18日未明から3時間半にわたって、試合前のクロージングセレモニーから表彰式まで眠くなることもなく、TVの前に釘付けになっていた。今回の快挙は
2008年北京オリンピック女子ソフトボール金メダル、
2009年3月のWBC連覇以来の感動劇である。特に北京オリンピック女子ソフトボールの金メダルの時と今回は、女子チームであること、オスターマン、ブストス要する世界一の強豪アメリカを激闘の末破ったこと、など共通点が多い。
今回のW杯でのアメリカの戦い方に間違いはなかったと思っている。戦術においても、それを実現すべくパワー、スピード、精神力においても完璧に実行されていた。なのに、栄冠に輝いたのは日本であった。冷静に考えてみると不思議である。なぜ、日本は勝てたのか。
アメリカはまず試合開始から20分ぐらいの怒涛の攻撃で点を取りたかっただろう。あそこで日本が1失点でもしていたら、随分と展開は違っていたかもしれない。しかし、そこを日本は凌いだ。日本のディフェンスも必死ではあったが、あそこは天佑としか思えなかった。
そして、嵐の中の風前の灯に見えた日本が徐々にチャンスをつかまえて反撃開始。そこそこ試合になってきた後半24分、スピード、パワーを兼ね備えたモーガンの男子並みシュートがゴールに突き刺さる。この瞬間から36分の同点ゴールまでの12分間、アメリカ人はもとより、フランクフルトの観客、テレビの前で観戦していた多くの日本人も、このままアメリカが勝つと思っていたに違いない。そして、なにより小生も、
「やっぱり、アメリカは強い。日本がアメリカに勝つなんて十年早いぜ。」
というあきらめムードで観ていた。スタジアムの観客の声援にもそれは出ていた。どこか静かであった。
ところがだ。
36分。宮間のゴールが決まった瞬間から、スタジアムは騒然となった。「こんなことが・・・」という奇跡をみたような騒ぎであった。以降、このスタジアムの騒然とした雰囲気は最後の表彰式まで続くことになったのだった。
<つづく>