みつばやま小零庵だより

宇宙の塵、その影のような私ですが、生きている今、言葉にしたいことがあります。

野村克也さんの名言

2022-07-02 10:10:05 | 文化
大相撲はわりと好きだけれど、プロ野球にはほとんど無関心な私。だが、野村克也(1936~2020)という名前ぐらいは一応知っている。
3歳の時に父親が戦死。「極度の貧困」の中で、母・ふみさんに育てられた、という。

名言を残した、とは聞いていたが、今日の東京新聞の記事で遅まきながらその名言の幾つかを知った。

      「失敗と書いて成長と読む」
      「先入観は罪、固定観念は悪」
      「鈍感は人生最大の敵」
      「思考が人生を決定する」
      「人は、無視・称賛・非難の順で試される」
      「人間は他人の評価で生きている」

ウーン、いずれも胸元へ直球ストライクの感がある。
これらの名言、俳句にもそのまま当て嵌まりそう。

美智子さま講演録

2022-04-10 13:44:23 | 文化
上皇后美智子さまが1998年9月、ニューデリーでの国際児童図書評議会世界大会に寄せたビデオメッセージの全文を、東京新聞が全9回で紹介してくれた。毎回、心がしみじみと潤うような内容だった。



読書は、人生の全てが、決して単純ではないことを教えてくれました。私たちは、複雑さに耐えて生きていかなければならないということ。人と人との関係においても。国と国との関係においても。

上記に引用したのは、講演録の最終部分である。私たちは、「複雑さに耐えて生きていかなければならない」というメッセージにハッとした。松村圭一郎(1975~ 文化人類学)が「ウクライナ侵攻と人類学的思考」と題して寄稿した記事の最終部分と(23年半の時間差があるが)深く響き合っていることに気付いたから。その部分をもう一度、下記に引用する。

信じがたいことが起き続けている。そんな映像や情報は私たちを不安にさせる。そこで不安から逃れるために、わかりやすい構図に現実を押し込めようとしていないか。私たち自身も問われている。

忘れることが出来ないこと

2021-10-19 09:20:59 | 文化
10/17放映のNHKスペシャル「横綱 白鵬”孤独”の14年」が、白鵬関の知られざる苦悩等の記録として反響を呼んでいる。

2013年11月の九州場所、稀勢の里との対戦で敗けたとき、多くの観客が「万歳三唱」した。そのとき、白鵬関の心がどんなに傷ついたか、も。
あのとき、観客たちの無神経さに驚き訝しんだ私は、白鵬関への関心を強くし、ファンになっていった。

実は、稀勢の里→荒磯親方こそ、白鵬関を深くリスペクトする1人なのだが・・・

このNHKスペシャルを視聴した近所の友人は、冒頭から感動の涙が続いたという。

NHKディレクターの廣川潤氏は、「最後の名古屋場所で優勝した瞬間、白鵬関が見せた”鬼の形相”と、ご家族の涙は忘れることが出来ません。その裏に、どんな思いがあるのか・・ それが今回の番組制作の出発点でした。」と語っている。視聴者に感動を与え得る番組が出来た理由が分かった感じがする。あのときの土俵上の”鬼の形相”と、観客席で涙にくれていたご家族の姿は、私も忘れることが出来ない。

横綱 白鵬関は、確かに”孤独”だっただろう。しかし同時に、ご家族を始めとする多くの人々に愛されリスペクトされてもきた。きっと、親方としてのこれからもそうなのだろう。

もうすぐ91歳の声

2021-10-09 22:19:26 | 文化
大沢悠里さんのラジオ番組で、元NHKアナウンサーの杉山邦博さん(1930~)が白鵬関の引退について語っていた。

白鵬の引退について話すとき、私は話の初めに先ず「有難うございました」と言いたい。そして話を終わるときも「有難うございました」と言いたい。

名実況放送と名解説で知られた杉山邦博さんの声を久しぶりに聞いた。もうすぐ91歳になられるというのが信じられないほどの張りと艶があり、歯切れよい声だ。大相撲への熱い思いが切々と伝わってくる声だ。

2010年に発覚した朝青龍の暴行事件や多くの力士と年寄が関与した野球賭博事件、そして2011年の八百長問題などで角界は大揺れの危機的状況に瀕した。

あのとき、一人横綱の白鵬が孤軍奮闘して角界を引っ張ってくれた。2011年の大震災でも、力士の先頭に立って被災地支援に尽力した。あのときの白鵬がいたから今日の相撲界がある、と言ってもよい。

連勝を重ねていた白鵬関は、2010年九州場所で稀勢の里に破れ、記録は63連勝で止まった。引退会見で、最も心に残る取組として挙げた2番の一つだ。

勝った稀勢の里も偉かったが、敗けたあとの白鵬も偉かった。何ごともなかったかのように淡々と振る舞って土俵を引き揚げた。

白鵬関へ投げ付けられる誹謗中傷に心を痛めていた私は、杉山邦博さんの話で大いに意を強くした。

引退

2021-09-28 09:44:40 | 文化
白鵬関引退の報に、最後の取組となった名古屋場所千秋楽を思い出す。照ノ富士との一戦を制したときにカメラが捉えた観客席で、白鵬関の御家族(紗代子夫人と子供たち)が涙していらっしゃった。

平成20年初場所千秋楽の青白対決(朝青龍との一戦)の動画を見ると、言葉を失う。歴史に残る名勝負だ。

          身に沁(し)むや最強横綱引退す

「令和」の出典

2019-04-03 07:24:41 | 文化
万葉集の梅花の歌32首の序文にある「初春令月、気淑風和、~」(730年)は、山上憶良(大伴旅人だという説もある)の作と推定されているそうですね。

ところが、この万葉集の6百年ほど前に、中国漢王朝の官僚で発明家、数学者、天文学者でもあった張衡(78~139年)が「帰田賦」(138年)という詩を作っていたそうです。その詩文の一部を抜粋すると、「於是仲春令月、時和氣清、~」 上記の万葉集梅花歌序文の一節にそっくりです。

張衡は、後漢の帝(在位106~125年)に仕えていましたが、その政治の腐敗を嘆き、順帝(在位125~144年)のときに身を退いたそうです。「帰田賦」には、世俗の塵埃から離れた清々しい気分が表れていますね。




白鵬関!

