が得られる。キュリオシティは1日に2.5kWhの電力が得られます。因みに左翼や朝鮮人が好きな太陽光では、1日0.6kwhがせいぜいです。

キュリオシティは先月2日の日没時、太陽光線が水平線から伸び、雲を明るく照らす様子を撮影。これは「薄明光線」と呼ばれる現象で、火星でここまではっきり確認されたのは初めてだった。

1月27日の日没直後に撮影された虹色の雲

キュリオシティは以前、火星の夜空に輝く雲を観測していたことがあり、現在は追加調査として、薄明時の雲を調べる活動を行っている。
雲は火星の気象パターンや気象条件に関するより深い知見を与えてくれる。研究者は雲ができる時間や場所の情報を活用して、火星の大気組成や温度、風についてさらなる知見を得たい考えだ。

@素晴らしいですね。火星への移住計画が色々持ちあがっていますが、人類の英知でこれもいずれ可能になる事でしょう。

M77銀河 超新星2018ivc 電波再増光が示す連星進化の道筋

2023年03月16日 19時03分51秒 | 宇宙 月、火星、惑星探査 ビッグバン パーサヴィアランス インジェニュイティ

M77銀河に出現した超新星2018ivc。左はハッブル宇宙望遠鏡が爆発直後に撮影した画像。右はアルマ望遠鏡による観測画像で、爆発からおよそ200日後(右上)と、およそ1000日後(右下)

爆発後にいったん暗くなった超新星が、ミリ波の波長域で再び増光している様子が、アルマ望遠鏡による観測で捉えられました。連星系の中での大質量星の進化を理解するための、一つの手掛かりが得られたことになります。
太陽の8倍以上の質量で生まれた大質量星は、その生涯の最期に超新星爆発を起こします。超新星爆発を起こすまでの間に、大質量星はさまざまな要因でその星の外層部を放出します。特に、連星系を成している大質量星は、相手の星の影響で外層部の多くを短時間にはぎ取られ、濃い星周物質で包まれる時期があると考えられています。しかしこの時期は短いため、外層部の放出の様子を直接知ることは困難です。
京都大学や国立天文台などの研究者らから成る国際研究チームは、星の外層部をある程度放出した状態で爆発したと考えられる「超新星2018ivc」に着目しました。爆発後200日の時点で暗くなっていたこの超新星を、アルマ望遠鏡を使い数年間にわたって観測を続けました。その結果、爆発からおよそ1年後から、ミリ波の波長域で再び増光していることを見いだしたのです。爆発の前に大質量星から放出された星周物質が、少し離れたところで星を取り巻いており、この星周物質に爆発によって高速で膨張する超新星が衝突したために再び増光したと考えられます。
増光の度合いや時間変化を理論モデルと比較した結果、超新星が爆発するおよそ1500年前に大質量星からはぎ取られた外層部が、およそ0.1光年離れた位置に濃い星周物質として分布していたことが明らかになりました。連星系の中で大質量星がどのように外層部を放出してきたのかを知るための、一つの大きな手掛かりが得られたことになります。

@超新星の話が続きますが、太陽は後50億年経つと超新星爆発を起こします。太陽の水素がどんどん減ってヘリウムが多くなってくると太陽は膨張して、赤色巨星と呼ばれる巨大な星になり地球の軌道を飲み込むほど膨張します。そして表面からガスがゆっくりと宇宙空間に流れていき、やがてしぼんでいきます。最後は白色矮星という核だけが残った小さな星になって、一生を終えます。

「NGC 5486」 ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した“おおぐま座”方向1億1000万光年先の渦巻銀河

2023年03月15日 18時48分56秒 | 宇宙 月、火星、惑星探査 ビッグバン パーサヴィアランス インジェニュイティ

ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した渦巻銀河「NGC 5486」



こちらは「おおぐま座」の方向約1億1000万光年先にある渦巻銀河「NGC 5486」です。バルジと呼ばれる明るい中心部分を、ふわふわとした雰囲気の不明瞭な渦巻腕(渦状腕)が取り巻いています。渦巻腕のあちこちに見えているピンク色の領域は、新たな星を生み出す星形成領域が存在することを示しています。
この画像は「ハッブル」宇宙望遠鏡の「掃天観測用高性能カメラ(ACS)」で取得したデータ(可視光線と近赤外線のフィルターを使用)をもとに作成されました。欧州宇宙機関(ESA)によると、ハッブル宇宙望遠鏡によるNGC 5486の観測は、「II型超新星」を起こした恒星やその周辺の環境を理解する研究の一環として取得されたということです。
II型超新星は超新星爆発の一種で、太陽の8倍以上の質量を持つ大質量星が赤色超巨星に進化した後、恒星内部の核融合反応で生成された鉄のコア(核)が自重を支えきれなくなって崩壊し、その反動によって恒星の外層が吹き飛ぶことで爆発に至ると考えられています。NGC 5486では2004年3月にII型超新星「SN 2004cm」が発見されています。冒頭の画像はハッブル宇宙望遠鏡の今週の一枚として、ESAから2023年3月6日付で公開されています。

