萬蔵庵―“知的アスリート”を目指すも挫折多き日々―

野球、自転車の旅、山、酒、健康法などを徒然に記載

呑み処徘徊 第二十六回 「千渡里(ちどり)」

2010年05月19日 | 呑み処徘徊


5月連休の自転車の旅の途中で新潟県の村上市によった。比較的日本中を出歩いている小生ではあるが、この土地には初めて来た。ここの“食”の売りは鮭と村上牛だ。また、地酒としては「〆張鶴」がある。電車で先回りしていたドラゴン氏と菲菲(フィフィ)に合流し、3人で訪れた。ドラゴン氏と小生が村上で行ってみたい店を別々に検討していたのだが、この「千渡里」で一致した。鮭と村上牛が両方とも食べられる、というので地元でも人気のある店のようだ。

村上駅前の通りを15分ぐらい歩いたところにこの店はある。暖簾をくぐると、中は結構広く、すでに数組のお客さんがいた。愛想のいいお姉さんが注文をとりに来る。3人ともまずは生ビール。肴は「刺身おまかせ三点盛」「ノドグロの西京焼き」「村上牛のサイコロステーキ」「村上牛コロッケ」「村上牛とたまねぎ炒め」などをたのむ。鮭料理は秋がメインなので、今回はパスした。「だーまた丼」という海鮮丼も名物なのだそうだが、それだけで腹一杯になってしまいそうなので、それも今回はパス。

たのんだ肴はどれも旨かったが、特に「村上牛のサイコロステーキ」は肉が異常に柔らかく、大変美味しかった。卓上で自分で焼き加減を調整できるのもいい。もっと食べたかったが、他にも美味しそうなものがあるのであきらめた。若い頃なら、もっと食べられただろうが、その頃は経済的な理由であきらめたかもしれない。


<村上牛のサイコロステーキだ!>

生ビールの後の酒は地元の「〆張鶴」の冷酒を300mlのボトルでもらう。すっきりとした味わいで、どんどん呑めてしまう。呑み過ぎに用心しながらいただいた。

店の壁には有名人のサインでいっぱいだ。小生が店を選定するのに参考にしている「居酒屋味酒覧」の著者太田和彦氏のサインもある。また、我々が座ったテーブルのすぐ横の壁には水森亜土氏の絵が大きく描かれていた。これを描くには結構時間がかかったのではないか、と思ったが、プロだから瞬く間に描いてしまったのかもしれない。店の主人に尋ねてみようと思っていたのだが、忘れて出てきてしまった。今秋、鮭の時期に再訪しなければならない理由が、もう一つ増えた
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呑み処徘徊 第二十五回 「魚菜(ぎょさい)」

2010年04月23日 | 呑み処徘徊

<左からシマアジ、ヒラメ、タコ。ヒラメの奥にはエンガワも。皆天然で新鮮。味はもちろん、申し分なし。>


<酒は全国から取り寄せている。その時々で銘柄は変わるそうだ。>

先週の話。木曜まで呑み過ぎていたので、金曜日は酒を抜こうなどとおろかな計画を立てた。場所は札幌である。今から考えれば、できっこない計画をよくも立てたものだと思っている。泊まっているビジネスホテルから、この「魚菜」までは程近い。

前回の札幌出張の折、店の前まできたが、あいにく休みで断念した過去がある。多少調子悪るかろうが、店が開いていれば入るべきだ、と“呑み心”がむらむらと湧き、ついつい足を運んでしまったのだ。狸小路沿いのビルの4階にこの店はある。古い雑居ビルに所狭しと居酒屋、スナック、雀荘などが入っていて、“昭和の落ち着き”を感じる。

店はカウンターと小上がりにテーブルが三つほど。結構混んでいて、小生はあいていたカウンターの角に通された。まずは生ビールをたのんで、肴には「おまかせ三点盛り(上の写真)」と「行者にんにくのおひたし」を選ぶ。刺身はもちろん旨かったが、「行者にんにくのおひたし」も酒の肴にいい。香りと舌触りのよさについつい酒がすすむ。

日本酒はその時々で銘柄が違うそうだが、全国から、美酒を取り寄せている。聞いたことのない銘柄もあり、質問すると、ボーイッシュな女将さんがスラスラと説明してくれる。

店内の雰囲気も落ち着けていい。のん兵衛が一人でくるのに調度いい感じだ。体調がイマイチだったので長居はできなかったが、今度きたら、「特製ポテトサラダ」や「たらこの大吟醸漬」などを肴に大いに呑もうと決心したのであった。
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呑み処徘徊 第二十四回 「居酒屋 魚や」

2010年03月06日 | 呑み処徘徊



大宮駅を東口に降りて右方向へ行くと通称「南銀」と呼ばれている繁華街の通りがある。その繁華街の中ほどにその店はある。紺地に白の「魚や」の暖簾が目印だ。この場所はどちらかというと、南銀でもスナックなどの店が多くある通りで、女性などが一人で来るにはちょっと入りずらい場所である。

入口は狭いが中に入ると案外広く、カウンターは10~12人には座れそう。右手の小上がりにも2テーブルほどある。大体、いつも七時過ぎにはサラリーマン客を中心に一杯になる。

