元町の夕暮れ ~万年筆店店主のブログ~

Pen and message.店主吉宗史博の日常のこと。思ったことなど。

委託販売

2008-06-04 | 仕事について
委託販売を始めて、2ヶ月が経ちましたが、新品の販売にはない面白さを感じています。
やはり今では手に入らないペンが手に入るという、当店の中でも要チェックの場所になっています。
委託販売にペンを出される方は、持っているけれど使っていないペンを、他に大事に使ってくれる人がいればということで持ってきて下さっていますが、中にはコーナーが寂しくなってきた時の景気付けに希少なペンを出してくれる方もおられます。
そんな皆様に支えられている委託販売ですが、私の好みのペンの筆頭だったパイロット77周年記念万年筆ウルトラが並んだ時は苦しみました。
とても書き味が良く、しっかりとした作りでしたし、以前パイロットの広沢さんから最も苦労した万年筆として聞いていましたので、そのペンを見ると恩師の姿を思い出しました。
しかし、自分が欲しいと思うペンこそ誰かに買ってもらって喜んでくれるお客様を増やさなければいけないと思い、我慢しました。
ウルトラは大切に使ってくれる方のところにすぐに行きましたので、安心しました。
他にもアウロラ85周年記念レッド、ファーバーカステルペンオブザイヤースネークウッドなど人気のある万年筆がやって来ては、行ってしまいました。
数々の過去の名品と再会できる場所、当店に新名所の誕生です。

以下は6月4日現在の委託品リストです。
ファーバーカステル 240周年記念オリーブ 20万円
          ペンオブザイヤー2004アンバー 15万円
          ペルナンブコボールペン 2万円
          ペルナンブコ 3万円
ヴィスコンティ オペラチェリージュース 45,000円
シェーファー レガシーヘリテージスターリングシルバー 3万円
パイロット ミュー 1万円
      ミューレックスレディ 1万円
      エリート透明イエロー 11,000円
      ミューレックス 1万円
セーラー トライデント767 14,000円
ペリカン M405青縞 25,000円
     M800緑縞 2万円
     M1000緑縞 44,000円
     100N緑縞 3万円
カランダッシュ メッドウッドボールペン 2万円
アウロラ レオナルド・ダ・ヴィンチラッカー 126,000円
     アジアスケッチペン 42,000円
パーカー デュオフォールドインターナショナルレッド 35,000円
モンブラン ノブレスゴールドプレート 5万円
モリソン 屋久杉 8万円
加藤製作所 象牙 18万円
オマス セルロイドコレクションブルーダーマサイズ 11万円
(価格は出品者の方の販売希望価格です。決済は、委託販売のみ現金でのみの扱いになります。)
(状態は様々ですので、店頭でご確認いただきますよう、お願いいたします。)
   

6月の営業延長日

2008-06-04 | 仕事について
先月から始めた第3金曜日の時間延長、今月は6月20日です。
ぜひ皆様この機会を利用して、ご来店いただきますようお願い申し上げます。
先月の時間延長日は4人のお客様が行き会われ、とても楽しそうにお話されていました。
一日の営業時間の中で、お客様が一気に来られる時間とパタリと客足が止まる時間があります。
それが何時頃なのか、平日と週末とでは違いますし、日によっても違います。
それが分かればもっと効率的に店を開けることができますが、きっと永遠にそれは分からないのかもしれません。
6月20日の夜、コーヒーでも飲みに来て下さい。

神戸の夜

2008-06-03 | 万年筆
岐阜の木工家永田篤史さんが神戸にやって来られましたので、例によってル・ボナーの松本さんと3人で夕食に出掛けました。
土曜日の夜の三宮はたくさんの人が行き交っていて、昼のようで、夜が早い元町に慣れていますので、そのギャップに戸惑いました。
以前、松本さんとライターの名畑さん、バゲラの高田さんと行った冨に行きました。
今回は鳥鍋ではなく、好きなものを選び満腹になるまで食べました。
永田さんと一緒の時、松本さんはル・ボナーを始めるずっと前のお金が全くなかった時のことを笑い話にして話してくれます。
ブログにも書かれていない壮絶なお話もありますが、私たちは爆笑しながら聞いています。
今、腕の良い鞄職人として名声を得てル・ボナーという多くの人から支持されている店を作ることができているからこその笑い話で、鞄職人として生きていくことができず、途中で諦めていたらとても笑い話にできないだろうと思いました。
私たちも自分の失敗や未熟さを笑える未来を手に入れたいと思っています。
永田さんは私よりも7つほど若いですが、早くから木工家として独立して活動していますので、こだわりを貫いた仕事のやり方もサマになっていますし、顧客もお持ちなので、今のまま継続されるともっと認められると思います。
それでも一番若い永田さんを松本さんと二人でからかいながら、冨での夕食は鱧鍋で終わりました。
土曜日だったので、前に松本さんに連れてきていただいて、一度で大好きになったバー、バランザックへ行くことができました。
私はお酒が飲めないので、超極薄にいれてもらったカクテルや、大好きなシャーリーテンプル(1930年代の子役の名前だと知りました)しか飲めませんが、このバーの内装や雰囲気が大好きです。
バーというのは、マスターの美学が表現された空間であり、それは茶室に共通するように思えます。そして、マスターの太田さんのお酒を作る所作はお茶のお手前のように無駄がなく、美しいスマートなものでした。
口数は少ないですが、タイミングを心得た話し方や、一度しか行っていない人間の名前を言えるところ(名刺ファイルは見ていましたが)など、見習って、私も心掛けたいと思いました。
バランザックは時間の経過や、外の喧騒を超越していて、外界からドア1枚で異空間にあるような、どこにも属していない場所でした。
外の現実の世界に戻って、松本さんはタクシーに乗り込み、永田さんはホテルへ、私は大騒ぎの中、三ノ宮駅へ向かいました。