Ⅰa型は、3月10日のダークエネルギーカメラで撮影?!で少し解説しています
参考:Ⅰ型
Ⅰa型 水素のスペクトル線はほとんど見えません。ケイ素の強い線が出て、後で鉄の線が目立つようになります。 あらゆる種類の銀河に出現します。
Ⅰb型 水素のスペクトル線はほとんど見えません。極大近くでヘリウム線が出ます。ケイ素線は弱く、Ia型のような鉄の線は見えません。
Ⅰc型 水素のスペクトル線はほとんど見えません。Ib型のようなヘリウム線は見えず、ケイ素線は弱く、Ia型のような鉄の線はありません。
Ⅱ型 水素のスペクトル線が卓越しています。光度変化の様子などから、 P型(plateau)、L型(linear)、n型(narrow)、 その他の種類に分けることがあります。
超新星爆発のメカニズムも2種類考えられています。太陽の4~8倍の質量の星の場合、炭素と酸素の中心核が収縮した後、約8億度に達した段階で炭素に核融合の火がつき、 どんどん重い元素ができていきます。この炭素の核融合はたった0.1秒程度で暴走的に起るため、星はコナゴナに砕けてしまいます。これが炭素爆燃型超新星です。
太陽の約8倍より重い星の場合、反応は一気に鉄まで進み、できた鉄の中心核はまわりからエネルギー(ガンマ線光子) を吸収してヘリウムと中性子に分解してしまいます。 これを鉄の光分解と呼びますが、これは吸熱反応で、しかもほんの0.1秒くらいしかかからないので、その結果、中心核の圧力が一挙に下がって中心核が潰れ、外層は反動で飛び散ります。これが鉄の光分解型超新星です。
基本的には炭素爆燃型超新星がⅠ型に対応し、 鉄光分解型超新星がⅡ型に相当すると考えられていますが、いろいろなバリエーションや違いがあり、観測される現象とその本質との対応が完全に解明されているわけではありません。
基本、Ⅰ型はどの銀河にも発生し、Ⅱ型は渦状銀河の腕や不規則銀河によく見られます。

@だんだん専門的になってきますが、興味のない方は飛ばしてください。それにしても1億1000万光年先・・・遠いですね。しかし、この世のものと思えないくらい美しい。

天の川銀河 中心部にある謎の天体「X7」?

2023年03月14日 12時56分49秒 | 宇宙 月、火星、惑星探査 ビッグバン パーサヴィアランス インジェニュイティ

天の川銀河中心部の画像。超大質量ブラックホール「いて座A*」のすぐ近くにある数多くの天体の中でも、X7は特徴的な細長い形をしている。
参考:いて座A* いてざエースターと読みます。
地球から約2万7000光年先、天の川銀河の中心にある天体。 その周りにある星々の運動を1990年代から詳しく調べてきた研究者たちは、「いて座A*」が太陽の約400万倍の質量を持つ超大質量ブラックホールだと確実視しています。

天の川銀河の中心部は、極めて物質密度の高い領域です。そこには「いて座A* (エースター) 」と呼ばれる超大質量ブラックホールがあり、その周辺を多数の天体が高速で公転しています。
いて座A*を公転する天体の大部分は恒星ですが、他にも惑星質量の数十倍程度という小さなガスや塵の塊もいくつか見つかっており、これらは「G天体 (G object)」と称されています。G天体の起源は調査が進められていますが、恒星同士の相互作用がその源ではないかと推定されています。天体同士の距離が短い銀河中心部では恒星同士が頻繁に接近や衝突していると考えられており、G天体は恒星同士の衝突過程で生じたガスの塊ではないかというわけです。ガスはその内側からの光を遮るため、仮にG天体の内部に恒星があるとしても、見つけることはできないと考えられています。この他にも、G天体の内部に恒星は存在せず、赤色巨星とコンパクト星の衝突で弾き出されたガスの塊だとする説もあります。
しかしながら、天の川銀河の中心部では恒星でもG天体でもない天体が見つかっています。「X7」と呼ばれているこの天体は、2002年に初めて画像化されました。
X7は一見するとG天体に似ています。推定質量は地球の約50倍で、他のG天体のように細長い軌道を持ち、2036年にいて座A*から4800億kmまで最接近すると考えられています。この距離はいて座A*からあまりにも近く、X7は最終的にいて座A*に吸い込まれてしまうと予想されていることから、ブラックホールに物質が吸い込まれる様子を “リアルタイム” で観測できる可能性があるとして注目されています。


そして重大な手掛かりとして、X7は「G3」と名付けられているG天体のひとつと軌道が似ていることが明らかになりました。このことから、X7とG3は共通の起源を持つと推測されます。しかし、その一方でX7とG3は特徴が異なるため、細かな性質は異なると考えられます。
Ciurlo氏は他の可能性を除外した上で、X7とG3の起源は恒星の衝突ではないかと推定しました。この場合、G3にはガスに包まれて見えない恒星があると推定されます。一方、X7は衝突時にはじき出されたガスの塊であり、その内部に天体は存在しないと推定されます。こうしたガスの塊の中身の違いが、他のG天体とは異なるX7の性質の源であると推定されます。
今回の研究では、X7の正体と起源をある程度まで推定できたものの、決定的とは言えません。X7の正体を探るには、2036年の最接近時を含めた継続的な観測が必要となります。その時には、X7はいて座A*の潮汐力によって更に劇的な形状に変化することが予測されます。X7の正体は、今後のさらなる観測で判明するかもしれません。

@2036年、超大質量のブラックホール”いて座A*”に吸い込まれてしまうのか、更に細長くなるだけなのか、楽しみです。後13年です。

”TOI-5205b” 理論上存在しないはずの大きすぎる惑星 禁じられた惑星!

