みつばやま小零庵だより

宇宙の塵、その影のような私ですが、生きている今、言葉にしたいことがあります。

石垣りん

2019-06-27 11:01:10 | 芸術
俳句は別として、「詩」を読みたいと思うことはめったにない私だから、「石垣りん」という名前に既視感はあっても、その人と詩には無関心だった。ところが先日、たまたま出会った「この世のなかにある」という詩によって、石垣りん(1920~2004)という存在が、私の目の前に迫ってきた。

        この世のなかにある、たった一つの結び目
        あの地平線のはての
        あの光の
        たったひとつのむすびめ
        あれを解きに 
        私は生まれてきました
        私は地平線に向かって急いでおります
        誰が知っていましょう
        百万人の人が気付かぬちょっとした暇に
        私はきっとなしとげるのです
        -まるで星が飛ぶようにー
        「さよなら人間」
        私はそこから舞い出る一片の蝶
        かろやかな雲、さてはあふれてやまぬ泉
        ふく風
        ああそこから海が、山が、空が
        はてしなくひらけ
        またしてもあの地平線
        ゆけども、ゆけども、ゆけどもー。


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