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ひびレビ

特撮・アニメの感想や、日々のことを書いてます。
2025年9月から「はてなブログ」で「ひびレビg」を開設予定です。

「映画ゆるキャン△」を見て

2023-11-07 06:32:56 | テレビ・映画・ドラマ
 2022年の映画「映画ゆるキャン△」を見ました。
 
 高校生活も当に昔。就職し出版社に勤めていたリンは大垣と久々に再会。彼女が廃墟となった施設の再開発に携わっていると知り、思い付きでキャンプ場にしたらと口にしたところ、大垣は早速なでしこやあおい、恵那も巻き込んだキャンプ場作りを開始する!


 ……えー、私はこの映画を「大人になったなでしこたちが登場する」ということ以外の情報抜きで見始めまして。「リンは出版社かー。図書委員に本屋のバイトと、本好きそうだからなー」「最初の頃は接点が無かったリンと大垣が二人で飲むのかぁ……」などとしみじみしていると、突如「鉄腕DASH」染みた企画が始まったので、一体何を見せられているのか困惑しました(笑。「別の仕事のため作業できる時間が限られている」「地元の方々の協力を得る」「重機を操る」など、番組を彷彿とさせる件が満載でした。
 キャンプ場作りもある意味では壮大なキャンプの一環なのかもしれませんし、こういった方々の苦労があってキャンプを楽しめるわけですから、こういった描写の大事さは理解出来ます。理解出来ますが、「ゆるキャン△」に求めていたものではないかなぁ……と。「美味いラーメンの店に行ったら美味いチャーハンを出された」的な?美味しいんだけれども、求めていたものではない的な、何とも微妙な感情が湧いていました。

 学生時代と同じ展開では大人である意味が無くなってしまいますから、こうした大人だからこそ描ける物語が必要だとは思います。とはいえ、わざわざ映画館に足を運んでまで重機を操るなでしこを見たいかと言われると……微妙ですね。
 個人的には、なでしことリンが雪山の先にある温泉に入るシーン。ああいった「子供では行き辛い場所」などに足を運ぶといった描写。あるいはなでしこが勤めるお店に来た女の子たちにキャンプの楽しさを伝えるといった話がメインでも良かったのではと思いつつ、それで2時間もたせられるかと言われると微妙ですし、なんなら後者は最近原作に登場した後輩とポジション被りかねないから微妙だし……なんかさっきから「微妙」としか言ってませんね(苦笑。
 

 なでしこがアウトドア用品の楽しさを伝える側に回っていたり、哀しみを堪えるあおい先生の「うそやでー」に子供の時のように乗っかる大垣だったり、良いシーンもあるにはあります。が、美味しいけれども、食べたかったのはこれじゃない。何とも微妙な気持ちになった映画でした。
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ボイスドラマ「アクセプターは鳴らない」「倫理観のお話」を聴いて

2023-10-31 06:30:06 | テレビ・映画・ドラマ
 「グリッドマン ユニバース」Blu-ray特装版映像特典のボイスドラマ「アクセプターは鳴らない」「倫理観のお話」を聴きました。え?前者は入場者特典でも聞けたのではって?……だって会員登録とか諸々あったっぽいし……(汗。
 さて、いずれもグリユニ本編後の物語のため一部ネタバレが含まれておりますので、あらかじめご了承ください。



 「アクセプターは鳴らない」は、裕太がサプライズでとある施設にデートに誘ったところ、六花の機嫌を損ねてしまう。何が悪かったのかと戸惑う裕太は蓬に相談し……という流れから、よもゆめ(主に夢芽)恋愛相談室が幕を開けます(笑。
 兎にも角にも夢芽が終始楽しそうで何よりです。ダイナゼノン本編のどこか気だるげな印象はどこへやら。特に裕太が六花を怒らせたと知った時の反応は秀逸でしたね。また、そんな彼女とグリユニ本編ではほぼ絡みが無かった裕太のあの反応に対し、ズバッと切り返す夢芽もカッコよかった?です。
 先輩カップル(後輩)が後輩カップル(先輩)で楽しむ楽しいボイスドラマではありますが、タイトルは「アクセプターは鳴らない」。これが意味するところは……グリッドマンもあの問いかけに戸惑っていたという意味合いなのかなと。良いオチでした。