2023年03月13日 20時04分15秒 | 宇宙 月、火星、惑星探査 ビッグバン パーサヴィアランス インジェニュイティ

TOI-5205(左上)とTOI-5205b(左下)、太陽 (右上) と木星 (右下) のそれぞれの大きさの比較。TOI-5205bと木星は大きさがほぼ同じであるため、太陽よりも小さな恒星であるTOI-5205に対する比率は相対的に大きくなる。

恒星は質量が小さいものほど、宇宙に多く存在します。軽い恒星は表面温度が低く、可視光線の赤色の光を多く出していることから「赤色矮星」と呼ばれています。赤色矮星は数そのものが多いので、赤色矮星を公転する太陽系外惑星も多く発見されています。しかし、赤色矮星を公転する太陽系外惑星は質量が小さい傾向にあり、特に木星に匹敵する「巨大ガス惑星」は発見されていませんでした。
赤色矮星で巨大ガス惑星が見つからないのは、恒星や惑星の形成過程と関連があるからだと考えられます。宇宙に存在する塵やガスは、重力によって互いに引き寄せられていき、高密度な部分に物質が集中していきます。最も物質が集中した場所では、やがて恒星が誕生します。そして、恒星が誕生する部分を中心として周囲の物質が集まり、回転する円盤を形成します。この円盤では局所的に物質が集中して、無数の微惑星が誕生します。微惑星同士は合体して惑星になると同時に、周囲のガスを集めて大気をまとうようになります。
円盤の中心に恒星が誕生すると、恒星からの放射によって円盤を構成する塵やガスを外側へと押しやる力が生まれるため、惑星本体や大気が成長する時間には制限があります。また、円盤全体の質量が小さいほど、恒星や惑星の材料が少ないということになるため、誕生する恒星や惑星も小さくなる傾向にあります。現在の惑星形成に関する理論では、木星程度の巨大ガス惑星が誕生するには、地球の10倍程度の質量を持つ岩石惑星が誕生し、大気としてまとうのに十分な質量のガスと時間が必要だと考えられています。赤色矮星の形成過程では、そのどちらも満たされないとこれまでは考えられていました。

カーネギー研究所のShubham Kanodia氏らの研究チームは、「TOI-5205」という赤色矮星を調査し、新たに太陽系外惑星「TOI-5205b」を発見しました。TOI-5205はNASA (アメリカ航空宇宙局) の「トランジット系外惑星探索衛星(TESS)」によって惑星が存在する恒星の候補として最初にリストアップされ、その後に行われた地上からの観測により存在が確実となりました。
驚くべきはそのサイズです。惑星であるTOI-5205bの大きさは、直径も質量もほぼ木星と同じであると推定されています。一方で、TOI-5205bが公転する恒星のTOI-5205は、直径も質量も太陽の約40%という小さな星であり、TOI-5205に対するTOI-5205bの直径は約27%に達します。太陽に対する木星の直径が約10%に過ぎないことを考えれば、その巨大さが分かるでしょう。このため、TOI-5205bがTOI-5205の手前を横切ると、地球に届くTOI-5205の光は約7%が遮断されます。
直径よりも問題なのは質量比です。TOI-5205に対するTOI-5205bの質量比は約0.3%であり、太陽に対する木星の質量比である約0.1%よりもずっと大きな値です。実際、この値は赤色矮星で見つかった惑星としては最も大きな値です。このような惑星の存在は、従来の惑星形成論では予想されていません。TOI-5205の金属量 からも、例外的に大きな惑星が形成される可能性は今のところありません。このため、TOI-5205bの存在は、現在の惑星形成に関する理解に疑問を投げかけることになります。

参考:金属星
惑星科学における「金属」とは、水素とヘリウム以外の全ての元素を指します。金属量の多い恒星であれば、それだけ惑星の材料となるケイ素や鉄などの重い元素が多く存在することを意味します。しかし、TOI-5205の金属量は太陽とほぼ同様であるため、惑星が特別に形成されやすい条件を備えているわけではありません。

一方で、TOI-5205bはTOI-5205を横切る際に大きな減光をもたらします。この時、恒星の光の一部が惑星の大気を通過するため、この光を分析すればTOI-5205bの正確な大気組成が判明します。これは、惑星形成に関する大きな手掛かりとなるでしょう。地上と宇宙の両面で、TOI-5205bの追加観測が期待されます。