この日は友人と二人で暖簾をくぐった。呑み物はとりあえず、生ビール。肴には「白子焼き」と「北海たこ刺し」「栃尾油揚げ」をまずもらう。この白子焼きは風味といい、舌触りといい絶品である。晩秋から3月初旬までの季節商品とのこと。この前行った時はギリギリでまだあった。

呑み物を日本酒に切り替え、まずは宮城の「浦霞」。肴がいいので杯も進む。次は気になっていた秋田の「能代」をたのむ。この酒がまた、すっきりとしたいい酒だった。前回来た時には品切れになっていた「さば塩焼き」を追加でもらう。できるまで、「塩辛」「お新香」などでつなぐ。15分もたったろうか、見た目もとても美味しそうな「さばの塩焼き」が登場。大ぶりだが、身はしまっていて、ほどよく脂ものっている。これは、これは、大変に旨い。

こうなると、気になっていた「鮭ハラス焼き」ももらってしまう。これも十分美味しかったのだが、脂がこってりとのり過ぎていて、満腹に近い状態のオジサンにはちょっとくどかった。口直しと言ってはなんだが、さっぱりと「焙り明太子」をいただく。これまた、風味と塩加減がほどよく、お茶漬けにしたいぐらいであったが、もう入らない。酒の友としていただいた。

ということで、酒の方も大分呑んだ。ただし、沢山食べたのでそんなに酔った感じはしなかった。魚はどれも新鮮で包丁を握るご主人の腕もたしかだ。酒も美味しいし、雰囲気もいい。友人に教えてもらったのであるが、大宮にもいい店があったものだ、と感心した次第。


<これが「白子焼き」だ。冬場しかない、季節モノ。>


<こちらは「焙り明太子」。白いご飯が欲しくなる。>
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呑み処徘徊 第二十三回 「こまつ」

2010年01月25日 | 呑み処徘徊


先週土曜日の話。“遠野”で二時間ばかり散策した後、釜石線の特急「はまゆり」に乗って新花巻駅で新幹線に乗り換えて一ノ関で降りた。時に16時47分である。ここで降りたのは前々から一度は行こうと思っていた“気になる呑み処”「こまつ」があった為である。一ノ関駅の西口から大町通りを右に歩いて岩手銀行の十字路を左に曲がったあたりに、その店はある。ライトアップされた白い土蔵が目印だ。

開店は5時半であったが、5時には着いてしまった。入り口には「準備中」の木札がかかっていたが、外で待つのも寒いので、引き戸をそっと開けて、もう入っていいか聞いてみた。案ずるは産むが易し。愛想のいい、店主がどうぞどうぞと中へ入れてくれた。店内は、カウンター8席、4人掛けテーブル2席とやや小ぶりであるが、二階で宴会もできるようだ。

まずは「牡蠣の松前焼き」「寒ぶりの刺身」「寒ぶりのしゃぶしゃぶ」をいただく。牡蠣は「日本汽水紀行」などの著作でも有名な畠山重篤さんの「水山牡蠣」、寒ぶりは富山県の氷見港で獲れた天然モノだそうだ。出てきた寒ぶりの刺身は色も鮮やかで、食べてもすっきりと臭みもなく大変旨い。しゃぶしゃぶはさらに旨い!

昆布の上でじっくりと牡蠣を焼く「牡蠣の松前焼き」も美味であった。これらを肴に、「こまつ」オリジナル生酒や地酒を呑む。もっきりの量も多く、酒呑みとしては多いに満足であった。

また、一ノ関特産の曲がり葱の天ぷらも甘みと苦味がちょうどよく交わって、酒が進んだ。〆はこの店の手打ち蕎麦。酔ったは後はヒンヤリ、ツルリと蕎麦に限りますナ。いやいや、すべてにおいて大満足でした

海の幸を美味しく食べさせてもらえて、酒の種類は日本酒も焼酎も豊富である。酒呑みの胃袋をよくご存知の名店だと思った。下記の参考文献では、超巨大無臭ニンニク「ほこほこ焼き」もオススメということだが、これは9月~11月の季節モノとのこと。また来るしかないようだ。

仙台から一ノ関までは鈍行で1時間半、新幹線で40数分としょっちゅう来るには微妙な距離だが、盛岡出張などに絡めれば、月に一度ぐらいは来れそうだ。

「また、来ます。」

そう、言って気分よく店を後にした。

参考文献:「太田和彦の居酒屋味酒覧」
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呑み処徘徊 第二十二回 「酒仙宿 月形」

2009年09月29日 | 呑み処徘徊

<暗闇に浮かぶ 酒仙宿 月形 の看板。いい風情ですな。>

福島県は郡山市。人口33万人。交通の要衝でもあり、県内の経済の中心地をなしている。新幹線でも東北道でも普段は単に通り過ぎるだけの街であるが、それでもたまには座用(=社用)で泊まることがある。この街の“呑み処”として小生が一番気にいってるのが、今回ご紹介する「酒仙宿 月形」である。まず、この名前からしていいではないか。辞書を引くと、

