みつばやま小零庵だより

宇宙の塵、その影のような私ですが、生きている今、言葉にしたいことがあります。

レメディ

2008-09-30 19:56:30 | 化学物質過敏症

心の不安が増幅して、昨夜は一睡も出来なかったというK子さん・・ 化学物質過敏症(CS)は身体症状に留まらず、心にもこんなに深いダメージを与えてしまうのだ・・

近くのUさんが駆けつけて、心のパニックに苦しむK子さんを労わって下さった。Uさんの大きく深い心で、K子さんの心は落ち着いてきたようだ。

CSのK子さんは、西洋医学系の代替療法である「ホメオパシー」を試みて、確かな効果を実感している。そのレメディ(一般の医療での薬に相当)は、濃度や服用量の基準が極めて厳密。だのにK子さんは、早く治りたい焦りから、レメディを基準より濃く、しかも多すぎる量を服用した。これが、心のパニックの引き金になったことが判明した。

ご家族の支えとUさんの労わり、そしてM氏(CS経験者)のアドバイス等を得て、K子さんは心に明るさを、体に力を取り戻した。良かった!


五円玉

2008-09-28 11:33:18 | 文化

近くの「こんこんギャラリー」(八郷の創作家たちが共同運営)へ、昨日Wさんと行った。木工と漆の企画展だった。根来塗風のお盆が私の目にも手にも馴染む・・財布を叩いて買ってしまった。Dscn0159

当庵へWさんを招いて、このお盆で早速「盆略点前」に付き合ってもらった。彼女は若い頃、尼寺(なんと門跡の!)に勤めたことがあり、そこで茶道も習ったそうだ。「あの頃を思い出します」と喜んで下さった。

Wさんは長年、有機無農薬農業のため消費者の立場から尽力されてきた。先駆者中の先駆者、と言えるだろう。

五円玉の図柄の意味をWさんから学んだ。「大きな稲穂=農業」と「海=漁業」、そして「慎ましい歯車=工業」、これが戦後日本の希望のイメージだったのだ。このことを今こそ思い返さなければ・・


2008-09-25 17:22:04 | 化学物質過敏症

 買物のついでにK子さん宅へ寄った。 留守だったらメモを置いていくつもりだった。化学物質過敏症(CS)のK子さんが外出かも・・なんて、1ヵ月半ほど前なら想像もしなかった。辛いCS症状のために玄関を開けることも出来ないかも知れない、と私は考えていたものだ。

 K子さんは在宅だった。昨日は百円ショップにも行ったそうだ。あんなに化学物質だらけの店にも、ちょっとだけながら入ることが出来たのだ! K子さんの軽快ぶりは目覚しい。

 CS症状は心理的ダメージを伴う。症状が辛かったときの恐怖をK子さんは曳きずっている。心の揺れと不安、これがK子さんの克服すべきテーマとして浮かび上がってきた。

 CSの軽快の決め手となった「気」のコントロールは難しい・・研究熱心なK子さんも、さすがに完璧には出来ないらしい。それがデリケートな心の揺れにも関係しているのだろうか・・

 NPOのCS支援センターを介して、K子さんは良き相談相手を見出した。CS経験者で、今は完治して、気のコントロールを含めた様々なアドバイスを無償で提供しているM氏である。

 M氏のアドバイス等によって、K子さんが大きな安心で包まれる日が遠からず来ることを私は願ってやまない。


赤い服

2008-09-23 19:56:30 | 文化

 公私共に多忙のAさんが遠路を来庵してくれた。煩瑣な仕事をこなしながら趣味豊かな日々を送り、かつ人の世話を率先して引受けて下さる方だ。Dscn0149_sh01

 ご趣味のソシアルダンスのお写真を見せて下さった。美しい!そして楽しそう! 

 お茶を点てて下さった。Aさんは表千家。裏千家の初心者の私にはとても興味深いお作法だった。そのお茶の美味しかったこと! 