@地球から約 280 光年離れた小さな赤色矮星を周回する、異常に大きな惑星ということです。木星とほぼ同じ大きさであるTOI-5205bですが、木星は私たちの太陽系で最大の惑星です。どんな未知の宇宙力学が、働いているんでしょうね。


日米の衛星が紫外線とX線で捉えた太陽の姿

2023年03月11日 20時08分44秒 | 宇宙 月、火星、惑星探査 ビッグバン パーサヴィアランス インジェニュイティ

天照大御神 太陽のユニークな姿 NuSTAR衛星、ひので衛星、SDO衛星による3つの観測データを重ね合わせた画像。

私たちに物や風景が見えるのは、ほとんどの場合、太陽のおかげといっても過言ではありません。太陽という「光源」から出た光が物に当たって反射し、私たちの目に届いているからです。私たち人間が目で知覚できる光は「可視光」と呼ばれています。ところが、可視光は太陽が放射している光の一部にすぎません。
アメリカ航空宇宙局(NASA)の「NuSTAR」(Nuclear Spectroscopic Telescope Array)衛星は、太陽の大気中で最も高温の物質が放射する高エネルギーX線を捉えることができます。NuSTARは、超大質量ブラックホールや崩壊した星など太陽系外天体の観測を目的としていますが、太陽についても理解を深めてくれます。
冒頭の画像は、NuSTARによる観測データ[青色]に、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の太陽観測衛星「ひので」のX線望遠鏡(XRT)による観測データ[緑色]と、NASAの太陽観測衛星「SDO」(Solar Dynamics Observatory)の大気撮像装置(AIA)による紫外線での観測データ[赤色]を重ねて表示したものです。3つの衛星による観測結果は私たちの目には見えない波長で得られており、画像の色は擬似的に着色されたものですが、太陽表面で繰り広げられている隠された光のショーのように見えてきます。
NASAによると、NuSTARは比較的視野が狭く、太陽全体を一度に観測することはできないため、2022年6月に撮影された25枚の画像を組み合わせたとのこと。NuSTARが観測する高エネルギーX線は、太陽大気のごく一部の場所にしか現れません。その一方、「ひので」のXRTが観測した低エネルギーX線とSDOのAIAが観測した紫外線は、太陽の表面全体から放射されています。



太陽大気の最外層であるコロナは摂氏100万度以上に達するため、その熱源について科学者は頭を悩ませてきました。この温度は少なくとも太陽の表面温度の100倍以上であり、例えて言えば、火の周りの空気が火そのものより100倍も熱くなっているようなものです。
コロナの熱源については「ナノフレア」である可能性が指摘されています。フレアとは、電磁波や粒子が大量に放出される太陽の爆発現象のこと。ナノフレアはフレアと比べてはるかに小規模な現象ですが、フレアもナノフレアもコロナの平均温度よりさらに高温の物質を生成します。フレアの発生頻度はコロナの高温を維持できるほどではありませんが、より小規模なナノフレアは温度を維持できるほど頻繁に発生する可能性があるといいます。
個々のナノフレアは微弱なので、強い太陽光の中で観測することはできません。しかし、NuSTARはナノフレアがまとまって発生したとき生成される高温物質から放射された光を検出できるとのこと。これにより、ナノフレアの発生頻度やエネルギー放出について調べることが可能になります。ナノフレアの解明が進めば、コロナが高温である理由もいずれわかるかもしれません。

@何度も書いてきましたが、そもそも太陽とは核融合そのものでできている恒星です。勿論、夜空に輝くすべての恒星は水素の核融合で光を放っています。

参考:水素のような軽い原子がもう1つの水素の原子とぶつかって1個のもう少し重たい原子ができる反応を核融合反応といいます。またこのとき1つになった原子はごくわずかな質量を失う代わりに、非常に大きなエネルギーを生み出します。ここで、軽い元素の例として水素を挙げましたが実は水素は1種類だけではありません。何を言っているかというと、水素には原子核の中に中性子と呼ばれる核子が無いものと、1つ含むものと、2つ含むものが存在していて、ごく一般に水素と呼ばれているものは中性子を含まない陽子1つでけの軽水素と呼ばれるものです。しかし核融合反応、とりわけ地上で起こす場合には軽水素を燃料としても使うよりも中性子を1個含む重水素(D:デュートリウム)と2個含む三重水素(T:トリチウム)と呼ばれる水素の仲間たちの方がいいのです。

酸素のない宇宙空間で太陽が燃える理由もこの原理によるものです。現在、地球にはさまざまなエネルギーがありますが、それらと比べて太陽エネルギーの優れている点は、まず第一に地球環境に与える影響がほとんどないことです。地磁気や大気圏やオゾンで守られています。