 そして新規のボイスドラマは「倫理観のお話」は、六花、暦、ナイトくん、2代目という珍しい組み合わせ。
 こちらは非常にざっくり言うと……「ドラえもん」における「ドラえもんの道具ばっかり頼っちゃダメ!」的なアレを思い出しながら聴いていました。グリユニ終盤では覚悟を決めていた暦が六花ドン引き&ナイトくん激おこな発言をしたりとか、2代目とナイトくんの微笑ましい?やり取りが見られたり、あの名台詞がギャグになったりと色々ありました。
 個人的にはとある人物の名前を口にする際に「名前の一文字目を口走って言い直す」のではなく、一瞬言い淀んでいたのが印象的です。あの僅かな間だけであのシーンが思い起こされました。


 そんな感じでボイスドラマも楽しませていただきました。そして今更ながらにアニメ本編のボイスドラマも聴いておけばよかったなぁ……と思う今日この頃でした。
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「グリッドマン ユニバース」を見て(通算5回目)

2023-10-27 06:59:47 | テレビ・映画・ドラマ
 というわけで、今年の3月に公開された映画「グリッドマン ユニバース」の映像ソフトが発売されました!ので!早速勝って視聴しました!泣きました!通算5回目なのに!

 いやー半年ぶりのグリユニでしたが、やっぱ最っっっっ高の映画ですね!
 「電光超人グリッドマン」から連なる「SSSS.GRIDMAN」「SSSS.DYNAZENON」のメンバーが揃った、てんこ盛りのお祭り映画。裕太の六花への告白を軸としつつ、笑いあり涙あり、熱く楽しいバトルあり……フルパワーグリッドマンとカイゼルグリッドナイトの共闘ですらも、本作においては中盤のフルコースに過ぎず、最後の最後まで見たいものを全部見せてくれる大満足の映画となっております。この映画に関してだけは「普通」はこれ以上ない誉め言葉です(笑。

 で、映像ソフトで改めて確認したのが「時間」でした。上映中は時を忘れて見ていましたが、本作は約117分、2時間程度の映画です。大体30~40分ごとに転機が訪れているのですが……序盤・中盤・終盤のどこで切り取ってもそれだけで満足できてしまうのが本作の凄いところですね。
 また、時折映っていたピンク髪の女の子。こちらはグリユニのヒロインアーカイブによると、本来劇場版のゲストキャラとして想定されていた子だそうで。同書にはキャラクターデザインやどういった立ち位置になる予定だったのかも記載されており、謎が一つ解けてスッキリしました。
 また、六花と夢芽が並んでいる構図も多々見られるのですが……夢芽と並ぶと六花の脚の太さが改めて際立ちますね。その夢芽のデザイン画の太ももの指定に笑ってしまいました(笑。

 そして夜の公園のシーンは何度見ても良いっすね……思いがけず訪れた六花と二人きりの場面。六花は「大学生は無いでしょ」といい、裕太は年上・年下への興味を否定し……
 と、ここの間が良い味出してるんですよ……裕太のみを映すのではなく彼を黙って見つめる六花を描写することで、本作は裕太の告白物語であると同時に、六花が彼の告白を待ち続ける物語でもあるのだと気づかされます。彼の想いは知っているけれども、「響裕太」本人の口からそれを聴きたいと待ち続けていたのではないかなと。

 
 その他にも、電光超人要素を探したりとか、ダブル「おかあさーん!!」とか、よもゆめ、怪獣少女とナイトくん、髪わしゃわしゃ、主題歌ラッシュ……本当に語りたいことがあり過ぎて、とてもじゃないですが語り尽くせない映画です。チャプターごとに区切って話したいまである。
 「グリッドマン ユニバース」。これから何度でも家で楽しめるのは非常に嬉しいことですが……やっぱ映画館の大スクリーンでも見たいよなぁ……ユニバースファイター登場シーンとか、終盤のバトルとか……あぁ、やっぱり書ききれないですね(苦笑。
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「ポケットに冒険をつめこんで」の第1話を見た話

2023-10-20 07:19:20 | テレビ・映画・ドラマ
 ドラマ「ポケットに冒険をつめこんで」の第1話を見ました。

 本作の主人公は、東京の小さな広告代理店で働く赤城まどか。第1話は母からの贈り物の中に入っていた「ポケットモンスター赤」を久々にプレイする中で、競合プレゼンで勝つヒントを得る……という展開。