2019-03-24 22:55:28 | 文化
心無い輩のバッシングにも耐えて、42回目の優勝・15回目の全勝優勝、前人未到・後人未到です! おめでとうございます!

あなたの相撲は芸術の域だとしみじみ思わせられた春場所でした・・・ あなたと同時代に生きている幸せを覚えます。
上腕の負傷の快癒を祈ります。

反知性主義

2018-11-16 09:00:39 | 文化
稀勢の里が未だに引退表明しないのは異様だ。

モンゴル横綱の独壇場を嫌う世間と、それに乗っている協会には呆れ果てるしかない。

稀勢の里も、憎めない人柄とはいえ、この期に及んでも引退を決断できないとは愚か過ぎる。相撲の取り方も愚かだ。横綱の器でないのに高下駄を履かされて以来、横綱の名を汚し、横綱の権威をぐちゃぐちゃにしてしまっている。

愚かなトップに大甘の世間。

この国には反知性主義がはびこっている。

映画 「日々是好日」

2018-11-01 22:07:34 | 文化
近所の友人に誘われて「ユナイテッド・シネマ水戸」へ行った。映画館で映画を見るのは20余年ぶり。

毎月1日は「映画の日」とかで、通常1800円が1100円だそうだ。60歳以上はシニア料金で、いつも1100円らしいが、友人は若いからお得な日だ。9月15日に亡くなって改めて話題になっている樹木希林さん(1943~2018)が登場する映画だから、観客が相当多いのではないかと思っていたが、460席のホールの3分の1ぐらいは空席。映画産業の衰退を実感した。

監督は大森立嗣。主人公の典子を黒木華(1990~ ハナではなくハルと読むことを後で知った)が演ずる。樹木希林が演ずる茶道の先生のところに、稽古に通う典子の日常を描く。

友人は、私が樹木希林に関心がある筈だと推測し、また私が茶道にのめり込んでいたのを知っていることから、この映画を薦めたのだそうだ。そして、加齢による衰えが目立ってきている私と一緒に映画を見れるのは、これっきりになるかも知れない・・との思いもあった、と。一期一会だと。

実にしみじみとした映画だった。非日常的な出来事が無いわけではない。恋人に裏切られたり、父親が亡くなったり。しかしそれら総てが極めて抑制的に描かれている。抑制によって、却って感慨が深くなり、後々まで残る。

主役が黒木華に決まったとき、「これでもう、この作品は成立した」と樹木希林は思ったそうだ。確かに、そう思わせられる映画だった。映画界のことをほとんど知らない私は、観賞後に友人に教えられて知ったのだが、黒木華は2014年、第64回ベルリン国際映画祭最優秀女優賞(銀熊賞)を受けている。確かに深いものを感じさせてくれる人だ。おかげさまで上映時間100分が充実していた。


柿岡城まつり

2017-11-19 22:02:21 | 文化
八郷の中心地である柿岡には、かって平城があったそうです。その柿岡の商店街で毎年開催される「柿岡城まつり」。昨年は所用のついでに一人で、ちょっとのつもりで覗きに行ったところ、東京の高円寺から迎えたという阿波踊りに出会って、その迫力に魅せられました。

今日は近所の方を誘って出掛けました。日頃は閑散とした商店街なのですが、大勢の人出に目を見張りました。家族連れが多くて、小さな子供たちがたくさん! 私を含めて年寄りばかりが目立つ八郷の筈なのに、湧き出たような子供たちの様子を見ているだけで元気が貰えました。

歩行者天国の道路の真ん中で、車上からの「餅まき」が始まると、黒山の人だかり。たくさんのお餅が撒かれましたが、私たちは残念ながらキャッチ出来ず。

地元の手打ちそば同好会のテントで、刻みネギをたっぷり載せてくれた蕎麦(400円)で腹ごしらえ。10割蕎麦で噛み応えがあるのに固くない。つけ汁も薄からず濃からず。いい味でしたねぇ。次は、昨年頂いて美味しかった商工会女性部の「けんちん汁」へ向ったのですが、途中のテントの「みそ田楽」に食指が動き、1本100円を賞味。何だかおなかが一杯になってしまい、けんちん汁は後で・・ということになりました。

野外舞台では、キッズダンスが演じられていました。可愛くてカッコいいですね。続いて、いよいよ「高円寺の阿波踊り」が登場しました。



   

   

阿波踊りは舞台から通りへ繰り出し、子供踊りは可愛く、女踊りは色っぽくて素敵でしたが、何といっても「天水連」を名乗る一団の男たちの大太鼓踊りが最高でしたね! 柿岡の大地と空気を揺るがすような迫力! 写真を撮るのも忘れて見惚れてしまいました。

阿波踊りを見送って、ようやく小腹が空いてきたから「けんちん汁」食べようか、と相談していたら、某商店の娘さん(と言っても既婚らしく、ハンサムな青年が連れ添っていました)から声を掛けられました。「けんちん汁、もう売り切れましたよ。」と。この方のお母様が、商工会女性部の担当なのです。残念・・ けんちん汁は来年まで持ち越しです。