原子核どうしをぶつけあって融合反応をおこさせることは、実は容易なことではありません。というのも原子核はプラス(正)の電荷を持っているので、ただ近づけただけでは互いに反発しあうため、なかなか衝突してくれません。この反発する力に打ち勝ってぶつかり合うためには原子核に速いスピードを与えなければなりません。そのためには高い温度が必要になってきます。核融合では最低でも1億度の高温が必要とされています。このような超高温ではすべての物質はプラズマという状態になっています。
その他にも効率良くエネルギーを発生させるためには温度以外に次のような2つの大きなポイントがあります。
1.密度を高める。原子をたくさん入れておけばそれだけ衝突する確率は上がるので核融合反応は起こりやすくなる。
2.閉じ込め時間を長くする。原子を長い時間、一緒に閉じ込めておけばそれだけ衝突をおこす確率が上がる。
上の条件をまとめると原子たちを高温高密度プラズマにしてある有限領域で反応をおこさせると、たくさん反応が起こってより多くのエネルギーを得ることができます。
太陽の中心核では、水素をヘリウムに変換する核融合反応が行われています。具体的には水素原子4個が合体してヘリウム原子に変わっています。


ダークエネルギーカメラで撮影?! 最古の超新星が残した残骸「RCW 86」 

2023年03月10日 13時32分08秒 | 宇宙 月、火星、惑星探査 ビッグバン パーサヴィアランス インジェニュイティ

AD185年の超新星「SN 185」が残したと考えられている超新星残骸「RCW 86」

こちらは「ケンタウルス座」と「コンパス座」の境界付近を捉えた画像。横幅は満月の視直径ほぼ2個分に相当します(視野は60.96×47.91分角)。くすぶる炎のように中央のやや暗い領域を取り囲む、大きなリング状のぼやけた天体は、約8000光年先にある「RCW 86」(※)と呼ばれる超新星残骸です。
超新星残骸とは、質量が太陽の8倍以上ある大質量星で超新星爆発が起こった後に観測される天体のこと。超新星爆発にともなって発生した衝撃波が広がり、周囲のガスを加熱することで、可視光線やX線といった電磁波が放射されていると考えられています。
RCW 86を残した超新星は、今から1800年以上前の人類に目撃されていたようです。画像を公開した米国科学財団(NSF)の国立光学・赤外天文学研究所(NOIRLab)によると、RCW 86があるのと同じ領域で西暦185年に「客星」が出現し、およそ8か月間に渡って観測され続けたことを示す記録が中国の歴史書「後漢書」に残されています。
客星は彗星や超新星といった突然出現したように見える天体のことで、後漢書に記されている185年の客星は超新星だったとみられることから現在では「SN 185」(SNはSupernova=超新星の略)と呼ばれており、記録が残っているものとしては最古の超新星だとされています。地球からの距離や構造の大きさ、残骸から推定される爆発が起きた時期、検出された元素の種類などをもとに、RCW 86はSN 185が残した超新星残骸であり、SN 185は白色矮星と恒星からなる連星で起きた「Ia型超新星」だったと考えられています。
参考:Ia型超新星、いちえい型と呼びます。

白色矮星とは、太陽のように比較的軽い恒星(質量は太陽の8倍以下)が赤色巨星の段階を経て進化した天体のこと。赤色巨星に進化した恒星は周囲の宇宙空間へと外層からガスを放出して質量を失っていき、その後に残ったコア(中心核)が白色矮星になると考えられています。一般的な白色矮星は直径が地球と同じくらいですが、質量は太陽の4分の3程度もあるとされている高密度な天体です。
参考:白色矮星は、核融合を終え、寿命が尽きた恒星の残骸です。

連星をなす恒星の片方が寿命を迎えて白色矮星になると、白色矮星と恒星からなる連星が誕生します。このような連星では恒星から流れ出た水素ガスが白色矮星に降り積もることがあり、その結果として白色矮星の質量が太陽の約1.4倍(チャンドラセカール限界)に達すると超新星爆発に至ります。これがIa型超新星と呼ばれる現象です。現在RCW 86で観測されている空洞は、白色矮星にガスが降り積もる過程で吹いた高速の風によって、ガスや塵が外側へと押し出されたことで形成されたと考えられています。
Ia型超新星は真の明るさが一定だとされていることから、観測された見かけの明るさをもとに遠い銀河までの距離を測る標準光源として利用されています。なお、Ia型超新星は白色矮星どうしの衝突・合体で起きる場合もあると考えられています。

白色矮星を含む連星で起こるとされるIa型超新星の解説 ↓


冒頭の画像はチリのセロ・トロロ汎米天文台にあるブランコ4m望遠鏡に設置された観測装置「ダークエネルギーカメラ(DECam)」の観測データ(可視光線と赤外線のフィルターを使用)をもとに作成されたもので、NOIRLabから2023年3月1日付で公開されました。ダークエネルギーカメラはその名が示すようにダークエネルギー(暗黒エネルギー)の研究を主な目的として開発された観測装置で、画素数は約520メガピクセル、満月約14個分の広さ(3平方度)を一度に撮影することができます。当初の目的であるダークエネルギー研究のための観測は2013年から2019年にかけて実施されました。

@正にダークエネルギー・・・・
>Ia型超新星は真の明るさが一定だとされていることから、観測された見かけの明るさをもとに遠い銀河までの距離を測る標準光源として利用されています。
なるほどね、納得。又一つ賢くなりました。