 人名や町名、BGMなど随所に散りばめられた初代ポケモン要素は「こうかはばつぐん」ですが、話そのものは「こうかはいまひとつ」。
 「イワーク相手にひっかくを使ってもらちが明かない」から「ポケモンには色んなタイプがいる」「相手がどんなタイプか知ることが大事!」という流れそのものは理解出来ます。ですが一方で、この話に30分かける描く必要があるのか?と感じてしまいます。懐かしの「バトルおにいさん」のように10分程度でテンポよく進めても良さそうなものですが……それだとポケモン要素が強まり過ぎですかね?

 また、全体的にゆるーい雰囲気はポケモンを味わううえでは心地よく感じられるものの、ドラマとして見るともう少し熱気が欲しかったと思ってしまったのも事実。22番道路のライバルはタケシよりも前に戦えますから、競合プレゼン直前で現れたライバルの子の登場をもう少し早くしても良かったかな?と。
 かといって、あまりガツガツし過ぎると、ポケモンに現実を絡め過ぎているのが気になってしまいそうですし……前述の理由と併せて、どこに比重を置くかが非常に悩ましい作品だと感じました。

 そして一番気になったのが「昔フシギダネを選んだが、進化したら思ってたのと違ってお母さんに泣きついた」エピソード。
 確かに可愛いフシギダネから怖めのフシギバナになるとギャップが凄いですし、ポケスタでも目が血走っていましたから「思ってたのと違う」と思う気持ちは分からなくもないです。その後好きになってくれた可能性も残っています。ですが、フシギダネ、フシギソウ、フシギバナは初代の相棒で、ずっと大好きなポケモンです。実際にそういう話があったにせよ、これはドラマ。「最初はフシギダネを選んだから、今度はヒトカゲにしよう!」という理由で何ら問題は無かったはずです。
 まどかが働く広告代理店にはコイキングにちなんだ社員がいます。仮に今後、彼を中心として「ポケモンを見た目で判断してはいけない」というテーマで話が進み、フシギダネが思っていたのと違う姿に進化したからといって悲しむのは失礼だった……という展開が待っているとすれば、このエピソードを挟んだことにも賛同は出来ませんが納得は出来ます。確固たる理由が無いとすれば、ただただ不快です。


 次回予告には「おしょう」ことカモネギが映っていましたが、カスミ、マチスはすっ飛ばす流れなんですかね?まぁヒトカゲを選んだのであればカスミはタケシと似たり寄ったりの展開になりかねませんし、マチスはそこら辺にいるディグダorダグトリオでどうとでもなる相手だから細かく描かないのかもしれませんが、それにしたってカモネギとはまた渋いところを……次回も見るかどうかは悩ましいなぁ……
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「らんまん」を見て

2023-10-13 08:04:00 | テレビ・映画・ドラマ
 連続テレビ小説「らんまん」を見ました。序盤は数話見逃しましたが、東京に出てきてからは見逃していない、はず……

 本作は植物学者である牧野万太郎と、その妻・寿恵子を中心とした「愛」から始まる出会いの冒険譚でした。
 「雑草という名の草はない」と言うように、人間という人はいない。寿恵子、竹雄、綾などのように長く苦楽を共にする人物のみならず、短い時間であっても共に過ごした一人一人との出会いが万太郎たちの人生を彩っていました。時に哀しい別れもありましたが、田邊や園子が話題に挙がるたびに、彼らと過ごした日々も万太郎たちの心の中に咲き続けていることが感じられましたね。
 時には立場に、時には金銭に悩まされつつも、たどり着いた大きな夢。愛と出会いの全てが結実し、未来に繋がっていく最終週、最終回には泣かされっぱなしでした。特に最終回、主題歌「愛の花」をバックにした万太郎と寿恵子の会話シーンは歌詞とのシンクロっぷりも相まって凄かった……

