みつばやま小零庵だより

宇宙の塵、その影のような私ですが、生きている今、言葉にしたいことがあります。

体の声

2008-07-31 09:53:15 | 八郷の自然と風景

Dscn0089 村の田んぼの初穂が出てきました。(写真上でクリックして見て下さいませ)真緑だった田んぼに僅かに黄色味が掛かって、初穂田の色です。出穂後は稲の一生のうち最も水を必要とする時期。旱だった当地ですが、先夜ようやく喜雨に恵まれました。美味しいお米の収穫が待たれます。

K子さんは化学物質過敏症(CS)ですが、無農薬農家のUさんが届けて下さるお米なら美味しく食べることが出来ます。ただ、沢山食べることを毎日続けると、食べものアレルギー反応が出てくるので、「食べすぎたな」と感じたら2食ほどお米を絶つと、リセットされてまた美味しく食べれるようになるそうです。

 お米に限らず他の食べものも、その食材に対して体が飢餓感を持った時に食べることによって、しみじみとした美味しさが感じられる、とK子さんは言います。大切なのは、「体の声」を聞くことだ、と。

 アレルギー反応が何故起こるのか・・K子さんはご自身の実体験から、マージ=プロフェットの説に納得できるそうです。私たちの体には、毒素を追い出すために進化した免疫グロブリンE抗体が働いています。マージの説を適用して述べますと、農薬などの毒素が付着した食材を長年食べ続けると、体はその食材そのものを毒素として認識するようになり、アレルゲンとして抗体による攻撃の対象になってしまいます。

 CSの方のうち、7割ぐらいの方に食べものアレルギーがあるそうです。辛いCS症状に見舞われながらも、食生活に細心の注意と工夫(同一食材の継続摂取を避ける回転食など)が必要です。

 


旱ですが・・

2008-07-26 20:19:48 | 八郷の自然と風景

Dscn0084当菜園の 小豆の芽です。大豆よりずっと小さな可愛い双葉です。昨秋獲れた小豆の残りを21日に蒔いて、旱のため毎朝夕に水遣り、昨夕の少雨を機に一斉に発芽しました。                   Dscn0081

南隣の葡萄園の袋掛は2日間で終了。koreiは半日参加。成育状況は良好!            

     袋掛遍(あまね)し園のシャンデリア 

Dscn0086

犬の散歩コースに山百合が咲きました。

開いたばかりの朝、濡れいろの雌蘂は周りの雄蘂がまだ引き止めるかのように先端を抑えていましたが、午後には解き放たれてご覧(写真上でクリックして見て下さいませ)の通り。

花と言えども、蘂には獣めいたものがあります。

山百合の強い香りも、森の中では程よい感じがします。  


食の恵み

2008-07-22 21:42:17 | 化学物質過敏症

当菜園にDscn0078 大豆を蒔きました。旱のため、朝夕ホースを長く引っ張ったり大きなジョウロを抱えての水遣りを続け、ようやく幼芽が出揃いました。     Dscn0079

連日採りきれないほど実った茄子、成り疲れで葉も痛んできました。写真左手前の株をまず切り戻(剪定)しました。新規まき直しによる秋茄子を期待!

煮ても焼いても漬けても美味しく、また油との相性も抜群の茄子・・ この茄子をK子さんは3日に1回ぐらいしか食べることが出来ません。続けて食べると、首の凝り・肩の張り・背中の痛みなど「食べものアレルギー」の症状が出ます。このアレルギーはK子さんの化学物質過敏症(CS)の発症と時期的に関連がありそうです。

 玉蜀黍アレルギーは特にひどくて、バン!バン!と音を感じるほどの強い刺激があるので全く口にすることが出来ません。また茄子科の食べものの中でも特にトマトは、口に入れると口内の出血と痺れ症状を起こします。