 酒仙=俗事を超越し、この上なく酒を愛し楽しむ人。

とある。そうなのだ、俗事を忘れた楽しい酒呑み達が集う店という意味なのだ。小生や小生の仲間にうってつけの店なのである。“月形”という名もなんとも風流でいいネーミングだ。

JR郡山駅前通りを市役所方面に二キロほど行った右手にその店はある。看板は写真にあるように、暗闇に目立つ。店の外観は“シブイ”感じである。暖簾をくぐると左奥に7~8人は座れるテーブル席がある。正面にカウンター、右側手前に小上がりの席が2つほど。我々4人組はそこに上がって座った。

小生はこの店は二回目である。小生たちの座(=会社)の先輩達が郡山に転勤になったり、出張したりすると必ずよった店がここなのだそうだ。その伝統を受け継いでいるわけだ。このお店は肴は勝手に持ってきてくれる。季節によって違いはあるが、どれも大変美味しい。「枝豆」、「冷やしトマト」、大ぶりに切った「カツオ刺し」、「さんまの味噌煮」、絶品の「ポテトサラダ」などなど。酒呑みの好みを知り尽くしたかのような、肴がゾロゾロと出てくる。

呑み物は最初はお決まりのビールで乾杯。地方座員の二人は最後までビールであった(と思う)。小生と地方座長は、よく冷えた会津の酒「栄川(えいせん)」の生酒300ml小瓶をいただく。これが、非常に喉越しがよく旨かった。二人でグビグビと調子に乗って5~6本は呑んだのではないか。

冷酒というのは喉を通る時は口当たりがよく、ドンドン入ってしまい、胃に落ちてある程度、温まってから一気に血液に吸収されるらしい。したがって、時限爆弾のように時間差で弾ける。こんなことは昔から理屈としては知っている。が、そこは酒呑みのだらしなさ。酔ってしまえば「学習能力」は無くなるのだ。

地元座員のS氏の可愛らしい娘さんがクルマで迎えに来たことや、その娘さんを連れて、みんなで隣の焼肉屋(だったと思う)で冷麺を食べたりしたことは断片的に覚えている。

ホテルまでは誰かに送ってきてもらったのだが、かなり酩酊していたようで、気が付くと自分の部屋のベッドで一応着替えて寝ていた。ワーワーと発散した所為か、目覚めは余り悪くは無かった。

それにしても、会津「栄川」生酒。ききました

そうそう「酒仙宿 月形」はいいお店です。
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呑み処徘徊 第二十一回 「サムライ」

2009年09月06日 | 呑み処徘徊

<北見の繁華街。人通りは少なくひっそりとしている。ところが、サムライは・・・。>

北海道は北見市。人口は13万人弱、農業を中心とした北海道の中堅都市である。年に何回でもないが、仕事で行くことがある。前回来た時に、とある居酒屋に寄って舌鼓を打った後、ラーメンでも食うかというと、地元座員が北見は「塩焼きそば」が名物です、という。そうか、そんなら何処ぞで「塩焼きそば」とやらを食おうじゃないか。ということになり、北見の屋台村の一角にある「サムライ」という店に寄ってみた。

名物に旨いものなしで、大したモンではなかろうと思って食したのだが、さにあらず。ここで食べた「塩焼きそば」の旨さは半端ではなかった。みれば、他にも美味しそうなツマミもあり、今度北見にきたら、最初からここで呑むぞ、と地元座員たちと誓い合ったのであった。


そして、先月半ばの北見出張。夕方、ホテルでチェックインを済ませて、当然ながらこの屋台村に足を運ぶ。ところがだ。屋台村の一角にあった「サムライ」は他の店に変わっていた。えっ!潰れたの?移転したの?なんだよ折角来たのに。次はいつ来れるかわからんのに。

と愕然としたが、よくみると屋台村を出た通りにあるではないか。「サムライ」が。繁盛店のため、手狭な店からより大きな店へと変貌していたのであった。よかったねぇ、と喜んで店に入ったのだが、喜びも束の間。満席で入れませんという。閑散としている北見の繁華街でここだけが混んでいる感じだ。

しかたないので、近場の居酒屋で呑んで、席が空くのを待つことにした。途中、地元座員が動向を探りにいったが、まだ、満席という報告。「自分の携帯電話を店主に教え、空いたら電話をかけてもらうことにしました。」と座員がいう。でかした。気が効くじゃねぇか。

ということで席が空くのを待っていた。ようやく、電話がかかってきたのは10時半ごろ。愛想のいい店主は「すいません。何度もお待たせしまして。」と恐縮そうに我々を向かい入れてくれた。

既に呑み食いしてしまったので、頼んだものは生ビールと「塩焼きそば」だけだ。お通しの枝豆で生ビールをチビチビやりながら待つ。酔った身でも、結構、待つのが長く感じた。なかなか出てこない。よほど手間かけてつくっているものと思った。思えば、夕方から待っていたのだ。この10分や20分はなんてことはない。