 正直最初の頃は「植物学者の話がどのような盛り上がりを見せるのか」が気になっていましたが、終わってみれば大満足の作品でした。万太郎側の動きがやや控えめな時などは、彼を支える寿恵子側の物語を中心に描いていたのも印象的です。それでいて最終的には植物学者・牧野万太郎の物語に収束したあたり、それぞれの視点が絶妙なバランスで描かれているように感じました。
 思い出深いのは万太郎の実家・峰屋を畳む時の別れのシーン、ムジナモを巡る一連の騒動、憑き物が落ちたかのように研究に精を出す田邊教授、万太郎が辞職を願い出た時の徳永教授の対応などなど……登場人物一人一人の個性がしっかりと出ていたのも印象的な作品でしたね。万太郎の恩師である蘭光先生も登場期間こそ短いですが、最後まで再登場を期待してしまうほどの存在感があった人物だったかと。

 最終回に至ってもなお「はじめまして」がある世界。それは植物に限らず、人も同じ。いくつになっても新しい出会いがある。そうした一つ一つの出会いを大事にしていくことで、一人では成しえなかった大きな夢も叶えられるかもしれない。そんなことを感じさせられる作品でした。ありがとうございました!
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43回目の高校生クイズを見て

2023-09-09 07:22:04 | テレビ・映画・ドラマ
 というわけで今年も高校生クイズの時期がやってきました。

 43回目、40周年となる今回のテーマは「日本の未来を変える最強頭脳!」……あー、はいはい、いつものですね……毎年言ってますけど、もう体力と時の運要素は追加され無いんですかね……こういう形式の高校生クイズへの出場を目指している方もいるから簡単に形式をガラッと変えるのは難しいでしょうし、出場される高校生の努力や熱意を見ていると、これも一つの青春の形ということは理解しているつもりです。
 ただ、これを高校生の私に見せたとして「出てみたいなぁ」と思ったかと言われると……こんなハイレベルな戦いを見せつけられては「無理!」とハナから諦めてしまったでしょうね(苦笑。運要素が絡まない限り勝てる気がしません。「じゃあもう歴代の優勝校だけ集めればいいじゃん」とか思ってしまいそうです。

 今年は初っ端から16校。個人出場を認めて裾野を広げるのは良い試みだと思いましたが、一方で都道府県代表無しの16校に絞るってのはどこか矛盾している気がしなくもなく。また、準決勝に出場する学校以外は殆ど触れられなかったのも寂しいところ。まぁテレビ番組だから仕方ないといってしまえばそれまでですが、問題の解説や導入を減らして高校生の背景に注目してあげても良かったのでは?とも。

 で、クイズについては、視聴者に答えさせる気がないであろう超難問を出題している頃と比べれば、正解は出来ずともそれに近い解答が出来そうな問題があったのは良かったと思います。計算問題の前提条件を一瞬しか見せなかったのは、視聴者にも解いてもらうつもりが無いからですかね?
 それでも、やはり高校生がわちゃわちゃ楽しんでいる姿も見たいなぁと改めて思わされた43回大会でした。


 ところで、優勝の感動で流されていますけど、最終問題の解答がパーフェクトって相当に凄いのでは?そこ深堀するべきでは?
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出会いはビデオ

2023-08-08 06:40:38 | テレビ・映画・ドラマ
 先日金曜ロードショーで「もののけ姫」が放送されていました。

 最近ではネタにされがちな「我が名はアシタカ!」、ヤックルと仲直りしようとする様がかわいいサン、アシタカ大好きなヤックルなどなど魅力的なキャラクターと、トトロとはまた違った懐かしさと言いますか、自然の雄大さを感じさせるBGMなど、いつも何度でも視聴したくなる作品ですね。

 そんなもののけ姫と私の出会いはビデオでした。当時は自分の足で一人きりで映画を見に行くなんてことは出来ず、親に連れて行ってもらうのが常。故にもののけ姫も初視聴は借りてきたビデオだったと記憶しています。近所で夏祭りが開かれている日、友人たちと一緒に見たっけなぁ……
 また、ビデオで見た作品といえばタイタニックもそうですね。まさかのビデオ二本立てには驚かされましたし、今思うと隣に家族がいたとはいえ、あの年頃でよく長時間視聴したものだなと。当時見ていた映画といえばゴジラ、コナン、ポケモンなど、1時間半から2時間程度の映画。そこから更に30分以上も長い映画を見ていられたってことは、やはり子供をも引きつける魅力を持ついい作品だったからなんだろうなと。