約75億光年離れたクエーサー”NRAO 530”電磁波ジェット イベントホライズン望遠鏡

2023年03月09日 12時19分18秒 | 宇宙 月、火星、惑星探査 ビッグバン パーサヴィアランス インジェニュイティ

巨大な電磁波ジェット! 超巨大ブラックホールを中心に電磁波を噴き出している≒75億光年離れたクエーサー”NRAO 530” 1.7光年長の電磁波ジェットを吹きだしている。
30万kmx(365x0.7+365)=1.7光年

ブラックホールを初めて撮影したり、銀河の中心にある超巨大ブラックホールを初めて観測したりしたイベントホライズン望遠鏡が、さらに明るい天体のクエーサー(quasi-stellarの短縮形、準星、活動銀河核)を観測しました。
クエーサーは、巨大なブラックホールの中を物質が渦を巻いて進むことでエネルギーを得て、とても明るく輝く天体です。活動銀河核(AGN)と呼ばれるクエーサーは、電磁波を宇宙空間に放出していて、EHTチーム(Event Horizon Telescope Team、イベントホライズン望遠鏡を使ってブラックホールシャドウの撮像を目指しているプロジェクトチーム)はその内部をのぞき見てしまったのです。

噴き出す電磁波が特徴
世界的な科学者の共同研究で、約75億光年離れたクエーサーNRAO 530を探索したところ、今までイベントホライゾン望遠鏡で撮像された一番遠い天体だそうで、ボストン大学天体物理学研究所のスベトラーナ・ヨースタッド氏を中心とする研究チームは、この望遠鏡の装置を用いて、クエーサーの特徴を捉えました。具体的なものとして、1.7光年の長い距離にわたる電波放射のジェットを撮像したのです。
また、クエーサーのコア(噴流が始まる部分)と、コアの中にある2つの謎の構造も観測されましたが、現在の望遠鏡の性能ではこれらは十分に観測できませんでした。また、ジェットから放射される光を見たところ、ジェットに磁場があり、その磁場はらせん状に曲がっていることがわかりました。
「ジェットの一番外側の特徴は、特に直線偏光が強く、非常に秩序だった磁場の存在を示唆しています」とヨースタッド氏は述べています。
ヨースタッド氏と研究チームがクエーサーの画像化に用いた重要な手法の1つは、VLBI(超長基線電波干渉法)と呼ばれるものです。イベントホライズン望遠鏡を構成する望遠鏡のように、地球上に散在する望遠鏡は、すべて同じ天体からの電波をとらえることができます。VLBIを使用する天文学者は、これらの異なる地点でのデータを集め、検出時間の差を考慮すると、その天体の詳細な画像を作成できます(ある天体からのデータは、別の望遠鏡で収集されるよりちょっと前に集められるかも)。
EHTや最近打ち上げられたウェブ宇宙望遠鏡のような新しい観測技術のおかげで、天体物理学者はクエーサーについてより深く研究しています。昨年秋に公開されたウェッブ宇宙望遠鏡の画像から、銀河の「結び目」で他の3つの銀河と相互作用している多色クエーサーが発見されました。また、さかのぼって2020年にはハッブル宇宙望遠鏡がクエーサーの「津波」を観測した際、クエーサーのエネルギーは銀河の形成をストップさせるほど強力なものだと考えてられいます。

参考・電磁波ジェット
電波で観測される宇宙ジェット。活動銀河核から反対方向に銀河のサイズの何倍もの長さに噴き出しているものが多い。電波はシンクロトロン放射によるものである。
参考:シンクロトロン放射
光速に近い速度の荷電粒子(主に電子)が磁力線の周りを円運動しながら進むときに放出される電磁波。シンクロトロン放射光は連続スペクトルを示し、指向性が強く、偏光度が高い。活動銀河核の中心にあるブラックホール周辺からのジェットはシンクロトロン放射で電波を出している。

@この強力な電磁波、小分けしてパック詰めにして、スタートレックに出てくるフェイザー銃のエネルギー源にしたいですね。


「JO201」 ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した“クラゲ銀河”7億8000万光年先

2023年03月03日 09時15分13秒 | 宇宙 月、火星、惑星探査 ビッグバン パーサヴィアランス インジェニュイティ

ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した銀河「JO201」
こちらは「くじら座」の方向約7億8000万光年先にある銀河「JO201」の姿。JO201は銀河団「A85」を構成する銀河のひとつです。