そして、ついに満を持して「塩焼きそば」は出てきたのだった。

小ぶりの柄のついた中華鍋の中に炒めたての塩焼きそばがこんもりと盛られている。そして、カタクリが少な目のさらっとしたスープのような餡が入った器も出てくる。出汁はホタテとタラからとったものだという。非常にコクのある美味しいスープである。ここに、中華鍋に盛られたカリッとした塩焼きそばをつけて食べるのだ。風味といい、歯ごたえといい、ノド越しといい、申し分ない逸品であった。

またしても、塩焼きそばしか食べれなかったが、大阪出身の奥さんの提案か、串焼きなども充実しているようだし、今度、北見に来る時は予約してでも、最初からここで呑もうと、座員達と再び堅く誓ったのであった。



<夫婦のなれそめのような、店の特徴のようなメッセージが小気味いい。>
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呑み処徘徊 第二十回 「しらかば」

2009年07月24日 | 呑み処徘徊

<釧路の町によく似合う風情の店構えだ>


その店は野生のラッコ「くぅちゃん」で一時話題になった釧路川にかかる幣舞橋(ぬさまいばし)から徒歩数分のところにあった。入り口に店名の白樺の木が飾りとして施されている。15人ぐらいは座れる大ぶりのコの字型のカウンターがあり、右奥に小上がりある。ハキハキとした熟年のお姐さん達が取り仕切る活気のある店だ。

夕方6時過ぎにドラゴン氏と二人で入ったのであるが、カウンターは既に客でふさがっていた。なかなか人気のある店のようだ。奥の小上がりの席に通された。ここのお通しが変わっている。「牡蠣豆腐」といって、だし汁の中に豆腐と牡蠣が入っている。風味がよく、酒のアテにもってこいだ。肴は刺し盛の他に、この店の名物「エゾシカ焼き」と「ときしらず(鮭)」「アスパラ焼き」などを頼んで、まずは生ビールで乾杯。日本酒は地元釧路の酒「福司(ふくつかさ)」をもらう。


<左から「ときしらず」「エゾシカ焼き」「アスパラ焼き」>

どの肴も新鮮で美味しかった。「エゾシカ焼き」は硬めの肉で野趣あふるる感じがした。三串あって、それぞれ、塩、味噌、醤油で味付けしてある。お姐さんの話では、最近、道内では鹿が増えているので、食用として売り出しているそうだ。そういえば、道々「蝦夷鹿バーガー」だの「エゾシカカレー」などの看板をよく見かけた。

また、釧路は霧が有名だと言う。霧以上雨以下の状態を「ジリ」と呼ぶのだそうだ。後で知ったのだが、このジリは釧路湿原にとってはとても重要で、ジリがなくなると、湿原は乾燥してしまうらしい。

途中、4人組の客が来たので我々はカウンターの方に席を移された。もっとも、こっちの方が落ち着く。座った席の目の前に美味しそうな「おでん」鍋があった。もうツマミは十分だったので、頼まなかったが、未練が残った。この次来たら、絶対「おでん」から入ろうと思ったのだった。

二時間もいたろうか。いい気分になったところで、ゴアイソした。最後にデザートと称して冷えたミニトマトが出てきた。これが、甘くて、香りがいい。作り方なのか。土壌や気候なのか。本州で食べるモノとは別物であった。

外に出ると、街は閑散としている。人影もまばらである。角を曲がって驚いた。客待ちのタクシーが列を作って並んでいる。物すごい数だ。とても、これだけの数を満足させる需要は無いと思うのだが・・・。

以下は余談。

ドラゴン氏とはこの日に釧路で落ち合ったのであるが、氏は「釧路生まれ」である。もっとも、2歳までしかいなかったので何も覚えてはいないそうだ。ただ、氏はしきりに「ウミネコの鳴く町はいい」を連発していた。釧路の街には海が近いのでウミネコが沢山いる。ウミネコの鳴き声が彼の子守唄だったのではないか、と想像した。
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呑み処徘徊 第十九回 「小肥羊(しゃおふぇいやん)」

2009年07月07日 | 呑み処徘徊

<これが火鍋だ。鍋中央に仕切りがある。左が白湯スープ、右が麻辣スープ>


<しゃぶしゃぶ用の上牛肉である>


<おなじく、上ラム肉である>


<野菜や他の具材も大変美味しいのである>

皆様、中華料理の「火鍋」というのをご存知でしょうか。

友人に教えられて初めて食べた時にはさすがは「中国四千年」、“食”への拘り方が半端ではない。と、いたく感動した。鉄製の鍋を二つに仕切り、淡いが濃厚なスープ(白湯~パイタン)と香辛料が沢山入った辛いスープ(麻辣~マーラー)の二種類を入れ、好みに合わせて肉や野菜を煮て食べる鍋料理だ。

日本の中華街でも普通に食べることができる。小生も初めて食べたのは池袋の中華街だった。大宮でも何回か食べ、香港でも本場のを食べたことがある。回を重ねるにつれ、最初の感動は薄れつつあった。

ところが、である。

この前、上海生まれの“菲菲(フィフィ)”が連れていってくれた新宿の「小肥羊(シャオ・フェイ・ヤン)」という火鍋専門店には改めてうならされた。ドラゴン氏と3人で行ったのだが、“火鍋専門店”というだけあって、店に入った瞬間から、独特の香辛料の香りが漂う。否が応でも食欲がわく。

