反原発の道

小出裕章著「隠される原子力・核の真実」を、市立図書館が新規購入してくれた。原子力＝核の本質、核開発の実態、原発の危険性、二酸化炭素温暖化説の悪用、脱原発の現実性などについて、実に分かり易く説かれている。特にグラフや図が工夫されていて、素人の私も視覚で納得できる。

昨年末に第１刷発行、本年５月２５日（４日前）第８刷発行。著者は１９４９年、東京の下町生まれ。「鉄腕アトム」が人気の世代だ。

夢に燃えて東北大学工学部原子核工学科に入学した私は、原子力を学び始めてすぐに、その選択が間違っていたことを知りました。

東北電力は仙台ではなく、直線距離で６０キロ以上離れている女川に原子力発電所を建設しようとしていました。なぜ電気を使う都会に原子力発電所を建てないのか・・・

その答えはとても単純なものでした。原子力発電所は都会では引き受けられない危険を抱えたものだからでした。１９７０年１０月に女川町で開かれた原発反対集会に参加し、それ以降私は、反原発の道を歩き始めました。

小出氏は京都大学原子炉実験所の助教。助教授ではない、従来の助手。１９７４年以来、大学教官として最下位の職のままだ。インタビューで、「いろいろな試練に耐えて４０年間、反原発の信念を貫くことが出来た理由は？」と問われて、「それは、試練が無かったからです。」と答えられたのには驚いた。が、そのあとを聞いて納得した。「私は教授になりたいと思ったことは一度もありません。」「助手という地位は私にはとても良いのです。」「私は誰からも命令されず、誰にも命令しないでいられました。」と。

「放射能汚染は心配しなくてよい」などとノタマワっていた御用学者たちが次第に表舞台から消えていっている。そしてマスコミが無視し続けていた小出裕章氏等の発言が、少しずつ世間に流れるようになってきた。遅過ぎるけれども今回の事態を契機に、反原発の大道が世論となることを願わずにはいられない。

ハルジョオン

雨や曇りの日が多い。関東の春は春らしい日が少なくて、いつもの５月は晩 春というよりもいきなり夏のような暑さが続くのだが。もう梅雨の気配で、瑞々しい青葉の風景が目に快い。福島原発のどうしようもなく暗い状況さえ無ければ・・

田植えのときは心細げだった早苗も活着して、育つ力が姿となってきた。今朝はカルガモが、昨朝は青鷺と五位鷺が来ていた。五位鷺は夜行性で、夕方の空を　グワッ　グワッ　と鳴きながら飛んでいく姿はよく見かけるけれど、間近で見たのは初めて。田水 に脚を入れたままジッと佇んでいた。格式の高い？名前が付いているけれど、首が短くて、庶民的な感じがする鷺だ。

先日は隣村の田んぼで、亜麻鷺の群れが来ているのを見た。

例年だったら近種のヒメジオンに交代する頃だと思うハルジョオンが、畔に咲いている。雑草の代表格の一つで、貧乏草と言われたりする。菜園に繁茂されると憎らしくなるが、優しい姿と淡い色の花が可愛らしい。

　　　　　　　　災ひの地を棄てられず春女苑　　　　　　小零

七つの社会的罪

小出裕章氏が昨日の参議院行政監視委員会に参考人として招かれて、意見を述べた。以下に要約を抜粋する。

これまで膨大な税金が投じられてきた原子力だが、エネルギー資源としては極めて貧弱である。その貧弱さを克服するとされた高速増殖炉計画は既に破綻している。

機械は故障する、人間は誤りを犯す。にも拘らず、原子力推進者は破局的事故を「想定不適当」として無視してきた。格納容器は絶対に壊れない、と断じてきた。

今回の事故で、住民は故郷を追われ生活が崩壊している。正当に賠償するならば、東電が何回倒産しても国が倒産しても贖い切れないほどの被害になるだろう。

ガンジーの言葉「七つの社会的罪～　理念なき政治　労働なき富　良心なき快楽　人格なき知識　道徳なき商業　人間性なき科学　献身なき崇拝　」を噛みしめてほしい。

委員会の性格上、「行政の無駄」に焦点を合わせて語られている。スクリーンに映された資料も分かりやすい。小出裕章氏は、自分が言いたいことを激して語るアジテーターではないが、相手の立場や心に寄り添った語り口が誠実で、その凛とした声に信念の確かさを感じずにはいられない。人の心を底から揺り動かす、これが本当のアジテーターではないか、と思う。

引用されたガンジーの言葉は、胸を衝くような内省を促す。鳩山由紀夫前首相が施政方針演説で「七つの大罪」として引用した言葉でもある。日本の政治家には珍しく？格調高い内容として印象に残っていた。前首相の言行には功罪があったが・・