クジラ座の方向 何でこれがクジラなのか・・・

明るい中心部分を取り囲む青い渦巻腕(渦状腕)や渦巻腕を彩るように分布する星形成領域の斑点がみられるJO201は、一見すると普通の渦巻銀河のように思えますが、よく見れば画像の下方向へと流れていくような筋状の構造も幾つか写っていることがわかります。触手を伸ばしたクラゲの姿にも見えることから、このような銀河は「Jellyfish Galaxy(クラゲ銀河)」と呼ばれています。
欧州宇宙機関(ESA)によると、この“触手”は移動するJO201からガスがゆっくりと剥ぎ取られたことで形成されたようです。銀河の集合体である銀河団では、銀河団ガスと呼ばれるガスが銀河と銀河の間を満たしています。銀河団の中を移動する銀河は、銀河団ガスから動圧(ラム圧)を受けることでガスが少しずつ剥ぎ取られていくと考えられています。
この画像は「ハッブル」宇宙望遠鏡の「広視野カメラ3(WFC3)」で取得したデータ(近紫外線・可視光線・近赤外線のフィルター合計6種類を使用)をもとに作成されました。ESAによれば、ハッブル宇宙望遠鏡によるJO201の観測はクラゲ銀河の“触手”にみられる星形成領域の大きさ・質量・年齢に関する研究の一環として行われており、“触手”を形成するガスの剥ぎ取りと星形成の関係性を理解する上での突破口を開くことが期待されています。
冒頭の画像はハッブル宇宙望遠鏡の今週の一枚として、ESAから2023年2月27日付で公開されています。

参考:銀河団ガス
銀河団の内部に充満している数千万度から1億度の高温ガス。ガスは電離状態にあり、X線を放射している。銀河団ガスは銀河団の全バリオンの約8割(質量比)を担っており、星は残り2割に過ぎない。銀河団ガスは、主にダークマターで決まる重力とガス自身の圧力勾配とがつり合って(静水圧平衡)、安定した形状にある。銀河団に大量の高温ガスがあることがわかったのは1971-72年で、X線天文学の歴史で特に重要な発見とされる。

@美しいですね。確かにクラゲのように見えます。これは、よかネーミングです。


スペースX 第2世代スターリンク衛星「V2 Mini」の初打ち上げ成功 総数は4002機に

2023年03月01日 22時21分18秒 | 宇宙 月、火星、惑星探査 ビッグバン パーサヴィアランス インジェニュイティ

スペースX 第2世代スターリンク衛星「Starlink V2 Mini」

スペースXは2023年2月28日(日本時間)に、「ファルコン9」ロケットの打ち上げを実施しました。搭載されていた第2世代スターリンク衛星「V2 Mini」は無事に軌道へ投入されたことが、同社のSNSや公式サイトにて報告されています。
■打ち上げ情報:ファルコン9(Starlink Group 6-1)
第2世代スターリンク「starlink V2 Mini」
ロケット:ファルコン9 ブロック5
打ち上げ日時:日本時間 2023年2月28日8時13分【成功】
発射場:ケープカナベラル宇宙軍基地(アメリカ)
ペイロード:スターリンク衛星(Starlink V2 Mini)21機

スターリンク衛星は、スペースXの衛星インターネットサービス「スターリンク(Starlink)」で用いられる通信衛星です。同社は、高度や傾斜角が異なる「シェル1」~「シェル8」に分類された軌道へ、最大4万2000機のスターリンク衛星投入を計画しています。
今回のミッションでスペースXは、第2世代スターリンクネットワークの「シェル6」へ21機のV2 Miniを投入することに成功しています。これまでに打ち上げられたスターリンク衛星の総数は「4002機(プロトタイプを含む)」となりました。

参考:第2世代スターリンク衛星はスターリンクの第2世代ネットワーク(Gen 2)向けに開発されたもので、高度や傾斜角が異なる「シェル1」〜「シェル8」に分類された軌道のうち、「シェル6」〜「シェル8」への投入が計画されている。公開されている米国連邦通信委員会(FCC)の書類によると、Gen 2は高度525km・530km・535km、軌道傾斜角53度・43度・33度の軌道に投入されたスターリンク衛星で運用され、従来の第1世代ネットワーク(Gen 1)よりも通信性能が大幅に向上している。
スターリンク(Starlink)とは、アメリカの民間宇宙企業「スペースX(SpaceX:Space Exploration Technologies Corp.)」が提供する衛星インターネットサービスです。世界中の遠隔地に低遅延かつ高速のブロードバンドインターネットを提供しています。2022年末現在、45カ国の地域・国でサービスを展開しています。
日本では、2022年10月にサービスを開始しており、個人でも初期費用(導入に必要なハードウェアなど)と月額を支払うことでスターリンクを利用することが可能です。また、KDDIは一部地域でau通信網のバックホール回線としてスターリンクを使用する基地局の運用を2022年12月1日に発表するなど、衛星インターネットサービスがより身近になりました。


銀河団の前面に写り込んだスターリンク衛星群の光跡 人工衛星の一般的な静止軌道は、赤道上の高度約3万6000km。

@低軌道で束になって飛行するので、宇宙観測者にとっては迷惑千万な衛星。スペースデプリ。


Ingenuity  43回目 10カ月ぶり長距離飛行–累計で9km弱を飛行

2023年02月28日 13時59分06秒 | 宇宙 月、火星、惑星探査 ビッグバン パーサヴィアランス インジェニュイティ
NASAの火星探査ヘリ「Ingenuityが2月16日、10カ月ぶりに長距離飛行を実施した。
Ingenuityは2020年7月に火星探査機「Perseverance(パーサヴィアランス)」とともに打ち上げられた探査機で、本体に二重反転ローターを搭載。空気の薄い火星での飛行試験を実施している。2022年12月の飛行では、飛行高度14mという記録を打ち立てた。
43回目となった今回の飛行では、約390mの飛行を実施。なお同探査機は2022年4月には約418mの飛行を行っていた。さらにその3週間前には、約710mの飛行を実施している。
Ingenuityはこれまでの43回の飛行で約8829mを飛行。同探査機はもともと飛行試験は5回のみの計画だった。