メニューはコースもあるが、こういう時にはうってつけの“中華ソムリエ”菲菲に丸投げだ。ウェイトレスも中国人が多く、日本語でやるよりも中国語でやる方が話が早いようだ。菲菲とウェイトレスがまくしたてる北京語は、もちろん何を話しているか分からなかったが、この場の雰囲気を盛上げるには十分であった。

ここの経営者はモンゴル人だそうで、中国国内には何百店もある有名店だそうだ。日本にはこの新宿店と渋谷、赤坂、関内(横浜)の4店しかない。やがて、二種類のスープの入った鍋がセットされ、新鮮で生でも食べれそうな牛肉、ラム肉が出てくる。野菜の盛合せや中国式凍み豆腐やツミレ(白身魚のツミレの中に小籠包の中身と同じようなのが入っている)などが運ばれてくる。

菲菲はツケダレとして「ゴマダレ」と「ニンニク油」、薬味に「パクチー」を選び、ツケダレ用の器に混ぜてくれる。各々好きな具材をとって、好みの味のスープに入れる。肉はしゃぶしゃぶの要領で湯をくぐらせる程度で食べられる。沸騰するスープにサッとくぐらせてゴマダレベースのツケダレにつけて頬張る。スープの旨味とゴマダレの香ばしさが肉を最高の味に仕立ててくれる。

 旨いねぇ。実にいい。

牛もラムも両方ともうまい。また、中国式の凍み豆腐やツミレはまさに絶品であり、この「火鍋」の為にわざわざ作っているとしか思えないできばえであった。

この辺りは中国国内に何百店もチェーン店を持つノウハウなんだろう。何せ食に拘る中国人たちにも人気のある店なのだから。小生は辛い麻辣スープの方が好みだが、時々白湯のスープでも食べる。皆、そうやって食べている内に、辛さが混じって煮込まれるからだろうか、しまいには白湯スープの方も辛くなる。これがまた、ちょうどいい味加減なのだ。

締めには細い麺をこの味加減のよくなった白湯の方に投入。ラーメンのようであるが細くて硬い。少々煮込んでものびない。これが、また、味は滲みこむがフニャッとせずにコシがあって旨い。いろんな、工夫がされていてサプライズの連続であった。まさに、これぞ究極の「火鍋」だ!

呑む方は最初は生ビールで途中から赤ワインに切り替える。3人でボトル二本あけた。ここの火鍋を前にすると“呑”より“食”が優先するが、それこそこの店の特長であろう。中国四千年の食の厚みを日本に居ながら味わえるのである。大酒くらっている場合ではないのだ

こういう店が日本に4店しかないなんて。イチイチ都内まで行くのは面倒だし、大宮あたりにもできないかと思っていたら、なんと、なんと。5店舗目が大宮駅前にオープンすることになったのだ!。しかも、本日7月7日が開店日である。なんという偶然か。この文章を書くのに「小肥羊」のHPを覗いたら、そう書いてあったのだ。

近々行かねばなるまい。しかし、大宮にできると頻繁に行くようになり、「小肥羊」ならず「大肥豚」になってしまうのが恐い


追伸・・・今回より「呑み屋徘徊シリーズ」の名を改め「呑み処(どころ)徘徊シリーズ」としました。“屋”という呼び方がお店に失礼だと思っていたのと、“呑み処”と呼ぶことで、火鍋だろうと蕎麦だろうとカレーだろうと酒が呑める処なら、どこでも紹介できることになりますので。また、19回にもなったので、カテゴリーも独立させました。
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呑み処徘徊 第十八回 「こぶ志」

2009年04月29日 | 呑み処徘徊
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この頃、秋田に行くとよく行く店に「こぶ志」がある。秋田の一座のモンの友人の店ということで初めて入って以来、今回で4回目か。以前に「秋田の夜」という題で紹介した店である。どういう肴があるかは「秋田の夜」を見てもらうことにして、今回はそれ以外のことについて触れる。

JR秋田駅からは二キロ以上離れているので、歩いて行くにはちょいと遠い。県庁や市役所のある官庁街のかたわらにその店はある。

店主は一人でキリモリしている。結構、客が入るので忙しい。無口な人であるが、我儘な客やうるさい客がいると「金はいらねえから帰れ!二度とくるな!」と言って追い出すそうだ。小生は友人の同僚として来ている所為か幸いにして、まだ、たたき出されたことはない。昔はイザ知らず、今はそんなに横柄な呑み方はしてないつもり、だと思うのでこの先もたぶん大丈夫だ。値段はリーズナブルである。お友達価格だと思っていたのだが、今回、写し取ってきたメニューをみるに、普通に呑んでも安そうだ。


<驚くほど安い>

それぞれのおでんネタにしても焼物にしても100円前後だ。材料は特別なものでなく、その辺に売っている普通の食材だそうだ。炭火焼と塩加減で美味しく仕上げているようだ。飲み物も安い。ボトルで「オールド」が2500円、「雲海」が1800円、ビール380円、酒、小180円、大350円である。ほとんど、原価に近いのではないか。

