みつばやま小零庵だより

宇宙の塵、その影のような私ですが、生きている今、言葉にしたいことがあります。

サクランボ

2009-06-29 20:36:47 | 暮らし

当地の友人aNさんが車を運転してきて、サクランボを下さいました。aNさんは、重い肺の病気を患って以来、傍らに酸素ボンベを欠かせません。吸入チューブを鼻孔に当てて大変な筈なのに、とても行動的で、特に活発過ぎるほどの精神生活には驚かされます。

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aNさんの奥様の故郷である山形産のサクランボ・・・差し出されて思わず「こんな高価なものを戴くイワレは無いのに」と言ってしまった私に、aNさんは「イワレなんて関係ないよ、友達なんだから」と微笑んでくれました。

素直に戴くことにしました。でも箱一杯のサクランボを私だけでは食べ切れそうにありません。日頃お世話になっている御近所にお裾分けすることにしました。新鮮さが命の品なので、直ぐに愛車を駆って届けました。

帰庵してから賞味したサクランボ、色も形も味も可愛い感じがしました


梅雨晴間

2009-06-27 15:57:10 | 八郷の自然と風景

Dscn0605 昨日・今日と久しぶりの晴天。暑いです。合歓の花が咲きました。

Dscn0607 夏の野良作業には、木綿のモンペと地下足袋が一番。  地下足袋は通気性が良く、足にフィットするので身軽に動けて、とても気に入っています。犬の散歩の時もこれに限ります。

Dscn0608 Dscn0609 キュウリと茄子の株元に麦藁を敷きました。草抑えと土の乾燥防止が目的です。

麦藁は昨日、近所の麦畑で束ねて、隣のnIさんと共に戴いてきたものの一部です。汗水たらしての作業でしたが、少しの風が実に爽やかでした。

麦刈機は、通常の操作では藁部分を細断してしまいますが、事前にお願いして、一部の畝の収穫後の麦藁をそのまま残してもらっていたのです。


春菊の花

2009-06-25 20:21:45 | 化学物質過敏症

Dscn0601 「調子が悪いけれど、じっとしていても身体に良くないので運動がてらに」と、K子さんが来庵してくれました。夏椿の小枝と額紫陽花に、当菜園の春菊の花を足して迎えました。

蒸し暑い昼下がりの道を歩いてきたK子さんは疲れた様子、当庵の風が通る部屋で少し休まれました。

昨年は重い化学物質過敏症に、今年は心身の不調に苦しむK子さん・・ こんなに優しくて賢い方が、どうして辛い目に合い続けなければならないのか、運命の理不尽を思ってしまいます。

ホトトギスが鳴いていました。その哀切な声に、二人で耳を傾けました。


球すぐり

2009-06-22 19:46:09 | 八郷の自然と風景

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朝8時、南隣の葡萄園へ行きました。「球すぐり」の作業開始です。

Dscn0596 葡萄の球が急成長して、左写真のように押し合いへし合い状態。Dscn0598_2

鋏を入れて球を取捨選択し、右写真のように、球が十分に成長出来るゆとりのある房に仕上げます。

女性4人(私を含む)で、お喋りしながらも真剣な作業です。鋏の刃先の動き一つで、その葡萄の価値を左右するのですから。

三時の休憩時間、園主のnIさんがお茶請けに出してくれた採れたてジャガイモの煮転がしが美味しかったこと


田草取り

2009-06-20 17:44:45 | 八郷の自然と風景

Dscn0592 有機無農薬のT田は、2回目の田草取り日でした。首都圏からは10名ほどが参加。男性は主に田車で草根土を撹乱し、女性は主に畦際を(私も)手で一草ごと抜きました。

田草取りが済んで、稲たちが風にそよいでいます。

地元責任者のmnOさんが、川から可動式ポンプで取水していました。今日は霞ヶ浦からの導水ポンプがお休みなのです。

梅雨期で、かつ一般の田は中干しのため、今月は導水ポンプのお休みが多いのです。でもT田は水が必要な時期なのです。

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手接様(てつぎさま)

2009-06-16 20:21:11 | 俳句

Dscn0588 当地の俳句の会で「観音寺」を吟行しました。ここの観音様は「てつぎさま」と呼ばれ、手の怪我に御利益があるそうです。

かっては、お盆の15日に、縫い物などの手仕事の多い娘さんたちが大勢参詣し、青年たちも来て盛大なお祭だった・・と、八十路の俳友は懐かしげな眼差で語ってくれました。

Dscn0589 「手接堂」に軍手が幾つも掛けられていたのは、農作業などでの無事故を祈願してのことでしょう・・農業用機械の駆使で便利になりましたが、重大事故も発生しがちです。