@けなげだね。日本では、14年ぶりに男女二人の宇宙飛行士も決まったようだけど、火星探査に参加できるといいね。健闘を祈ろう。


小惑星「2023 BU」が静止衛星軌道の内側に入る 最接近前に観測された小惑星としては史上最短の距離

2023年02月24日 22時21分38秒 | 宇宙 月、火星、惑星探査 ビッグバン パーサヴィアランス インジェニュイティ
太陽系には無数の小惑星がありますが、その中でも地球の近くを通過する「地球近傍小惑星」 (注1) は現在までに3万個以上発見されています。

注1…公転軌道が一定の条件を満たした天体は「地球近傍天体 (NEO: Near Earth Object)」と呼ばれます。「地球近傍小惑星 (NEA: Near Earth Asteroid)」は、地球近傍天体の中で小惑星に分類される天体を指します。地球近傍天体の99%以上は小惑星です (残りは彗星) 。

地球近傍小惑星に分類される小惑星の一部は地球のとても近くを通過しますが、その観測は困難です。サイズの大きな小惑星は地球から離れていても見つかりやすい一方で、サイズの小さな小惑星は地球にかなり接近しなければ望遠鏡で観測できるほどの明るさにはなりません。ところが、地球に近づくと見た目の移動速度も急激に変化するため、複数の観測記録を1つの小惑星としてつなげることも難しくなります。そのため、既に地球への最接近を終えて遠ざかるタイミングで初めて見つかることも珍しくはありませんし、未発見の地球近傍小惑星も無数に存在すると考えられています。


地球に対する2023 BUの軌道 (赤色) は、最接近時には静止衛星軌道 (緑色) の内側に入っている。

そういった背景状況の下で、小惑星「2023 BU」の観測事例は記録的なものとなりました。1つはその接近距離です。協定世界時2023年1月27日0時29分 (日本時間同日9時29分) 、2023 BUは最小距離9967kmまで地球に接近しました。この数値は地球の中心からの距離であるため、実際には南アフリカの南端付近の上空、高度3589kmを通過したと予測されています。
この接近距離は月の公転軌道 (約38万km) はもちろん、静止軌道 (高度約3万6000km) の10分の1という記録的な値です。静止軌道の内側に入るような小惑星は珍しく、2023 BUは地球へ衝突せずに通過していったものの中では、史上4番目に接近距離の近い小惑星です (注2) 。
注2…小惑星としての登録を受けていない流星や火球は含みません。

もう1つ記録的だった点は、2023 BUが地球へ接近する前に十分な観測期間があったことです。推定直径3.5mから8.5mという大きさは、地球最接近時でも見逃す可能性が高いほどの小さなサイズです。しかし幸運なことに、2023 BUは最接近の約5日前、協定世界時2023年1月21日23時53分にゲナディ・ボリソフ氏によって発見されました。初観測の約15時間後には小惑星電子回報に掲載され、多数の天文台が2023 BUの観測を行いました。この観測体制は、最接近後に見えなくなるほど暗くなる1月31日まで続きました。最接近前の約5日間、全体で約9日間という観測期間は、小さな小惑星では異例の長さです。
地球に接近する前の2023 BUは、公転周期358.9日、軌道離心率 (注4) 0.063、軌道傾斜角2.35度という地球に似た公転軌道を周回しており、最接近の約4時間後には近日点 (最も太陽との距離が小さくなる公転軌道の点) を通過しました。しかし、あまりにも地球に接近した2023 BUの軌道は地球の重力によって変更され、公転周期425.4日、軌道離心率0.111、軌道傾斜角3.75度になりました。公転軌道に基づいた地球近傍小惑星の分類に照らすと、2023 BUはアテン群からアポロ群に変更されたことになります。
注4…簡単に言えば、円がどれくらい楕円かを表す値。0が歪みのない真円であり、値が1に近づくほど楕円になる。

現在の小惑星観測体制は、1990年代に起きたシューメーカー・レヴィ第9彗星の木星への衝突や、中生代白亜紀末に起きた恐竜などの大量絶滅の原因が天体衝突だと判明したことを受けて下地が構築され、年々増強されています。そのため、今回の2023 BUのような観測記録は今後もますます増えていくものと予測されます。

@地球近傍天体はこれまでに3万個を超える数が見つかっており、そのうち「潜在的に危険な天体」――地球の公転軌道から約750万km以内に近づく軌道をもち、なおかつ絶対等級が22よりも明るく直径140m以上と推定される、すなわち地球に衝突した際に大惨事を招く危険性がある天体――は約2300個とされる。さらにそのうち、今後100年間に地球に衝突する可能性が無視できない天体は約17個とされています。