 映画は映画館で見るからこそ味わい深いものもありますが、家で見た作品にもそれ相応の思い出は宿るもの。むしろ家であーだこーだ言い合いながら見るのもまた一興だと感じた今日この頃でした。
 あぁ、でもボロボロ泣ける作品は一人で見たいですね。未だに私史上一番泣いた映画である「帰ってきたドラえもん」がテレビ放送された時には、親に泣いているのを気づかれないように必死でした(苦笑。
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やはりナウシカがわからない

2023-07-11 07:44:36 | テレビ・映画・ドラマ
 というわけで久しぶりに「風の谷のナウシカ」を見ましたが……その前に現在の私のジブリ作品への好感度をざっくり挙げますと

 大好き:トトロ、ラピュタ、耳をすませば、もののけ姫、千と千尋の神隠し
 好き :紅の豚、ぽんぽこ、山田くん、猫の恩返し、コクリコ坂
 普通 :魔女の宅急便
 微妙 :おもひでぽろぽろ、ハウル、ゲド戦記、ポニョ、アリエッティ、マーニー
 未見 :火垂るの墓など

 といった具合です。微妙勢は大体一回見てそれっきり、魔女宅は面白いんだけれども後半割と心が辛いので毎回は見ない、好きは放送されたら見る、大好きは何度でも繰り返しみたい……そんな感じです。「火垂るの墓」は親が「見れない」と言っていたので私も未見です。

 そんな中でナウシカがどこに食い込むかと言われると……どこなんですかね?(汗。
 今回改めて二回視聴しましたが、間違いなく微妙ではないにしろ、好きと普通の間をウロウロしている感じです。幼い王蟲を酸の湖に入れさせまいとする時のナウシカのシーンや、クシャナの再来を機に野心をすっぱり割り切れるクワトロの位置取りの上手さとか、割と好きなシーンもあるにはあるのですが、全体的に何とも言葉にできない、妙な物足りなさを覚えるんですよね。あとは誰に感情移入して見れば良いのか分からない的な……?我がことながらよくわかりません。

 結論としてナウシカは現状「保留」です(苦笑。何だろうなぁ、この感情。
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「異動辞令は音楽隊!」を見て

2023-07-10 08:01:07 | テレビ・映画・ドラマ
 2022年の映画「異動辞令は音楽隊!」を見ました。

 本作の主人公は刑事一筋30年、多発するアポ電強盗の調査にあたっていた昔気質の刑事・成瀬。彼はコンプラ違反等により音楽隊への異動を命じられてしまうことに。

 当初はギラギラしていた成瀬が、音楽隊に異動しただけでそう簡単に変われるわけもなく。本作ではトランペット奏者の春子とのセッションという音楽による変化のみならず、彼女との会話や、亡くなった夫や別れた成瀬の妻の帰りを待ち続けている成瀬の母親の描写が成瀬の変化に大きく関わっています。
 春子に昔語りをしたり、母親に現状を理解させようと語気を強めていた成瀬自身こそが、今を見つめることが出来ていなかった……この点をわざわざ言葉にしたりはしないため説教くささは抜けているものの、初見では正直変化のきっかけがやや分かりづらく感じました。

 個人的に印象的だったのは、成瀬がほこりをかぶっていた和太鼓を叩くシーンです。
 何故幼い自分に太鼓を叩かせたのかと母親に問うても、帰らぬ夫を待ち続ける母親は答えてくれない。太鼓を叩いても、あの頃にも、刑事にも戻れるわけではない。むしろ演奏する自分を見守ってくれていた母親を思い出し、より一層胸が苦しくなったようにも感じられます。ほこりが被っていたとはいえ、大事な思い出が詰まった太鼓を投げ捨ててしまったことへの負い目もあったでしょう。それまで気丈であり続けた成瀬が初めて見せた、彼が抱え込んで来た寂しさや辛さなどが詰まっている良いシーンだったと思います。
 また、この時投げ捨てた太鼓をきちんと拾っているあたり、人間そう簡単に過去を捨てることなんて出来ないということも感じられました。