青銀杏が散り敷く境内の隅に、深い伏目のお地蔵様が立っていました。


栗の花など

2009-06-13 17:40:45 | 八郷の自然と風景

Dscn0584 山にも里にも栗の花が咲き溢れて、濃密に匂います。人手不足の農家は、農地を栗林に変えることが多いようです。

昨日の昼下がり、yOさんから電話を貰いました。「tM(yOさんのお連れ合い)の癌病巣が8割以上消えたの!」と。何と嬉しい知らせでしょう! 

tMさんは今春、食道癌と診断され、一時は経口食が困難でしたが、抗癌剤治療が劇的な効果を発揮したようです。yOさんの看護も献身的です。

Dscn0585_2 今日は公民館で「気功」でした。K子さんも、「少し調子がいい・・」と、ほんのり微笑を浮かべて参加。K子さんの笑みを見れたのは久しぶりです

当菜園のジャガイモ(隣家から種を戴いた「マチルダ」という品種)の花が咲きました。他所の畑の「メイクィーン」の花(青紫色)などは、とっくに終わっています。同じジャガイモでも、個性それぞれですね。


遠い日の戦争

2009-06-10 20:52:32 | 

Dscn0581 吉村昭の本を読むのは3冊目。この本も凄い。リアリズムに揺れが無い。主人公は太平洋戦争のA級戦犯の琢也。

戦争末期、空襲で日本人を大量殺戮したB29乗員の1人の首を、琢也は刎ねた。敗戦後、絞首刑となる怖れがあり、身分を変えて逃亡生活を送る。

戦後の人々の意識の素早い変容に、琢也は愕然とする。琢也自身の意識も変容していく。やがて逃亡の気力も失い、巣鴨プリズンに収監される。

名将として畏敬していた司令官が、米軍による東京裁判の法廷では、洟をすすりながら哀願するのだった。琢也は絞首刑をかろうじて免れ、終身刑。のちに減刑されて出所したが、「門を出た彼に、喜びの表情はなかった」 

彼は懐かしい人のところへ行こうとしたが、思い直して引き返した。「すべては過ぎ去ったことであり、終わったことなのだ」 琢也はマッチを擦ってみた。「炎が、パラフィンの液をにじませながら軸木をかすかに移動していく」

マッチの炎ほどの希望を、主人公は確かめたのだろうか・・

作者の吉村昭は癌病死したが、最後は「俺はこれから死ぬぞ」と言って、自らの手で医療用チューブを引き抜いた、という。


立葵(タチアオイ)

2009-06-10 08:43:24 | 八郷の自然と風景

Dscn0579 田畑の傍らや農屋敷の周りに、季節の花々が育てられています。立葵は背が高いので「木」のようですが、図鑑には「多年草」と記されていました。

村の田んぼの過半が「中干し」(6/8記事参照)に入りました。雨がちの季節で、田水を抜いても田土がなかなか乾かず、中干し期間が長くなります。

水を張らない状態を続けると、田土には忽ち草たちが生えてくる筈ですが・・田植え後の除草剤撒布の効果か、目立ちません。田植えの頃あんなに賑やかだった蛙の声も、ほとんど聞かれなくなりました。現代の田んぼは、生きものたちの棲息が困難な環境のようです。

除草剤は撒布する人自身を含めた地球環境を損ないますが、かっての田草取りの労苦は現代の兼業農家には受容できないことでしょう・・・


霧雨

2009-06-08 20:06:47 | 八郷の自然と風景

Dscn0574_2 Dscn0575_2 今朝は静かな霧雨でした。裏庭のホオズキは清楚な白、ホタルブクロの花はシダに守られているかのようです。

Dscn0573 来月の豆蒔きに備えて、自家製の落葉堆肥を畑土へ撒いて耕しました。堆肥の中から、カブトムシの幼虫が丸まって何匹も出てきます。落葉の堆肥化に一役買ってくれて、有難う!

Dscn0576 夕暮れの農道で、田んぼの見回りに自転車で来られたSさんに出会いました。Sさんの田の用水バルブは閉めてあります。「中干し」(田植え後40余日頃から数日間、田水を抜いて土の表面を乾かす。根張り等の効果がある。)です。

「稲の葉色が濃くていいですね」(写真はフラッシュのせいか、青っぽく映っていますが・・)と言うと、「肥料が効き過ぎている、本当はもう少し淡い方がいい。」とのこと。

中干しの期間は、担当の用水ポンプも送水量を抑えて運転しています。日没前にポンプを止めての帰り道、夕闇の畦に、田んぼを見回り続けるSさんの姿がありました。

かっての農村では、田植えが梅雨どきでしたから、中干しは真夏、合理的な農暦でした。今は、連休期間(会社勤めの若い世代の応援が頼めるから等の理由でしょうか・・)に田植えですから、梅雨どきに中干し、という妙なことになっています。