「GoTo利用は皆さんの判断」

「医療資源不足」に備え新提言 治療中止 差し控えの注意点示す（NHK 11月15日）
『新型コロナウイルスの感染が急速に拡大し、人工心肺装置＝ECMOなどの医療資源が不足する。そんな最悪の事態に備え、日本集中治療医学会はより効果が期待される患者に優先的に振り分けるため、回復の見込みがない患者などの治療を中止する、あるいは差し控える場合の注意点を示した提言をまとめました。』

COVID-19は、通常の日本の医療水準および医療アクセスがあれば、
罹患した人がバタバタ死ぬようなことは、そうは起こらないのだが、
流行が急拡大すると、人工呼吸やそれ以上の集中治療を要する人の数が
普段ならあり得ない速さで増大することになる。
感染症ゆえに隔離も厳重にせねばならず、単なる重症者より手数もスペースも要する。
そうすると、現実に使用できる集中治療室の数や、人工呼吸器・ECMOの台数、
それらを管理するマンパワーには限りがあるので、
助かりそうな人から順番に処置し、駄目そうな人は治療しない、
という取捨選択を、医療現場でせざるを得なくなる。
「新型コロナ」が、ミクロ的には大したことがなくても
マクロ的には非常に厄介な問題であるのは、こういうところなのだ。
アナタやワタシが死ぬほど致死率の高い病気だから怖いのではなく、
急激に集団発生することで日本の医療を破壊するから怖いのだ。

GoToキャンペーンは継続し、利用するかどうかは国民の判断に委ねる、
と言う意味のことを、先日、西村経済再生相が発言していたが
（GoTo使うかは「皆さんの判断だ」西村経済再生相（朝日新聞11月13日））、
それならば、今後、コロナでなくとも、たとえば脳梗塞でも悪性疾患の末期でも、
今までは受けられた筈の集中治療が、受けられなくなる可能性があるが、
その点は了承しておいてください・経済を救うためは起こり得ることなので、
という話も、政府として国民向けに、この際はっきりと言い添えておくべきだ。
人に判断させるなら、周辺の情報も多角的に与えておいてくれないと。
こんな重大なことを、日本集中治療医学会に言わせただけにしないで。

GoToばかりを目の敵にするな、という主張もあるが、
GoToのせいで感染急拡大が始まったかどうかはともかく、
感染拡大中には、GoToを継続するより中止したほうが、感染防止になる、
と考えるのは、根拠のあることだと私は思う。
4月に全国で2週間、籠もっていたら顕著に感染者数が減少したのだし、
どこの国でも、感染拡大時にはロックダウン等の行動制限を取り入れるではないか。
人が動いたり集まったりすることは何であれ、
推奨するより抑制する方向に持って行ったほうが、感染防止の役に立つのでは？
また、冬になったせいでコロナウイルス全般、広がりやすくなっているとすれば、
冬季のGoTo利用は、ほかの季節よりも格段にリスクが高いのではないか。

流行がこれだけ拡大して来たら、GoToキャンペーンのうち、少なくとも、
GoToイートのほうは一旦止めるべきだろう、と私は先日来ずっと思っている。
食事中は「マスク着用」できないし、「喋るな・飛沫を飛ばすな」と言われても、
ツレがいるとなると、黙々と食事のみ楽しむのは、かなり無理があるのでは。
酔って大声になる機会も、どうしたって増えるだろう。
しかし、政府から新たな補償の話が出て来ない限りは、
「GoToをやめろだなんて、観光業界や飲食業界に死ねと言うのですか！」
という怒りが世の中の一角で噴出することも予想できるので、
私は黙して、ただ、自分だけはできるだけ家から出ないようにしている。
このままでは、経済を回すために医療機関に対して死ねと言うことになるのでは、
と私は不安に思っているのだが、違うのだろうか。

私自身は、去る2月15日を最後に、広島から全く出ていないし、
家の外で飲食したことも一度もないし、友人の誰とも直接会っていない。
音楽鑑賞や芝居見物にも全然出かけていない。
食事・買い物・娯楽その他、テイクアウトや宅配、オンラインなどによる
利用が可能なもののみを自分の生活の中に取り入れている。
そうすることで、せめて自分なりともCOVID-19に罹らないようにして、
……いずれ罹らざるを得ないにしても、なるべく後で罹るよう努力して、
目下の感染リスクを最小限にするのが、自分に可能な社会貢献だと思っている。
「経済を殺さないため行動制限はしない、減税もない・再度の給付金も出さない」
という意味のことを政府に言われているので、
個人的に引き籠もって、家からできる消費に撤する以外に、
私には、とりあえず巧い過ごし方が思い浮かばない。
GoTo利用は『皆さんの判断』とのことで、
私は上記の通り判断しているので、これはこれで、いいんですよね？