 時々独りで自服しているのと同じ抹茶なのに、味がまるで違って感じられる・・やっぱりお茶は人との出会いがあってこそ、かしら。

Dscn0152 近くのギター文化館へAさんと行った。椎野みち子さんの頭飾りとドレスが可愛らしく、音色は温かだった。

Aさんや椎野さんに見習って、私も時には赤い服を着ようかしら・・


N夫妻

2008-09-21 20:21:33 | 八郷の自然と風景

Dscn0144  アキノノゲシ(変種のホソバノアキノノゲシ)が山路脇に立つ季節となった。人の背丈ほども高くなるが、上体が柔らかに傾ぎ、花は靄がかかったように冴えない?(かすかに黄がかった)白色で、しかも日中の僅かな時間以外は開かない。ひっそりとした佇まいが、妙に心に残る。

 都会に住むN夫妻が当庵を見学に来られた。八郷へ移住するための住まいの建築を検討されている。当庵設計者のyOさんも来てくれた。当庵が少しでも参考になれば本望!

 八郷はパラグライダーのメッカでもある。Nさんはパラグライダー仲間のK夫妻とのご縁で当庵に関心を持たれたそうだ。K夫妻は、犬の散歩で時折当庵付近まで来られるから、私とご縁が出来ていた。

 八郷は、人と人との縁が不思議なくらい次々に繋がっていくところだ。

Dscn0140  近所のSさんが、大根畑の奥の方で黙々と間引きをなさっていた。犬の散歩で通りがかった私は、大きな声で「こんーにちーわー」、Sさんは顔を上げて手を振って応えて下さる。

 人との絆は嬉しい、有難い・・ 


ホメオパシー

2008-09-18 16:05:30 | 八郷の自然と風景

Dscn0146  庭に咲いていた秋明菊と萩を飾って、K子さんとお喋りのひとときを過ごしました。 「二つの花、種類は違うけれども心地よく傍にいられる・・私たちみたい」とK子さんは言ってくれました。私自身はそろそろ枯れどきですが、気持は、こうありたい・・

 化学物質過敏症(CS)のK子さんは「ホメオパシー」(西洋医学系の代替療法)も試み始めました。この療法は、症状に合せて、薬草や鉱物などの成分を何度も振りながら希釈した「レメディ」(通常の医療での薬に相当)を処方するもので、ヨーロッパでは家庭の常備薬とされ、病院の治療にも採り入れられています。

 人間が本来持っている自然治癒力を活性化させる、という点で、東洋医学系の代替療法と相通ずるものがあるようです。

 「キニーネ」というマラリアの特効薬があります。このキニーネ、健康な人が服用すると、マラリアの症状と同様な発熱を繰り返します。これに気付いたハーネマン(約200年前のドイツ人)が同種療法、即ちホメオパシーの原理を発見しました。古代ギリシャのヒポクラテスも「同じようなものが同じようなものを治す」という言葉を残しているそうです。

 通常の「薬」は、火災(病気)の時の警報(症状)を、うるさいからと止めるような作用をしますが、ホメオパシーのレメディは、症状と同種の作用によって警報の重大性を人体に気付かせ自然治癒力を発動させます。まさに逆転の発想です。

 K子さんは、東洋医学系の「気」のコントロールと共に、ホメオパシー療法のCS症状緩和効果を実感し始めています。自ら考察を重ねた上で専門家に相談しつつ慎重に、かつ果敢に挑戦しているK子さんは、とても素敵

 


息子

2008-09-13 19:11:26 | 八郷の自然と風景

  Dscn0123 マルバルコウソウとヒメアサガオが、足元を慎ましく飾ってくれている。秋の野の花は概して小さい。ヒメジソやチヂミザサなどは、あんまり小さいので、私の拙い撮影では写真にならない。 でも、とても綺麗に咲いてくれている。

Dscn0127_2

息子が先日、夜行バスで帰省してくれた。母親の資格はあまりない私、でも息子は、言いたいことの百万分の一も、この私へ言わずにいてくれる。

Dscn0117_sh01  久しぶりに息子と共に過ごしたひとときは、私の心を癒した。この息子の前では、私は素直に老いてゆける気がする。

 息子の方は、その心を癒すことが出来ただろうか・・ 写真の左手の憂愁を、労わっているような右の手・・

Dscn0136  黄金色の田んぼの中を真っ赤なコンバインの巨体が進むと、またたく間に一面の刈田になってしまう。

 季節が変わり、風景が変わる。人も私も変わっていく。息子はどう変わっていくのだろうか・・


当たり前の生活

2008-09-11 19:57:43 | 八郷の自然と風景

 K子さんが、帰省中の長女yさんと共に来庵してくれた。1月足らず前までは、御自宅の窓を開けることさえ躊躇しがちだった化学物質過敏症(CS)のK子さんが、近距離とはいえ外気の中を運転して! 