 6/29の、心配された或る病状についての検診、結果は「異常なし」! K子さん本人はもちろん私も本当にホッとしました。CS・ES(電磁波過敏症)についても最悪の状態を脱してきて、印刷物を少しずつ読んだり、パソコン画面もごく短時間なら見れるようになりました。

 K子さんは過日、部屋に空気清浄機(北里研究所と業界とが共同開発したCS専用のもの)を設置しました。効果てきめんだったので、もう1台購入して愛車に取り付けることにしました。これで念願の「自力での外出」をめざしています。

 K子さんの次の念願は、食の恵みによって体力の回復を図ることです。アレルゲンの継続摂取を避けるために、現在は「回転食」の工夫でヤリクリしていますが、十分な滋養を得ることが困難です。

 アレルギーの治療法として東洋医学系の「代替医療」が注目されているようです。公認されていない各種の代替医療の中から、K子さんは自分に適した療法を探り当てることを試みています。K子さんにとって最も信頼できる情報は、同じCSの方々の実体験です。NPO「CS支援センター」を介して、真摯な情報交換が為されています。


治らなければ・・

2008-07-13 10:48:56 | 化学物質過敏症

 化学物質過敏症(CS)の症例集を読みました。24人の方の発症の経緯、筆舌に尽くし難い心身の苦しみ、懸命の対処とその効果の有無・・ 読むだけで息苦しくなるほどのCS症状の辛さと共に、彼ら・彼女らの察知・分析・判断等の諸能力の高さが印象的です。CSには、画一的な処方箋はありません。そう、CSの方は、患者でありながら自らが調査・研究者であり治療者でもあるのです。

 第1に、自分が反応する化学物質を特定し、それを避けること。第2に、身体の代謝(有害なものを無害化する)機能を高め、代謝しにくいものを避けること。第3に、排泄機能を高めること。K子さんは辛い症状に襲われながらも懸命の努力を重ねています。最近のK子さんはしっかりした声で話すことが出来るようになりました。長く苦しんでいた不眠症も軽快したそうです。

 「治りたい」という願望、「治るだろうか」という不安、「治るかもしれない」という希望、それらが交錯してきたというK子さんは、更に「治らなければ」という思いが湧いてきた、と言います。CS患者にとって害のある化学物質は、実は誰にとっても「良いもの」ではない、このことを伝えていきたい、と。社会がこの病気を「個人的不幸」という位置に捨て置いてきた理由が見えてきたそうです。CSは現代文明へのアンチテーゼであることをK子さんは確信してきました。

 自分も他の人も、いつか必ず死ぬ。悲しいのも苦しいのも辛いのも、みな生きているから・・とK子さんは言います。自分の力の及ばないときには「南無阿弥陀仏」・・何か大きな、自分以外の力・・に委ねる気持になるそうです。確かに「南無」とは、委ねるという意味ですし、「阿弥陀仏」とは、親鸞聖人によれば、仏像でイメージされるような人格神ではなく、色も形もないそうですから。 


2008-07-04 22:09:29 | 家族

 母が死んだ。滅茶苦茶な無理を振り回すヒトだった。暴力も振るった。私の不幸の過半はこのヒトに帰因する。このヒトを私は「母」とは呼びたくない。実の母が、まさかそんな、と第3者は信じてくれない。

 「携帯電話をお持ちの方は電源をお切りになるか、マナーモードに・・」という司会者の声で葬儀は始まった。妙に現世を感じた。

Dscn0075  私は冷たい人間だ。葬儀の間、乾いた目で母なるヒトへの恨みを反芻していた。棺の中のこのヒトの顔が花々で半ば埋もれたとき、いきなり涙がこみ上げた。母を悼むというより、一つの命の終焉を実感したから。

 母に一番ひどく虐待された姉が、涙ぐみながら喪主を務めた。そして儀式の狭間で、姉は大いに笑った。私も皆も笑った。あんまり可笑しくて、悲しくなるほどだった。

 葬儀を終えて帰庵したら、裏山で今季初めてヒグラシが鳴いた。