 刑事と音楽隊、それぞれにしか出来ない仕事がある。互いに力を、呼吸を合わせて一つの音楽を奏でることで、それはより素晴らしいものとなる。一人じゃできないことも、仲間がカバーしてくれれば大丈夫。音楽隊への異動を通して、今の自分に出来ることは何かを見つめることや、仲間と呼吸を合わせることの大切さが描かれていた作品でした。
 割と好きな部類には入りますが、視聴前は「刑事版スウィングガールズ」を想像していただけに、アポ電強盗の不穏な雰囲気や家庭内のトラブルなど、見ていて心が苦しくなるような場面もそこかしこにあって、視聴前の印象とのギャップに驚かされた作品でもあったなと。
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週5でチャングム

2023-06-28 07:14:34 | テレビ・映画・ドラマ
 現在BS日テレで再放送中の「宮廷女官 チャングムの誓い」が大詰めを迎えております。月~金と週5話ずつ放送されているので、全54話でもあっという間の終盤です。でも序盤見逃したので、もう1回やってくれませんかね(笑。

 以前書いたとおり2006年頃に見てはいたものの、久々に見ると新鮮な驚きが随所にありました。

 中でも特に驚いたのは医女編における先輩・ヨリの存在です。最初は「見習いであるチャングムたちの意見も聞いて精進しようとする立派な先輩」という印象だったのですが、話が進むに連れてチャングムをあの手この手で貶めようとしてくる強敵になるとは夢にも思いませんでした。料理人時代にも嫌がらせはあったものの、近くにハン尚宮やヨンセンなどの理解者がいました。が、ヨリは周囲からの信頼も厚く、下手に反論すればチャングムの方が追い込まれてしまいます。
 普段は温厚なチャングムも我慢の限界。ヨリに怒りを顕わにしたものの、傍から見ればチャングムがヨリに辛く当たっているように見える構図……それを目撃したのがチャングムの師の一人・シン先生というのが何とも辛かったです。そして疫病?発生時におけるヨリの行動は言うまでもなく。どんどん孤独に追い込まれていき、心を折られそうになるチャングムは見ていられませんでした。まぁ、そこから逆転するからこその楽しさというのもありましたし、ヨリの意外な素性も明らかになった時の驚きも楽しめました。

 また、序盤からチャングムや師匠ハン尚宮と対立していたチェ尚宮の最期は印象的でしたね。
 一族を重んじ、地位に執着し、囚われの身となってもその目は死なず、絶体絶命の状況に陥っても毅然とした態度で状況を打開しようと試みたチェ尚宮。苛烈に生き続けた彼女の末路は、どこか寂しさや儚さが残るものでした。様々な敵を作り、葬り続けたチェ尚宮ですが、最初に手にかけてしまった人物がよりにもよって……だっただけに、ここで引き返したら彼女を殺した意味すら失われてしまうと考えてしまったからこそ、ああも苛烈だったんだろうなと。
 ハン尚宮とは対立こそすれ、最後は共に弟子を助けようと試みるなど、同じ志を抱いたところもあったでしょうに……最後に彼女の脳裏によぎったのが幼い頃の楽しい記憶だったのは、彼女も戻れるものなら戻りたいと、ずっと願っていたのかなって……そんなチェ尚宮がいなくなったことを寂しく思う人物の一方で、決して許されないことをしたと怒りを顕わにする人物も描写されたのは好印象でした。如何に最期が寂しいものだったとしても、それで彼女の行為を美化してはならないのだと認識させられましたね。

 あとは……時代や場所が影響しているのかもしれませんが、それぞれが真意を胸にしまってしまう場面が多々あったなと。言いたくても言えない。下手に何か言えば地位や命に関わってしまう。それが例え今の価値基準から考えれば正しいこと、真っ当なことに思えても、劇中ではそれが許されない。
 それはチャングムに限らず、王様も同じこと。現在は王様が自身の意思を貫こうとしても、部下や母(皇太后)からの誤解や反発を受けてしまい、思うようにいかないもどかしさも描かれています。

 自身の誓いを果たすには、一人では成しえず、様々な人々の協力や理解を得ることが大切。しかし正しいことを貫くのは難しく、目の前には権力や常識、慣例が立ちはだかる。そうした中で如何に理解者を得て前へと進んでいけるか……そういったことが描かれていた作品だと感じました。
 残り2話。堪能させていただきます。


 ……しかし、1日1話ずつ見ていると、主題歌の脳内ループの機会も増えますねぇ……家事をしながらつい口ずさんでしまいます(苦笑。
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