Dscn0128 野に咲いていたツリガネニンジンを床の間に飾って、K子さんたちを庵内に迎えた。写真ではフラッシュで白く光ってしまったが、実際には微かに紫色がかっている。この花に寄せる星野富弘さんの詩がある。

むかし 人は うつくしい音が聞きたくて 鐘を作った             すると 鐘は 花のかたちに なった

 抹茶を所望されたので、盆略点前で薄茶を点てた。K子さんが抹茶を喫することが出来る! こんな刺激性のあるものを、CSのK子さんが口にするなんて、想像だに出来なかった・・

 CS症状が辛かった時、「当たり前の生活」が出来ること、それがK子さんの夢だった。お店に入って買物することも、約8ケ月ぶりに出来た。夢が実現し始めたのだ。

 CSが劇的に発症してから軽快するまで1年に満たない、というのは極めて珍しい症例に違いない。これまで、K子さんが自ら言う通り「修行」の名にふさわしい、化学物質を避ける懸命の努力と、自らの症状と環境についての観察・分析・判断そして対策の蓄積があった。ご家族をはじめ関係の方々の協力もあった。そして決め手となったのは、東洋医学に云う「気」のコントロールだった。

 化学物質等に過敏なK子さんの体質自体は治ったわけではない。それでも「気」のコントロールでCS症状を鎮めて、「当たり前の生活」を取り戻し始めたK子さん・・「修行」もまだまだ続きそうだが、K子さんの瞳は明るくなった。そんな母へのyさんの眼差が何と優しかったこと!              


学ぶ・着る

2008-09-10 21:00:23 | 着物

 茶道の稽古へ行きました。今日ご一緒した先輩5名の内4名は「茶名」を持つ、つまり茶道の先生の有資格者。皆さん、「貴人清次花月」という難しいお稽古をなさっていた。私は別室で「立礼(椅子式の点前)」の特訓を受けた。その後、皆さんと「濃茶付花月」をご一緒できた。濃茶点前の役が私に廻ってきた

 E先生と居並ぶ先輩の皆さんから色々ご指導、ご注意、そしてお励ましを頂いた。この齢になっても学ぶことDscn0118_4 が出来る。有難いことである。

 稽古へは藍染の単衣を着ていった。古着を商うS子さん(友人、なのです)が、帯と共に見立ててくれたもの。E先生も、着物に詳しい先輩の方も、いい取り合わせだと褒めて下さった。おかげさまで、S子さん、有難う


気とは何か

2008-09-07 11:37:09 | 化学物質過敏症

 湯浅泰雄著「気とは何か」(日本放送出版会)を通読して感銘を受けたので、特に記憶に留めたいと思った部分を私なりに以下にまとめてみた。

「気」のエネルギーは、心理・生理・物理の3つの次元に変換して作用する。それは物質的作用(赤外線など)として検出できるが、このことは、気の実体が物質に還元されることまでは意味しない。

デカルト以来の、精神・物質を分離する二元論や還元主義を超える方法論的及び存在論的視点があり得るのではないか。

ユングは、フロイトのいう個人的無意識のさらに深層に超個体的な集合的無意識がある、とした。人間の自我は、広大な外界と共に、広大な内界に直面している一点である、と。前者は因果性に支配される物の世界であり、後者は意識と感覚に対して隠された世界である、と。

ユングは、内界の出来事と外界の出来事の間に一定の対応ないし同調の関係がある、とした。「共時性」の仮説である。これは、因果性とは全く異なる、目的論の考え方に立っている。

人体に内在する目的論的な働きは、自然治癒力として現れる。その力は、生きる、という目的に合する形で働く。「気」に関する実践と理論の基礎には、このような人間観がある。

近代科学は、目的論の否定を前提としてきた。人生の目的について人は語ることが出来るが、人間の生死は、科学的には何の目的もなく、意味も価値もない、単なる事実に過ぎなくなった。

西洋の近代科学は、宗教との対決から始まったが、現代の我々は逆に、宗教と科学の中間領域とも云えるような、主体的体験を通して感得される領域へ導かれているのではないか。主体的体験の立場からは、自然は云わば生きた心ある自然として感じられるであろう。