元町の夕暮れ ~万年筆店店主のブログ~

Pen and message.店主吉宗史博の日常のこと。思ったことなど。

杢との出会い

2012-04-27 | 仕事について

温かみがあって、使うごとに艶を増す木の良さから、さらに深化した楽しみが杢を観るということです。

その木本来の模様である木目が自然の中で何らかの影響を受けて特別な模様を成す。

鳥の目のような模様がたくさん出るバーズアイがたくさん出るもの、縞模様が見る角度によって浮き出たように見える縮み杢、あるいは波杢などなど。

杢を感じて楽しむのは木目を感じる以上の何か嗜みに似た、粋な世界だと私は思っています。

杢との出会いは本当に一期一会で、二度と同じものに出会うことはできない。

また出会った時、素晴らしい杢だと思ってももしかしたらもっと良い杢と出会えるかもしれないとも思うけれど、出会えないかもしれない。

それはまるで男女の出会いのようなスリリングなものだと言うと大げさなのだろうか。

でもこれも男女の出会いと同じなのかもしれないけれど、一度出会って惚れて、自分のものにした後はいたすらそれを愛でて、手をかける。

手をかけることによって、杢はさらに自分にとって美しく変わってくれる。

出会いの時のインパクトの強い感動から、緩やかで落ち着いた心のあり方愛着へと変わっていく。

そんな心に作用する杢をまとった銘木の品々。

工房楔のコンプロット10は、木工家永田篤氏が特に良いと思った杢が、比較的大きな面積で取れる選りすぐりの素材を使って作られています。

もちろんその模様は当店に納品されるたびに違っていて、でも入ってくるたびにそれらひとつひとつのものを私たちは好きにならずにはいられない、見せ所が必ずあるものばかりです。

また新たに、美しく華やかな花梨こぶ杢(https://www.p-n-m.net/contents/products/SF0137.html)と抑えた味わい深いちぢみ杢のウォルナット(https://www.p-n-m.net/contents/products/SF0051.html)が入荷しました。