萬蔵庵―“知的アスリート”を目指すも挫折多き日々―

野球、自転車の旅、山、酒、健康法などを徒然に記載

プラハの珠玉“黄金の虎”

2007年08月26日 | 中欧の旅

<U zlateho tygra ウ・ズラテーホ・ティグラ。日本語で「黄金の虎」の意。15時開店。15分前に行くとすでに何人か並んでいた。>

チェコは現在世界で一番飲まれている泡立ちのいい黄金色のビール、いわゆる「ピルスナー・ラガービール」の発祥の地だ。また、チェコ人の一人当たりのビール消費量は世界一だそうだ。それ位であるから、気軽で手頃な価格で呑めるビヤホールも沢山ある。この辺りの知識はプラハに行く前からつかんでいた。後は実地で確かめるのみであった。

まず、プラハ到着の夜はホテルで休む間もなく、ドラゴン氏が見つけておいてくれたビヤホールへ直行。長旅の果てに呑んだチェコビールは「来てよかった!」と思えるほど、旨かった。次の日は「ビールと古本のプラハ」という本で推薦する、プラハ一美味しいビヤホール「黄金の虎」に行くことにした。

15時から23時とあったので、14時45分ごろ行ってみると、すでに5~6名並んでいる。開店して中に入るとシンプルで落ち着いた雰囲気。本には「地元の人の指定席があるので座る場合は店の指示にしたがうこと」と書いてあったので、指で示された席に忠実に座る。何もオーダーしなくても、生ビールをウエイターが勝手に持って来る。「ビール呑みに言葉はいらない。国境もない。」と言ってるようで、実にいい。この店の売りはピルゼンの「ブラズドロイ」というこのビールだけなのだ。なにもたのまなくても無くなればこれをもってくる。ふと「わんこそば」を思い出す。


<これが、ビール!卑しいかな、一口呑んでから撮ったため量が減っている>
 
ともかくも、出されたビールをドラゴン氏と乾杯して喉に流し込む。コクがあってキレがある。冷え方もちょうどいい。ホップのものであろうか、ほんのりとここちよい香りがする。なるほど、プラハ一といわれるだけのことはある。じつに旨いビールだ。これで一杯(500cc)約180円である。2リットル呑んで720円。これなら、毎晩来たって、田畑を売るようなことをしなくてもすむ。小原庄助氏もプラハに生まれていれば身上を潰さずにすんだろう。

二杯も呑んで落ち着いたところで、店内を見回して見ると虎の置物や絵があちこちにある。今度来る時は「タイガーマスク」のフィギアか、阪神タイガースグッズでも持って来ようかとドラゴン氏と話す。初日は一人4杯ほど呑んで二人とも満足して店を出た。ビールの旨さもさることながら、チェコ人気質みたいなものの一片を垣間見た気がしたからだ。


<店内にはトラグッズが飾ってある>


<専用コースターとレシート?。右下の線の本数がビールの数。この時点で4杯目。>


翌日は18時頃に来たが、立ち呑みの人もいてとても入れる状態ではなかった。わんわんと店に鳴り響く喧騒もただならぬものがあった。何を話しているのかわからないが、みな熱く大声でビールを呑みながらやっている。一旦他の店で食事してから、22時頃また来たが、立ち呑み席が辛うじて空いていたのみ。そこで3杯程呑んでいると閉店の23時。片付けが始まったので、帰る。

次の日。前日の反省から15時前には行かないと座れないと思い、早めに行くが15分ほど15時を過ぎてしまう。中を覗くともう満員である。昨日と同じ立ち呑みのスペースがやっと空いていたので、この日もそこで呑んだ。平日の昼間になんでもう満員なんだ。この人たちは仕事しているのか。それとも、仕事の合間にきているのだろうか。日本ではありえない光景である。そういえば、プラハでは杖を突いてビッコを引いている人を多く見かけたが、あれはみんな「痛風」患者ではないか。ビールの呑みすぎで尿酸値の高い人が、沢山いるのではないか。と、勘ぐってしまうのだった。

実は、この立ち呑みというのも悪くはない。バーテンがグラスに次から次へとビールを注ぐのを見ながら呑むのもオツなもの。それにしても休みなしに注ぐ。15時から23時までの8時間で10秒に1杯注ぐと2880杯である。恐るべき数字である。それでもバーテンは馴染み客が来ると親しげに挨拶を交わし、握手をしたり、抱き合ったりと忙しい。

その間も新手の客が来ては、入れないのを確認して不満たらたら、店を出て行く。ふと、壁をみるとクリントン大統領が訪れた時の写真が飾ってある。当時のチェコの大統領ハヴェルがチェコらしいビヤホールということで、ここに招待したらしい。“黄金の虎”は名実ともにチェコを代表するビヤホールだったのだ。

プラハがもっと近く、もっと安く行けたら、毎年行きたい店である。


<地元の人が所狭しと集まってビールを飲みながら議論を戦わせている>


<壁にはクリントン米大統領が訪れた時の写真が飾ってある。左から、チェコの作家フラバル、ハヴェル・チェコ大統領、クリントン>
コメント (2)
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