店を出て振り仰ぐと漆黒の闇に「こぶ志」の看板が煌々としている。あの主人はこの“こぶし”にどういう意味をもたせたのか、とふと考えた。素直に花の“コブシ”と解すべきか。あのお人柄からして、花ではないと思う。かといって“古武士”。まさかね。“拳”の方だろう。もしかしたら、空手かボクシングをやっていた人かもしれない。きっとそうに違いない。気に触られて、「出て行け!」といわれたら、逆らわずに出て行ったほうが無難のようである。


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呑み処徘徊 第十七回 「居酒屋しんや」

2009年04月22日 | 呑み処徘徊

<これが活タコだ。4人前もあっというまに無くなる>


<ジンギスカンやホルモンも旨し!>

この頃、札幌に行くと必ず寄る店がある。すすきのの奥の方、「すすきの市場」の対面(トイメン)の古びたビル一階の奥にその店はある。最初は札幌の一座のモンに連れて行ってもらったのだが、非常に気にいった。一人の時でも足を運ぶ。先週の木曜日は4人で暖簾をくぐった。

ここのおススメは、なんといっても、ナマでも食べれそうな「活タコ焼き」である。写真は4人前分。これをしっかり焼くよりも半生程度、ミディアムレアぐらいでほおばるのが良い。また、味付けジンギスカンや塩ホルモン、ミノなども新鮮で美味しい。価格もリーズナブル。その為か女性客も多い。唯一の欠点は食べ過ぎてしまうことだ。

呑み物は生ビール、日本酒はもちろん、焼酎、サワー類と豊富だ。焼酎はボトルがない代わりに秤売りをしてくれるので、呑み残す心配はない。広いとは言えない店内ではあるが、ゴールデンタイムはいつ来ても満席状態である。

店内の壁にはプロ野球の日ハムの選手や有名人のサインがビッシリ。実際に時々、日ハムの選手も食べに来るらしい。ご主人が毎年秋に行われる「ツールド北海道」開催にも関係しているらしく、ロードレーサーのサインもチラホラとある。


大満足で店を後にするが、さすがに不況の所為か、すすきの全体の活気はいまひとつ。呼び込みのニイサンたちの言葉尻も、“威勢”というより“焦り”が伺えるような気がした。そういえば、この時間いつも入れないことが多い「居酒屋しんや」に4人連れがすんなり入れたのもそのおかげだったのかも。

前夜訪れた旭川の繁華街はシャッターを閉めている店も多く、寂れていた感があり、もの悲しくさえあった。ネオンの街から明かりがなくなるのは辛いことである。すすきのは今はまだ、旭川ほどではない。しかし、このまま不況が続けばどうなることか。

 繁華街が空いているのはいいが、寂れてはいかん。

と勝手なことをつぶやきながら、ホテルに戻った。
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呑み処徘徊 第十六回 「味百仙」

2009年01月16日 | 呑み処徘徊


昨晩、「目指す店が開いていたら呑むが、閉まっていたら酒を抜く」と、千歳空港から札幌へ向かう車中で賭けた。ホテルのチェックインが22時。部屋に荷物を入れてからそそくさと、お目当ての店に行く。ビルの壁に取り付けてある看板の明かりは点いている。だが、以前来た時もこの看板は点いていたが、地下にあるその店に行ってみると閉まっていた経験があるので安心はできない。恐る恐る階段を降りていくと、やってました、ちゃんと暖簾がかかってましたよ。「味百仙」という緑の暖簾が。あえなく禁酒日は見送りとなる。

暖簾をくぐるとそうは広くない店内に結構人が入っている。店の雰囲気は明るい感じで、初めてのひとり客でもすーっと入って行ける、そんな感じのいい店だ。カンターは6席ほどで、スミに一人客がいるだけで空いていた。カウンターに座ってまずは生ビール。小ぶりの陶器のジョッキに良く冷えたのが出てくる。陶器自体も冷やしてあり、ビールの冷え頃も調度良い。あまりに旨いので普通はビールは一杯と決めているのであるが、禁じ手のオカワリを頼んでしまう。

ツキダシは冷奴。この豆腐もいい。上にかかる海苔と浅葱の風味もいい。たのんだポテトサラダが出てくる。これがまた旨い。ウインナーの2~3mmの輪切りが入っていて、こんもりと持ったサラダの上にタタミイワシが振りかけてある。ビールに大変よくあう。生ビール二杯目の禁じ手を破った張本人はこっちかもしれない。

刺身は「黒がれい」を注文したのであるが、これがまた逸品。もちもちっとしていて最高にうまい。こりゃ、酒をたのまにゃあかん、と思ってメニューをもらうと、あるあるやたらと旨そうな酒がある。その中から吟醸「南部美人」(岩手)ついで吟醸「天空の鷹」(鳥取)をいただく。どちらもふぅわりと鼻腔をくすぐり、あまく喉を潤す、いい酒であった。

お品書きを見ると食べたくなるものばかりだが胃はひとつ。何回か足を運ぶことに決めて、今日のところはその中から「さばの味噌煮」「里芋の揚げだし」「梅漬け」などをオーダーする。どれも量は多くないがいい味だ。そうなのだ、酒を美味しく呑ますための料理なのだ。最後に好物の「いくら丼」で締めた。このいくら丼も旨かったのであるが、一緒についてきた白菜の古漬けでイクラとご飯を巻く様にして食べると、さらに美味しかった。