建屋のツバメ

今季の当菜園では、スナップエンドウの勢いが良い。今朝もボール一杯に収穫。サッと茹でて大半は冷凍保存し、収穫狭間に備える。無農薬栽培だけれど、放射能混じり・・　これを食するのは、原発の存在を許してきた世代の責任の一端を引き受ける意味がある、というと恰好がいいけれど、本当のところは、自分で育てた野菜を食する魅力を捨てられないから。それに、私のような高齢者の場合、放射能の影響は小さいと聞く。若者や子供たちには、こんな野菜を食べないでほしい、と思う。

３月に蒔いたジャガイモは花を付けた。少しうつむいて風に揺れる姿が素朴で慎ましい。この花の内部にもセシウムが入り込んでいるのかと思うと哀しい。

田んぼ用水ポンプの機場の建屋内では、ツバメが巣篭り。今年は天井の蛍光灯の端部、という難しい場所に新しい巣を器用に作って抱卵しているが、壁付換気扇の上の古い巣にも別のツバメが来て、リサイクル利用している。私が出入りしているから、この建屋は安全だ、とツバメは思ってくれているらしい。

福島原発の建屋内の恐ろしい実態が漸く公表されてきた。汚染水は海に出て、地球規模に広がるだろう。水素爆発の再発や水蒸気爆発があれば、大気と土壌の放射能汚染は更に悲劇的になるだろう。福島以外の原発の存在も恐ろしい。

せめて今からでも世界中の原発を止めて、人類とツバメたち、そして地球上のあらゆる生命の絶滅を少しでも遅らせてほしい。

ご無沙汰しました

パソコンが5/8に故障した。４年半前に１３万円で購入したNECのLaVieで、型番LL700GD。修理費の概算見積もりが５万４千円位だというので、新規購入に踏み切った。各型番の部品は数年単位で在庫を打ち切っている、という。長期のメンテンスは前提に無いらしい。機能が進化するのは結構だけれど、地球環境のためにも古いものを大切にするという観点は、この業界には通用しないようだ。

5/14に届いた新しいパソコンの型番はGL20CL5AN。NEC ダイレクト取引の修理部門紹介割引とかで、代金は７万円から７０円のオツリ（送料込）。私の財布には痛い出費だけれど、４年半前に比べれば随分安くなったものだ。

洗練されたデザインのパソコンを開いてはいるものの、不器用かつ古い頭脳の私が使い慣れるまで日数が掛かりそうだ。昨年だったか、友人の勧めで外付けディスクにバックアップしていたのは不幸中の幸いだった。現在そのデータ復元に右往左往中

インターネットが見れない間、世の中の情報はラジオからのみ。原発の状況など、マスコミ報道は信用出来ない。テレビは当庵には無いが、ラジオより更に杜撰な内容だろう。インターネットが嫌いだった私だけれど、もうインターネットが無い暮らしには戻りたくない自分を痛感している。

福島原発のメルトダウンが漸く公式に発表された。何という茶番劇だろう。そして事態は悲劇的・・

連休期間の村

連休期間の村の田んぼは、代掻き・田植の最盛期。兼業農家がほとんどで高齢化しており、会社勤めの次世代が、休暇を取って実家の田植に参加している光景が見られる。

写真手前は田植を終えたばかりで、幼い苗が心細そうに見える。右下の緑の塊りは余り苗。余り苗の一部は後日、田植機が植え損なった欠株や植え付けたものの活着しなかった株のところなどの補植に使われる。

写真中央から上の田んぼは、水を張って代掻きを終え、田植を待つばかり。

連休期間は、田んぼにとって水が一番必要な時期である。用水ポンプ運転担当の私は、写真（写真上でクリックして下さると拡大します）奥に小さく見える機場に毎日４回通う。

まず朝５時前に、取水口付近のゴミを取り払い、ゲート（用水路の堰）を下ろす。用水がゲート内に一杯に溜る６時頃、ポンプの運転を開始する。

昼前後に、ポンプと取水口付近に異常がないか、見回る。田植・代掻きの時期は田んぼ内のゴミが用水路に流出しやすくて、取水口付近に支障を齎し、ポンプが止まることがある。水が行かなくなったら、田んぼは大変。事前に防がなければならない。

夕方７時頃、ポンプ運転を止めて、ゲートを上げる。明日から１週間は相棒の担当だ。夕闇が濃くなり、蛙たちの合唱がひときわ賑やかに聞こえる。蛙たちも、私たちと一緒に被曝しているのだ・・と思うと、その声が愛しい。

小出裕章

このブログ画面左欄のリンク集に　小出裕章　を掲げた。私は福島原発事故を機に、原子力研究者として４０年間反原発を貫き権力に抵抗してきた氏の存在を知った。そして氏の信念と共にそのお人柄への敬意を深くしている。

もしよろしかったら貴方様も左欄のリンク集の　小出裕章　をクリックして御覧下さい。小出裕章氏の発言内容等を有志の方々が集約されているサイトで、ほぼ毎日更新されています。