風來(軽のキャンピングカー)を購入する前、まだ、自転車をキャンピング仕様にして、北海道などを走っていた頃の話。北海道で知り合った65歳のモーターバイクツーリストが「定年後早々にワンボックスカーに自転車を積んで10日間ほどの旅に出たが、結局一度も自転車には乗らなかった。暑い、寒い、雨が降ってる、風が強い、花粉が飛んでる、坂がキツそう、と思うと、どうしても、クルマを降りて自転車に乗る気にはなれなかった」と言っていた。
先日の大学のサイクリングクラブのOB会でも「クルマに自転車積んで旅行したら、なかなか自転車に乗ろうという気にはならないのではないか」という質問を受けた。確かにそうなのである。クルマで旅行していると楽で便利なので、何もここで自転車に乗り換えて、寒さや向かい風に耐えて、坂道を登らんでもいいではないか。という、気持ちが自然に湧き上がってくるのである。そこをあえて押し切って、自転車にまたがるにはそれなりのモチベーションが必要だ。
小生にとってのそれは「列島攻略!」である。日本列島の白地図をパネルに貼って、今まで自転車で走ったところに線を書き込み、登った百名山には▲印をつけて管理している地図がある。名付けて「日本列島轍靴(てっか)ノ図」というやつだ。つまり、小生の自転車に乗るモチベーションはこの地図の白紙の部分に線を書き込むことなのである。「かつて自転車では行ったことの無いところに線を書き込みたい」という意欲が自転車で走る原動力になっているのである。
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<これが「日本列島轍靴ノ図」である。2016年6月時点のもの。赤い線は1977年~81年の学生時代の轍(わだち)、紫の線は1981年~90年頃まで、緑の線は2005年~2013年まで。隠居した2014年以降は青い線を書き入れている。▲は登頂済、△は未登の百名山>
風來でどこかに出かける時も、今回は自転車だったらここを走ってみよう、百名山だったらここを登ろうと、この図を眺めながら、プランを立てている。今回、伊豆を走った時の具体例を挙げてみると、
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2c/d8/26530fbe93ba43ead1d23a28c69c0173.jpg)
<列島図の中部地方をズームアップしたもの>
これでみると伊豆半島は学生時代(赤い線)に結構走り込んでるが、半島の先端、南伊豆は白紙のままである。11月半ばに行った「風來で伊豆の旅」の時はこの南伊豆の部分を走って、この白紙部分を埋めるプランを立てた。
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<伊豆半島をズームアップ>
アップダウンと向かい風に苦しめられたが、80数キロの道を走って、晴れてこの青の線を書き込めたのである。辛い思いをしても、家に帰ったら、列島図に青い線を書き込めると思うと、頑張れるのである。作業にしてわずか1cmの線を書き込むために、80数キロのアップダウンを走ったことになるが、そもそも、“趣味”とはそういうもんだろう。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4c/f6/08587f2b1b1e3fc31057798aaec2df83.jpg)
<中部地方で自転車で走っていないところで、今後走ってみたいところを□で囲んでみた>
風來で出かけても、この□で囲んだ、知多・渥美半島や能登半島北部、佐渡ヶ島などに行ったら、暑くとも、寒くとも、風が吹こうが、坂がきつかろうが、風來から自転車を引っ張り出して自転車の旅に切り替えるのである。