一時間ほどの“ひとり饗宴”であったが、十分堪能できた。この店の暖簾がしまっていたら、今日のこの幸せは得られなかった。よくぞ、開いていてくれたと感謝するとともに、何回か足を運ばねばなるまいと意を決しつつ、階段を昇ったのであった。


追伸:店は札幌駅の北口から歩いて2分程度のところにある。駅のすぐそばなので、会社帰りのサラリーマンが多い。すすきののような繁華街にいかなくても、手軽に呑める名店だ。

参考文献:「太田和彦の居酒屋味酒覧」
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呑み処徘徊  第十五回  「ねんじり亭」

2008年09月30日 | 呑み処徘徊


今月の初め「大人の休日倶楽部会員パス」を利用して、魚津の居酒屋に行ったことを書いたが、今日はその店を紹介する。店はJR魚津駅から歩いて3~4分の所にある。大きめな看板がかかっているので見つけ易いが、玄関は暖簾がかかっているわけではなく、普通の住宅の佇まい。ちょっと入るのに勇気がいるが、魚津まで来て引返すわけにはいかない。

意を決してドアを押すと、開いた。(当たり前か)中は照明を抑えた落ち着いた暗さ。そこにジャズが流れ、都会的なセンス。まるでショットバーのような雰囲気だ。入ってしまえば居心地のいい空間が待っていた。カウンターに座って、生ビールをたのむ。ツキダシは10種類ぐらいから、お好みの2種類を選ぶシステム。小生は迷ったあげく、「筋子」と「しめじの佃煮」をいただいた。

主人は若作りであるが、話している内に小生と同い年、ということが分かった。手伝いの娘さんもまだ若い。ガイド本のオススメ、刺身盛合わせを注文して。酒に切り替える。日本酒はまずは富山の満寿泉(ますいずみ)の大吟醸をいただく。土地の肴は土地の酒でいただくのが基本だ、ということで頼んで見た。

刺身はすべて魚津港であがったものだというので、それならば、ということで魚津の酒 北洋の大吟醸もいただく。地のもの同士がどう旨いのかを表現できる味覚力も筆力もないのが残念だが、確かに合う。と思う。

すすめられたままに「げんげの塩焼き」をもらうが、これは深海魚でくにゃくにゃした魚で、小生にはそんなに美味しいものではなかった。酒はこの後も手取川大吟醸(石川)、勝駒生酒(高岡)など、北陸地方の酒をいただいた。

途中、老紳士が東京からだろうか、娘さんにおみやげを持って入ってきた。常連客のようである。その紳士が言っていた。

「黒部川にしろ、神通川にしろ、この辺りの川は立山の大山塊から、一挙に富山湾に注いでいる。急流というのは勿体無い感じがするが、その分、清潔でいいなぁ。」

と。なるほど、こういう天然を持つ土地というのは恵まれているのかもしれない。水も魚も美味しいはずだ。それを証明するかのように魚津駅前にはこんな碑が建っていた。


<中ほどに「長生きしたけりゃ 魚津においで うまい空気に水がある」と書いてある>

参考文献:「太田和彦の居酒屋味酒覧」
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呑み処徘徊 第十四回 「あんぽん」 

2008年09月17日 | 呑み処徘徊


札幌はススキノ。言わずと知れた“一大繁華街”である。地下鉄すすきの駅を上がると、広い「月寒通り」に出る。「札幌東急イン」と「ロビンソン」の大きなビルの裏側が、ススキノの入り口だ。まさに、その入り口に、この店はあった。

階段を上がって、中に入ると少し暗いが、清潔感あって落ち着ける雰囲気だ。入口のカウンター近くに一組の客がいて、奥にも一人。入口の三人組は2人のOLとその上司っといった組み合わせか。結構、賑やかに呑んでいた。奥の人は、札幌から東京へ転勤する(戻る)人で、最後の「あんぽん」のようだ。仕切りに、「戻りたくないなぁ」を店を切り盛りする白髪の上品な女将に連発していた。数年後の小生の姿かもしれない、と思うとただ事ではない親近感を覚えた。

ここの名物は厚岸の牡蠣だ。二年ほど前、旅行で厚岸に行った際、食べた牡蠣がとても美味しかったので、ここでもさっそくたのんだ。「生ですか。焼きですか。」と聞かれて「生」と答えた。「生」も身がぷりぷりしていて十分美味しかったのであるが、向こうのOLたちは「焼き」を頼んでいて、「美味しい~」を連発している。

「焼き」もたのむか。とも思ったが、他にも食べたいものがあったので諦める。次にたのんだのは苫小牧の北寄貝だ。これも先年、苫小牧に行った折に食べたのが忘れられず、あちこちで注文する肴だ。焼き物はおすすめのオホーツク産宗八鰈の一夜干をもらう。

これら、北海道の美味に合う美酒はやはり、地酒の「国稀(くにまれ)」だろう、ということで冷やした「国稀原酒」をいただく。北海道の厳選された、海の幸にキリリとした「国稀」。気分は“ザ・北海道”。

