ご来店されたお客様から調整をご依頼いただく時、あきらかに書きにくいという症状があり、その症状には必ず目に見える原因がありますので、それを直せば症状はなくなります。
そういった調整がほとんどで、それらには気持ち良く書くことができるように最大限の努力をします。
でも中には万年筆の最低保証条件である気持ち良く書けることの実現とは違う調整もあって、それらはユニークなものがほとんどです。
件数は少ないですが、最近立て続けにあったのは採点に使う万年筆の調整です。
学校の先生方は本当にたくさんの数のテストを採点します。
○あるいは×、さらに小さな文字で書き込み。
○×をつけている時は万年筆は寝た角度で、書き込みはペンを立てて細かく。
採点万年筆の調整をお申し付けくださった先生はお二人ともの○×の書き方は、書き慣れているを通り越して、風格すら漂う書き方で、無駄な力が一切入っていない、まるで息をするように書く手が枯れている書き方。
本当にたくさんのテストを採点してこられたのだと感動すら覚えました。
ペンを寝かした状態で太く書けて、筆記角度を高めで細く書けるようにすることが、採点万年筆の調整に課せられた使命でした。
セーラーのズームというペン先があって、ズームのイリジュウムの形がそれを実現できる五角形です。
でもズームのままだと太い線が書ける角度は60度くらいの角度ですので、角度の低いズームを作ることにしました。
依頼主のお仕事の役に立つ万年筆にする、強いこだわりや高い次元の要求におもしろいと感じてしまう。
それは万年筆をそれぞれのお仕事に使う人の仕事に向かう姿勢が感じられて、その気持ちを意気に感じるからなのか。
大変だけど難しい要求もできるだけ応えたいと思っていますが、それを大声で言うとどうなるのだろう。
ありがとうございます。
ユニークなご依頼ありがとうございます。
お仕事をより快適に、楽しくできるものがご提供できれば、それが何よりの喜びです。
ぜひご愛用ください。
昨日、無事届きました。
商品を手に取り、まずしたことは、ペン先をルーペで見たことでした。面白かったですね。とても特殊ななペン先でした。
早速赤インクを入れて、書いてみました。予想通り、寝かせて書く場合のスィートスポットが極端に限定されていましたが、ハマった時の書き味は、最高のものでした。とても気持ち良く書けます。
また、立てて書いてみると、角度により太さが変わり、MからFぐらいまでの字幅が使い分けることができます。
面白いです。これからの仕事のパートナーとして、大切に使わせていただきます。ありがとうございました。