大変良く酔えました(笑)。

「札幌には出張で時々来ます。そこの東急インに泊まることも多いです。」というと、女将さんが名刺を渡してくれた。近いうちに“焼き”を食いに来ようと心に決めて店を出た。


参考文献:「太田和彦の居酒屋味酒覧」
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呑み処徘徊 第十三回 「いな舟」

2008年09月04日 | 呑み処徘徊


 8日間の盆休みの中間に蔵王温泉に行った後、レンタカーで山形は鶴岡まで足をのばした。月山に登ってから行く予定だったのだが、あいにくの雷雨。登山は中止し、最上川沿いに辿って、鶴岡に入った。鶴岡は藤沢周平の故郷である。何年か前、彼の名作「蝉時雨」をNHKが取り上げ、人気が再燃した感のある藤沢周平だが、彼の小説に出てくる「海坂(うなさか)藩」のモデルはここ鶴岡だそうだ。

この城下町に、古色然とした割烹がある。それが今回尋ねた「いな舟」だ。季節の旬を味わうには「おまかせ」がいいと判断し、4000円のコースをたのむ。

出てきた順に列挙すると(酔いのため順番や品名は正確ではないかも)

西貝(にしがい)、もずく酢、鰈の塩焼き、鯛と鱸の刺身、煮物、だだちゃ豆。どれも、新鮮で旨かったが、印象的だったのは茹でたてで、まだあったかい「だだちゃ豆」。大き目の皿に山盛りで出されたのだが、塩加減も丁度よく、千切っては投げ、千切っては投げ、ではないが、どんどん、口に放り込んでは呑み、放り込んでは呑み、を繰り返した。そのおかげで酔いが廻ってしまったようだ。

そして最後に鯛の炊き込みご飯。(汁モノも何処かで出たかもしれん。)このご飯も出汁の風味と鯛の食感がよく、涙が浮かぶほど旨かった。

呑んだ酒は「生ビール」で始まり、近頃人気の「杉勇(山形)」をいただいてから、一時期小生のお気に入りの酒だった「大山(おおやま)」に切り替える。

「大山」は鶴岡の酒である。まさに“地酒”だ。キリッとした辛口とキレのいい後味が特徴で、この日は生酒がお勧めだというので、それをもらう。本来の味に生酒の風味が足された「大山生酒」。ついつい、杯がすすむ。

店を出た時はかなり満腹状態でしかも酩酊していた。腹ごなしに3kmはあるホテルまで歩いて帰ろうかと思ったが、歩くのも覚束ないので結局、タクシーを拾った。

なんとなく、慌ただしく呑んでしまったと反省している。次回は雪景色の時期にでも行って、じっくり味わうよう呑みたい、と思っている。
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呑み処徘徊 第十二回 「魚仙」

2008年08月29日 | 呑み処徘徊

<長岡の駅前商店街にその店はある>


<新潟の酒の「利き酒5種」。十何通りもある>

8月半ば頃。社用で夜、長岡に入った。この街には呑み屋徘徊シリーズ対象店の「魚仙」がある。泊まったホテルのすぐ側にその店はあった。ガイドブックの地図が間違っていたので、一瞬、潰れてしまったのかと思ったが、気を取り直して、電話してみる。主人が出て、やってますよ。踏み切りの近くです。と道を教わった。その通り、行ってみると確かにあった。

暖簾をくぐり、引き戸を開けて中に入ると店は結構広い。七分ぐらいの入りか。広めのカウンターに箸とおしぼりが置いてある。電話した小生を待っていてくれたようだ。ちょっとしたことだが、粋なはからいである。とりあえず、生ビールを頼んで、席に着く。

ツキダシの茄子の炒め煮も旨かったが、特撰油揚げは抜群。香りもいいし、外側がカリッとしていて、噛むとジュッと油が滲み出す食感がいい。大ぶりに薄く削った鰹節と大根おろしとショウガの付け合せがよく合う。世界中に動物性蛋白質(=肉)が無くなっても、この油揚げがあれば、耐えられるとふと思った。

酒の出し方も「利き酒五種」という変わったやり方だ。十何通りもある。5杯の総量は二合弱だそうだ。小生は

「酔法師(よろぼし)」(店オリジナル)に、「越の寒梅」「影虎」「白瀧」「越後杜氏」

の組み合わせを選んだ。

どれも辛口の部類であるが、オリジナルの「酔法師」が辛口の中にほんのりと旨味があって美味しかった。これを別に一合もらう。次に「越後杜氏」も一合いただく。肴は刺身盛合せ(船の陶器で盛り付けられて出てくる)、サンマ塩焼き、バイガイ煮。どれもネタが新鮮なのか大変美味しい。最後にはオニギリまで食べた。
亭主の落ち着いた“プロ”の言動を眺めていたら、何故か昨年行ったチェコはプラハの名ビヤホール「黄金の虎」を思い出した。

「長岡に来るたびに寄らせてもらいます。」と言って店を出た。

満足の一夜でした。

参考文献:「太田和彦の居酒屋味酒覧」
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